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| はじめまして。私はA市の消防本部に救急隊員として勤務している「HIGE」と申します。年齢は19○○年生まれの??歳です。(笑) 家族は妻と2人の娘がおりますが、娘達が地元の「ミニバスケットボール・チーム」に所属していたことがきっかけで「ミニバス」の「審判資格」を取得し、現在ミニバス審判員としても活動しています。 この度「バスケットボールの家庭教師(BBT)」のHP管理者である「よしかずさん」から、「救急・救命に関するコーナーを作成したいので是非ともご協力をお願いできませんか?」というお話を頂き、微力ながらご協力させて頂くことになりましたが、その発端となりました「ある出来事」について、まずはご説明させて頂きたいと思います。 |
HIGEさんの「スポーツ救急法」誕生秘話2002年も終わろうとしていた師走、A市で開催された「ミニ・バスケットボール大会」で「アクシデント」は発生しました・・・大会開始直後、試合をジャッジしていた男性審判員が体調の不良を訴えた後、意識を失って倒れてしまったのです・・・ざわつく場内・・・ 会場はA市最大規模の会場であり、約1,000人の大観衆の前での出来事でした。 審判員として大会に参加していた私がこのアクシデントを知り現場に駆けつけた時、そこには大勢の人に見守られた男性が仰向けになっていました。 男性の元に駆け寄った私がその状況を見た時、救急隊員としての経験からこの男性が非常に危機的な状況下にあることを察知しました。 顔面は紫色(チアノーゼと呼ばれる循環不全状態)となり、呼吸は下あごをパクパクさせている危機的な呼吸状況(努力性下顎呼吸)、さらに頸動脈ではかすかに「脈」が触知できるものの手首の「脈」が全く触れなかったからです。 私はすぐさま「マウスtoマウス」と「心臓マッサージ」による「心肺蘇生法(CPR)」を開始し、付近にいたもう一名の審判員に協力を求め、救急隊の到着まで2人で心肺蘇生法を継続しました。 「生きるんだ!頑張れ!」と叫びながら・・・ 「自分の目の前で絶対にこの人は死なせない」というその一念で必死に心肺蘇生法を続けていました・・・心肺蘇生法を開始してから約5分後に救急隊が到着しましたが、この時男性の心臓には「心室細動(しんしつさいどう)」と呼ばれる心停止直前の心電図波形が認められました。 「心室細動」は心停止寸前の心臓が「ケイレン」した状態ですが、この「心室細動」が出ている時、その時こそが「救命の唯一のチャンス」なのです。 「心室細動」に最も有効であり、唯一の方法は「除細動(じょさいどう)」と呼ばれる心臓への「電気ショック」です。救急隊に乗務していた「救急救命士」により直ちに心臓への「除細動」(電気ショック)が行われました。 その結果、この男性の心臓は正常な拍動を取り戻しました。そして直ちにA市大学病院の集中治療室へと収容されました。その後、医師による懸命の救命処置が行われた結果、約1週間後のクリスマス・イヴの晩に意識が回復しました。 そして3週間後には一般病棟へと軽快退院、さらにその1ケ月後には何の後遺症も無く倒れる以前と全く同じ状態に回復なさり、完全な社会復帰を成し遂げられましたが、「クリスマス・イヴ」の晩に、男性の奥様から頂いた意識の回復を知らせてくれた電話は、男性のご家族と私にとって最高のクリスマスプレゼントでした。 この男性が完全社会復帰できたことは本当に良かったと思いますが、その大きな要因となったのは、バイスタンダー(その時現場に居合わせた人)から救急隊へ、そして医療機関の救命処置という「救命リレー」のバトンが非常に上手く、そして途切れる事なく見事にリレーされた結果だったのだと思います。 日本では,欧米諸国に比べ、こうした心疾患による心肺停止患者が社会復帰する確率、いわゆる「救命率」が非常に低いと言われています。 日本ではこうした患者の「救命率」はわずか3%程度に過ぎませんが、アメリカ合衆国における「救命率」は実に20%と10倍近い患者が社会復帰しています。 その大きな違いは「救命リレー」の第一走者である「バイスタンダーによる心肺蘇生法」(バイスタンダーCPR)の実施率と、「AED」と呼ばれる一般市民が使用可能な「自動体外式除細動器」の普及であると言われています。 アメリカ合衆国では、こうした心疾患による心停止患者発生時の多くの場合に「バイスタンダーCPR」が実施されています。その中でも「シアトル市」においては、全市民70万人の半数以上がこうした「心肺蘇生法」などの一次救命処置(Basic Life Saport:BLS)の講習を受講しており、いざという時、直ちに実施することができるとともに、先にご紹介した「AED」と呼ばれる「自動体外式除細動器」の普及により、一般市民による早期除細動処置を行う事ができるのです。 (「AED」と一般市民による早期除細動処置について) シアトルでは、心停止患者の傍にいた「バイスタンダー」のほとんど(シアトルのバイスタンダーCPR実施率は50%以上)が「心肺蘇生法」あるいは、「AED」による早期の除細動処置を実施し、「MEDIC―ONE(メディック・ワン)」と呼ばれるパラメディックが乗務する救急隊へ、さらには医療機関という「救命の鎖(チェーン・オブ・サバイバル)」が日常的に連結しており、その救急医療システムによって、実に40%もの救命率が達成されており、世界一の「救命都市」と呼ばれているのです。 私はバスケット大会で遭遇したこの出来事の後、この「救命都市」シアトルの「救急医療システム」についてどうしても自分のこの目で見たくなり、2003年秋、実際にシアトルに行き、シアトルの救急システムを学び、さらにはシアトル救急隊「MEDIC―ONE」への同乗研修をさせて頂きました。 この「シアトル市救急レポート」の詳細については、本HPに掲載してある「HIGEさんのスポーツ救命救急・IN・USA」をご覧頂きたいと思います。 「HIGEさんのスポーツ救命救急・IN・USA」 現在の日本では、119番通報をしてから救急車が現場へ到着するまでの全国平均所要時間は約6分20秒かかると言われていますが、心臓の拍動が停止し、脳への血流の供給が停止してから5分を経過すると、「脳」は不可逆的ダメージを受け、一度ダメージを受けた「脳」の機能は元には戻りません。 そして時間の経過とともに、まず「脳」の機能が停止し、さらに,停止した心臓もそのまま何もしなければ「死」を迎えることになります。ですから、この「最初の5分間」が生死を分ける大切な時間帯なのです・・・・ 「人工呼吸」と「心臓マッサージ」、いわゆる「心肺蘇生法(CPR)」を行うことで、「脳」への血流を供給することができ、さらに血流を送る心臓に刺激を与えることにより、「救命の最大かつ唯一のチャンス」である「心室細動」を継続させることもできるのです。 1986年、ロサンゼルス五輪女子バレーボールでアメリカに銀メダルをもたらしたエースアタッカーの「フロー・ハイマン」選手が,日本の実業団チーム「ダイエー」に所属していた時、試合中襲った突然の心停止により倒れ、帰らぬ人となりました。 この模様は全米にその時のニュース映像が放送されましたが、試合を中断することもなく、何の応急手当もせずに、ハイマン選手を担架に乗せて運んでいるだけの日本人の姿は多くのアメリカ人から非難を浴びました。 「なぜ日本人は何もしないんだ!心肺蘇生法を知らないのか!」と・・・そして、また2003年フランスで開催されたサッカー国際大会「コンフェデレーションズ・カップ」でのカメルーン代表フォエ選手も試合中に突然の心停止に見舞われ急逝しましたが、この時も同じようにその場に居合わせた審判や選手による「バイスタンダーCPR」は実施されませんでした・・・・ さらに、日本では、まだ40歳代の若さでありながら,高円宮殿下がスカッシュ練習中に突然の「心室細動」に見舞われ急逝なさっています・・・・このように、「心臓突然死」は、いつ、どこで、誰に襲ってくるかわからないのです・・・ ハイマン選手の悲劇から20年近く経った2004年、日本でも大きな「変革」が起こりました。 「心室細動」が発生した場合の「除細動」は、日本では医師や救急救命士にしかその使用が許されていませんでしたが、アメリカと同じように「AED」と呼ばれる「自動体外式除細動器」の一般市民使用がついに認められ、「心室細動において、最大でかつ唯一の治療法」である、心臓への電気ショック、いわゆる除細動が、一般市民でも容易に行う事が可能となったのです。 しかしながら、各州の州法により「AED」の設置を義務づけたアメリカに対し、日本ではその設置や普及については、各自治体に任されているため、各自治体の取り組み方によっては「命の地域格差」が出てくる可能性が危惧されています。 また、「AED」が事故現場に到着するまでの間や、「AED」による除細動を実施した後、なお心拍が再開されない時の「心肺蘇生法(CPR)」は、一次救命処置(BLS)の基本でありますが、その普及も今だに十分とは言えない状況にあります。 ですから、このHPをきっかけにして一人でも多くの方が「心肺蘇生法」や「AED」などの一次救命処置(BLS)の必要性を知り、修得して頂き、皆さんにとってそれぞれの「大切な人」の命を救い、守ることができたとしたならば、私にとってこんなに嬉しいことはありません。 「A市ミニ・バスケットボール協会」では,あの「アクシデント」を教訓に、2003年春に開催された「審判講習会」において「救命講習会」を実施しました。 微力ではありますが、この私も熱意溢れる救急隊の仲間達の協力を得てお手伝いをさせて頂きましたが、救命講習の会場には、あの「アクシデント」を現場で間近に体験されていた方も多く参加なさっており、講習に対する参加者の姿勢は真剣そのものでした。 また、「バスケットボールの家庭教師(BBT)」のよしかずさんとの連携により、これからの社会を担う子供達へのBLS普及や、日本の各地でBLSの普及やAED普及推進にご尽力されている皆さんとのネットワーク体制の構築など、一人でも多くの人にBLSを知ってもらうための活動も微力ながら開始しています。 「バスケットボール」競技は、プレーヤーも審判員も非常に運動量の多いスポーツであり、様々な事故が発生する潜在的危険が潜んでいます。 また、バスケットボールのみならず、野球やサッカーなど多くの子供達が関わるスポーツ現場においては、子供の未発達な胸部への衝撃により発生した「心室細動」により心臓突然死に至るという「心臓震盪(しんぞうしんとう)」と呼ばれる新たな危険性が叫ばれており、各地で悲しい事故も報告されており、こうした子供達を守るための活動が全国で展開されています。 (「心臓震盪」について) もちろん、こうしたスポーツの現場においてのアクシデントを予防し、子供達が元気にスポーツを楽しんでくれることが一番良いことではありますが、もしも「万一の事態」が発生した時、「HIGEさんのスポーツ救命救急」が役立ってくれれば幸いです。 今後「バスケットボール」に限らず、あらゆる日本のスポーツに関わる方はもとより、一人でも多くの方が、「心肺蘇生法(CPR)」や「AED」をはじめとする「BLS」の重要性を理解し、修得して頂けることを心より祈っております・・・ そして「小さな力」ではありますが、シアトルのような素晴らしい都市がひとつでも多く生まれてくることを・・・そして「救える命を救う事ができる」そんな社会になってくれる事を切に願い、活動をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。(HIGE) |
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