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第56回「初公開、その後」

 さて、この連載も去年の10月31日以来中断していて、驚いたことに7ヶ月経ってしまった。5年ぶりに完成させた「ハズしちまった日。」をBOX東中野で初公開してからは、なんだかあれよあれよという感じで時間が過ぎて行った感じであります。今回はその7ヶ月間にあったことを、ザザーッと一通り思い返してみる。

 前回のラストで書いた通り、10月の初公開の1ヶ月後には関西での上映が控えていた。<宝塚映画祭映像コンクール>にノミネートされたのだ。どうせならと、旅行も兼ねて会場に足を運ぶ飯野。朝一番の飛行機で向かっても、到着するのは11時過ぎ。作品上映がすぐに始まってしまうので、休まる間もない。が、「ハズしちまった日。」の上映自体は昼過ぎだったので、ちょっと安心。

 関西方面の知り合いの方も見に来てくれて、感激の上映会だったのだが、その日の最後の表彰式でなんと!「グランプリ」と「市民賞(観客賞)」をダブルで受賞することが出来た。うひゃー!嬉しいー。宝塚サイコー!と調子の良い気持ちになり、その足で京都旅行に向かう。

 その約1ヶ月後、今度は<TAMA映画フォーラム映画祭>の<TAMA NEW WAVE>というコンテストへ参加。ここのノミネート作品はそれなりに長い作品が多く、朝の10時から夕方6時過ぎまでの連続上映という体力勝負の上映になる。一本一本の作品に気合が入っているので、結構しんどい。しかも「ハズしちまった日。」は最後の上映。お客さん疲れきっちゃってたらどうしよう…。

 作品的には「HOME」というドキュメンタリー作品が、圧倒的な説得力を持って迫ってきて上映中思わず胸が熱くなる。作者自身の家族を題材にした重い作品ではあるのだが、スゴい作品だった。他にも「文金高島田二丁目」という肩の力を抜いて見られるコメディや、12の眼でおなじみの森川監督「暴れておっ死ね」など、楽しめる上映だった。

 結果はグランプリに次ぐ<特別賞>の受賞となる。グランプリはもちろん「HOME」。これはもう納得っす。自分で見てても心を揺さぶられちゃいましたし。でもちょい残念。グランプリだったら賞金が出たのにー(T_T)。あと1点…(愚痴&遠吠え)。

 そしてこの頃から、自分たちの上映会を開きたいという話が仲間の中から出てくる。

 年が明けて2月には再び関西方面での上映。大阪<プラネット映画祭>での公開となる。これはコンテストじゃないので賞などの評価はないが、なにより普段見てもらえない人達にも見てもらえるチャンスになる。仕事の関係もあって、当日は日帰りの強行軍で臨む。これがまぁ大変で(涙)。旅行はゆったりと行きたいものです。

 会場は朝から行列で、なにやら盛り上がりの様相を見せているのだが、実はこれは「ほしのこえ」という目玉作品が上映されるため、そのファンの人達が並んでいるということなのだ。「ほしのこえ」は5時過ぎからの上映なのにスゴイ。おかげで最初から場内満員御礼、スシ詰め状態。これは制作者にとっては嬉しい(観客には地獄か)。

 「ハズしちまった日。」は午後3時からの上映なので、一番おいしいと言えばおいしいところ。しかもそれまでの上映で観客の皆さんも慣れてきているのか、上映中も結構リラックスして観てもらえているような気がする。なんと言っても笑い声が沢山あがる。関東での上映ではまず考えられない反応。大阪のお客さんありがとう(涙)。

 しかし、日帰り日程ゆえ「ハズしちまった日。」上映直後に会場をたたなくてはならなく、一番人気の「ほしのこえ」を見ることが出来ない。その後のこの作品の怒涛の快進撃を見るにつけ惜しいことをしてしまったと後悔。翌日が休みだったら…。でも「ほしのこえ」のおかげで「ハズしちまった日。」も多くのお客さんに見てもらえたので、本当に嬉しい上映になった。

 その後は、準備を進めていた自分達の上映会<AID:01>に没頭する日々になる。これまでの上映は、すでにある「場」に参加させてもらう形だったが、今回は全部自分たちでやらなければならない。何もかも初めてなので、回り道も多く、段取りも悪かった。あげく本番前1週間は「顔が白くなってる」と言われるほど精神的にやつれ、何やってんだか状態。いや、スクリーンが会場に入るのか、プロジェクターはちゃんと映るのかって所からの問題が山積みで、不安に押しつぶされてる主催者だったのよ。

 しかも上映会前日には<神奈川県映像コンクール>の表彰式がある。準備を進めなくてはいけないのだが、スタッフに任せて無理やり参加する。このコンテストでは<特別賞>をもらえ、表彰式の後には審査員の方と直接話すことが出来る。映画評論家の山根貞男氏に話を聞きに行くも、自分の力不足を痛感させられるのみで「ドーン」と落ち込む。映画ってやっぱ甘くないのね。

 そして運命の<AID:01>当日。前日のセッティング時に上映チェックを完了出来ていたので、結構開き直って迎えることが出来る。全3回の上映。滞りなく進めるコトだけを考えて開場。今回はスタッフも最初から一緒に上映会を作り上げてくれていたので、BOX東中野でのように僕一人がバタバタと走り回ることもなく、スマートに(自分で思ってるだけか)進められる。が、マイクの音量が上がらず挨拶の時に慌てたりする慌て者ぶりは健在。ふん!(涙)。

 それにしても多くのお客さんに見てもらうことが出来、活動できなかった5年間を思い返すとひときわ感慨深くなる。会場の撤収作業もほとんど終わり、とりあえずの乾杯の時の挨拶で思わず感極まってしまう。作品を作ろうと思い立ってから2年近く、出演してくれた石山君や山崎君をはじめとする役者の皆さん、鷲北くんをはじめとするスタッフ・協力者の皆さんのおかげでこの上映会があるんだと心の底から感じる。落ち込むことも多かったが、やり遂げられて良かった。マジで良かった。

 初公開から半年間、ハタから見るとのんびりに見えたかもしれない飯野だったが、精神的には全然休まってない状態だったので、ここらで思いきり休むことを決意。まったく軟弱である。この休みが永遠じゃなけりゃいいんだが。と、言いつつすでに2ヶ月経った(笑)。これをブランクって言うのか言わないのか。それは次回の更新で明らかになる!か?

(2002年6月7日第95号)


最終回「振りだしに戻る」

 「2年」。

 サイトを開設した当初から続けてきたこの連載も2年にわたってのものになってしまった。上映会<AID:01>をもって、活動を休んじゃっている現在の歩飯野だが、正直ここまで続くことになるとは思ってなかった。もちろん作品が完成しなければ連載も終わらないのだが、当時は完成のメドが全然たってなかったので、その前に面倒になって更新を投げ出してしまうだろうと思っていたのだ。

 最近、更新すべき事柄がなくなってきたこともあり、あらためて全部通して連載を読んでみた。ホントに最初から愚痴と泣き言で埋め尽くされた活動だったということが判明し、情けなさ倍増ではあったのだが、とにもかくにも当時の切羽詰った思いを思い出すことが出来て、自分のことながら興味深かった。今はのんびりとした状況に戻っちゃっているから忘れちゃってたりするけど、必死は必死だったんだよなぁと改めて実感。

 ただ、困ったことも判明。連載でいろいろ悩んで無理やりこなしてきた様々な問題点だが、「ハズしちまった日。」を完成させたことによって克服できたものはほとんどないということだ。いろいろ落ち込みながらも、作品を完成させられたら次は新たな段階で活動に取り組むことが出来るかもしれないという希望もかすかに抱いていた。でも、いま感じている正直な思いは全然違うところにある。

 「また、振り出しに戻っちゃったな」

 というところだろうか。これからも作品を作っていく上で吹っ切るべきところも吹っ切れていないし、能力的に克服すべきところもあまり育っていない。昨年10月の初公開時から考えても、すでに10ヶ月近いブランクが始まっている。要するに、連載第1回の状況とあまり変わりないのが現在の歩飯野なのだ。

 情けないといえば情けないし、もうちょっと成長してたら状況として美しかったなぁなどとも思うのだが、ひとつだけ判ったことがある。それは、僕はこれからも結局ウダウダしながらじゃないと活動を続けていけない人間なんだろうということだ。自分の個性や才能を信じてまっすぐに進めることはもちろん理想ではあるのだが、それは無理のようだ。

 でもいいのだ。この「ハズしちまった日。」を作る前に実はもうひとつ考えていた思い、「あと一本だけ作ってみて、映画を続けるかやめるかの見極めをしよう」ということに関しては「少なくとももう一本は作ってみたい」と思っているし、振り出しに戻ってしまったことに関しても、これからもウダウダ泣き言を言いながら作ればいいだけのことなのだ。「ハズしちまった日。」は5年間もためて作るような作品じゃなかったかもしれなかったが、5年分のウダウダがなければ、あんなスタイルにはならなかったのも事実だと思うのだ。

 だから次回作がどうなるのかはいまだに自分でも見えていない。考えてはいるのだが、踏ん切りがつなかない。どっちにしろ克服しなきゃいけない問題は多々ある。モノを作るということはウダウダドタバタなのだ!でも、またなるべく早めに皆さんに新作を公開できることになれたら、やはり嬉しいなぁ。

 最後に。今回、自分で読みなおしてみて、本当に読みづらかったので(涙)、いつも読んでくれていた方には心からお礼を申し上げます。皆さんの支えが活動に力を与えてくれたことは、紛れもない事実です。連載は一旦終了いたしますが、これからも応援していただけたら、こんなに嬉しいことはありません。そのためにも、弱音を叫びながら活動を続けていきたいと思います。

本当にありがとうございました。

<了>

(2002年7月16日第97号)

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