私が「foo cafe」を開店したのが2002年11月。たくさん種類のある珈琲豆の中で
店に出す豆を選んだ基準は第一に味、次に価格でした。そのときに豆の木を育てて
いる農民のことは全く意識できませんでした。しばらくして、知人からフェアトレードの
商品を店に置いてみないかと提案してもらいました。そこからフェアトレードについて
調べ始め、ようやく生産者への不公平な負担、貧困、さらに貧しさゆえに学校に行
くこともままならず、中間業者のいいなりになりやすいという悪循環が起きている事、
貿易全体の構造に問題があることを知りました。

フェアトレードとは途上国の人々の仕事に正当な報酬を支払い、彼らが自らの手で
暮らしと環境を守れるようにサポートする貿易のあり方であり、一方的な援助とは違う
対等なパートナー同士としての共存を目指すものであると考えています。

グローバリゼーションの名のもとで、世界的な経済南北格差はますます深刻になって
いる今、フェア(公正)なトレード(交易)とはどういうものなのか?どこか一方がぼろ儲け、
どこか一方が貧しくではおかしいと思い、お店の一画にフェアトレードの商品を
置いてみることにしました。

置いてはみたものの普段からNGOの活動をしていたわけでもなく、観光旅行でしか
海外にでたことがなかったので、フェアトレードに関わることが自分には優等生的な
気がしていました。頭では理念に賛同しつつ、本当のつながりが実感できなかった
からだと思います。
そこで東ティモールのフェアトレード珈琲生産者に話を聞きに行くことにしました。
独立間もない東ティモールはインドネシア軍や民兵が全てを破壊し尽した後で、治安は
よくなったものの、何もない状態でした。そんな中でも私達を明るく迎えてくれ、
一緒に珈琲の実を収穫したり、食事を作ったり、子供たちと遊んだりするうちに、純粋に
この人達の作った珈琲を多くの人に飲んでほしいと思いました。
彼らも日本人現地スタッフと共においしい珈琲を作るためにがんばっています。
私に出来ることはこの珈琲を多くの人に知ってもらうこと、短期でなく長いスパンで
持続可能な形で生産者との付き合いを続けていくことが大事だと感じました。

これからもお店を続けていくにあたり、味と価格だけでなく、生産者、お店、お客さん、
さらに畑や自然に生きる生物達も含め、お互いにとって、それぞれの小さな暮らしを
大事に思う心地よい輪ができればもっといい店になっていくと考えています。
まだ全部というわけにはいかないけれど、少しずつ広げていこうと思っています。
今、何かしたい、何かを変えていかないとと思っている人は増えていると思います。
誰にでもすぐにできることは、まず商品の背景を知ること。海外の問題としてではなく
国内でもアンフェアな状況はたくさんあります。自分が食べているもの、身に着けているもの
など、とにかく多くのものに囲まれて生活していますが、一人一人が関心を持って選択して
いくことで変わっていくのだと思います。