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双子のクリスマス 24時。



ただいま、12月24日 23:55

今年のイヴは、兄者と一緒に銀座までイルミネーションを見にきていた。
去年は横浜まで行ったけど、距離が遠くて帰りはお互いにダウン。
てことで、今年は近場に行こうってことになった。

ちなみに今は、バカデカイツリーの前に立ってる俺ら。
すげー綺麗で、俺は素直に感動してたけど、・・兄者からの第一声はこんなだった。





「あー、寒ッ」



ムード台無し。

そんな兄者は、首もとに茶色いファーのついた如何にも「あったかいです」的なコートを着ているにもかかわらず、俺の隣で寒そうに身を縮めていた。
俺も寒いことは寒いけど、なんつーか今がしあわせであんま気になんない。
なんたって、この状況。
めっちゃロマンチックじゃあないですか。

街のところどころを彩る、ネオンサインや無数の電球。
店の中から流れてくる、定番のクリスマスソング。
大勢のしあわせそうな(バ)カップルたち。
・・そして、俺の隣に兄者。

そんな中、俺的に「寒い<兄者」の心理方程式がバッチリ成り立ってるわけだ。




「兄者、手ェだしてみ」


ポケットにつっこんでいた右手を、兄者の前に差し出してみる。
今気付いたけど、手が冷たくなりすぎて感覚がなくなってる。
クリスマスシーズンの寒さを、なめたらあかんね。





「・・絶対やだ。今、手だしたらたぶん死ぬ・・」


そのことをよく弁えているらしく、断固としてポケットから手を差し出そうとしない兄者。
せっかく、「イルミネーションのツリーを見つつ、カップル繋ぎ!これぞ男のロマンv」作戦を実践しようと思ったのに!
ホントにつれねえよなー・・。

・・でも、寒さのせいでふにふにの頬っぺたが赤くなっちゃってるとことか、マジ可愛くてやべぇから許す!




「・・あ。俺、ひらめいちゃったよ」


ひらめいたひらめいた。
ひらめいたら即実行。これが、俺のポリシー。

てなわけで、早速俺はポケットの中に入りっぱなしの兄者の手を引っ張り出してみた。
もちろん、兄者からは悲鳴にも似た声が発せられる。






「ばかっ、稜!寒いって言っ、」
「嘘々ー。超あったかくねー?」

「・・・・・・・・・、」



・・俺のコートのポケットには、2つの手。
俺の手と、兄者の手。
ゆっくりと指を絡ませて、ぎゅっと握ったら、お互いの手がだんだんあったかくなってきた。

・・・・あー。なんかすげーくさい台詞だけど、・・・心もあったかいんです。




「・・なーあ、兄者」


こんなとき、わざわざ兄者の顔を覗き込まなくったって、どんな表情をしてるかなんてだいたいわかる。
下向いて、俺から目逸らして、・・顔真っ赤なんだよな。



「・・なに、」


不機嫌そうな声。
それでもいい。俺は、兄者の気持ちちゃんとわかってっから。


・・でもさ。
そんな素直じゃねー兄者に、ちょっと意地悪してもいい?






「今、しあわせですか?」




カラダをちょっと兄者に寄せて、耳元でそう呟いてみる。

また、怒るかな。
んー、ばか発言はぜってー出るとみた。






「・・、」



俺の予感不的中。

・・兄者は何も言わない代わりに、ポケットの中で繋いだ俺の手をぎゅっと一度だけ握りました。



・・・・・・・12月25日 24:00

メリークリスマス、兄者。
やっぱり、兄者にはかないません。










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