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彼氏VS・・



ここは、大道寺センパイの部屋。
センパイがホットケーキを作ってくるといって、部屋を出て行ってから随分経った。
それを待っていたら、いつの間にかオレは眠っていたようだ。

「・・?」

ふと、鎖骨の辺りに妙な感触を感じた。
自分が寝ぼけているだけかと思って、軽く流すことにする。

「・・、」

・・・ダメだ。
なんか、生暖かい湿ったものがオレの鎖骨に触れてる気がしてならない。

「・・・・・・ん、」

その感触が、一瞬鎖骨から離れ、今度は唇の辺りにやってくる。
・・舐められてる?

・・・いやいや。
今、センパイはいないし、やっぱりオレの勘違いだ。

「・・っ、」

今度は、耳元にくる。
熱い舌が、たしかに耳朶のピアスを転がしていた。

勘違いなんかじゃない。
・・・・・しかも、得体のしれないモノに微妙に感じちゃったっていう。

「なんですか・・、」

センパイにしては、随分「静か」だなと思いつつ、オレは呟くように言った。
いつものおしゃべりの変わりに、耳元からは定期的な息使いが聞こえてくる。

「センパイ・・?」

変に思ったオレは、眠たい目をむりやり抉じ開けてチラリと耳元に視線を向けた。


「うわっ」

思わず、情けない声をあげてしまった。
そこにはセンパイではなく、大道寺家のアイドル(センパイ曰く)・・パグの愛ちゃん(♀)がいたんだ。

・・てことは、オレは愛ちゃんの舌で感じたということになる・・。

「・・・・センパイに似て、エロいワケ?」

愛ちゃんの頭を撫でながら、一人で赤面するオレ。


すると、間も無くしてセンパイが部屋に戻ってきた。

「おまたせしました?。ホットケーキになります?v」

ホットケーキののった皿を持ちながら、ニコニコしたセンパイはウェイトレス口調でノリノリだ。
オレは、横になっていたカラダをおこした。

「なんか、わざわざすいません」
「気にせんでええって。・・あれ、なんで愛がおるんや?」

皿をミニテーブルの上にのせ、愛ちゃんを見ながらセンパイはきょとんとしている。
センパイの言葉に、オレは首をかしげた。

「センパイが連れてきたんじゃないんですか?」
「ちゃう。・・部屋のドア開けっ放しにしとったからかなァ」

うーんと唸りながら、考え込むセンパイ。

「不思議ですね」

オレがあぐらをかくと、愛ちゃんがのそのそとその上にのっかってきた。
センパイみたいに人懐っこい犬だな?と思いつつ、その頭を撫でてやる。

「こら、愛!そこはわいの特等席やで!」

それを見つけるなり、愛ちゃんにヤキモチをやくセンパイ。
全く、大人気ないというか、さり気なく変態発言というか・・・。

「犬なんだから、いーじゃないですか」
「あかん、あかん!愛はハルキのこと狙っとるんやーっ」
「何を根拠に・・」

・・・・でも、さっき超求愛された気がする。
・・・・・あれは犬だから、たぶんよくあることだよ、うん。

そうムリヤリに自分を納得させてみる。

「なんや、ハルキ!心当たりあるんか!?」

少し黙っていると、オレの両肩を掴んだセンパイに必死な表情で見つめられる。

・・・・相手、犬なんですけど。

「・・ないですよ」
「ホンマか!?わい、愛にハルキとられるなんて嫌やで!」
「オレだって、ヤですよ!」

そんなこんななくだらない話が延々と続いて、気付いた時にはあつあつだったハズのホットケーキは、当に冷めてしまっていたのだった。








END









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