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禁煙キャンディ。



放課後、テスト勉強と題して俺は大和の家に転がり込んでいた。

ちなみに今日は、……テスト前日だ☆
つまり俺は、今まで勉強をしてこなかった分、一日でどうにかしようとしてる甘ちゃんヤローなわけである。
ま、今回ばかりは弥栄に負けてらんねーからな。(今月で2勝5敗)

「っあー、もうダメ。大和、てきとーにヤマはってくれー。やまとだけに」

俺はシャーペンを持った手を投げ出して、カーペットの上に思いっきり倒れこんだ。

「アホなこと言ってねーで、一問でも多く問題解けよ」

余裕かましまくりな様子の大和が、完全にクズを見下す目で俺を見てやがる。

倒した身体を勢いよく起こし、大和を睨む。
さぞ恨めしげな視線だったことだろう。
まったく、慈悲という言葉を知らんのかね。このむっつり坊主クンは。

「…てか、」

俺の口元に視線が移る。
大和クンってば、やらしい。

「なんでさっきから飴…?」

そういって、向かいから伸びてくる長い腕。
俺の口から伸びている棒付きキャンディーの棒の部分を軽く指先で弾いてくる。

「タバコ代わり。最近量減らすよーにしてンの」

理由は、たんに金欠。
口寂しいのでタバコの代わりに、最近は飴を舐めるようにしてる。
多少だけど、気は紛れるんだよな。

「…また弥栄様からのお達しか」

再びシャーペンを持つと、大和の目線は俺からテキストへと戻っていった。

「やー、違う。今月わりと深刻な金欠なんだわ。
減らしてくとこ減らしてかねーとってカンジで、とりま現在に至るってヤツ?」

すっかり集中力の切れた俺は、向かいでテキストを眺める大和をぼーっと見ていた。

すると、俺の言葉が終わる頃、少しだけ顔を上げた大和と目が合った。

……なんだ?

「…ふーん。今度こそ成功するといいな」

すぐにテキストにうつる大和の視線。
いきなり顔上げるからなに言うかと思えば…つか、そんなこと微塵も思ってねーような無表情で言われましても。

「オマエ、ぜってー成功しねーと思ってンだろ」
「ぜってーとまでは言わねーけど、まあ十中八九くらいは」

はい、辛辣なコメントいただきました。

「へえーそうですかあー!意地でも成功させたる。んで、ぜってー泣かす」

咥えていた飴をガリガリいわせながら、思いっきり噛み砕いた。
そんな、俺なりの抗い。

「わー唐沢くん不良みたい」

抑揚皆無の棒読みと、またこちらを向く視線。

しかし、さっきとは少し違ったように見えた。
口元が僅かに笑んでいるように見えたからだ。

「…?」

俺の気のせいかと首を傾げていると、いきなりシャーペンで軽く頭をとんとんと叩かれる。

「ンだよっ」
「お前、この大問全部ミスってる」
「うわ、マジか!?てか今何時だよ!これ間に合う?間に合うの学級委員さんっ」

あわててシャーペンを持ち、姿勢正しく大和に向き直る俺。

もう諦めてんのかと思った、とかぶつぶつ言いながらも、わかりやすく勉強を教えてくれる大和。

そんな中、けっきょく俺はそのまま大和家に泊り込み勉強合宿をすることになり、赤点はなんとかまのがれた。(弥栄には負けた)

今回は大和ナシじゃ赤点確実だっただろーし、正直すげー助かった。
お礼に今度ラーメンでもおごってやるか。

…ああ。そのためにもタバコ減らさねーとな。









END









-----ここから先、長々と一人語り-----

久しぶりのSSうpが新年ネタでもなければ、また大和と唐沢っていうなんともアレなかんじでお送りしました!てへぺろ!
はい。今回は唐沢視点なのですが、大和の気持ちに気づいてない唐沢が大和の視線をかんじて「おや?」ってなったり、
実は弥栄のくだりで大和は若干ヤキモチやいてるんだよっていう分かりにくいところを分かっていただけると嬉しいかんじです(むずかしい)
大和は唐沢がいつも弥栄のために禁煙してるって思ってるけど、今回は君もその理由の一員になれてるよ(ラーメンの件)っていう
大和が知る由もない裏があったりもします。

あと題名が完全に禁煙できてないのに禁煙ってなってるのは、単に語呂がいいから。深く考えないようにしよう!








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