2009・BLS&AED普及推進スペシャル
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| こんにちは、HIGEです! 「HIGEさんのスポーツ救命救急」夏の恒例イベントとなりました「ERUTLUC(エルトラック)」主催のサマーキャンプに参加する小中学生125人を対象とした出張BLS(一次救命処置)講習会「第6回・YOU・CAN・DO・IT!2009」が、去る8月14日(金)に開催されました。 今回の特集では、そのイベントの模様をお届けしたいと思います。 1、はじめに・・・ 「エルトラック」が主催するバスケットボール・サマーキャンプ恒例の「You・Can・Do・It!」も早いもので今年で第6回目となりました。 ここで、毎年ご紹介しているその歴史を振り返ってみたいと思います。 ★第1回(2004年) 「You・Can・Do・It!・2004」★ 第1回目の「You・Can・Do・It!」は2004年の8月に開催されましたが、この年は日本の救急救命システムに歴史的な変革のあった年でした。 この年の7月1日、我が国でも、ようやくアメリカのように「AED」(自動体外式除細動器)が一般市民にも使用できるようになりました。 しかし、「AED」という言葉も、「AED」にどんな救命効果があるのかも、まだまだ世間には広く知られていませんでした。 そこで、「まずはAEDを知ってもらうこと」を最大のテーマとして、小さなお子さんから大人まで、幅広く理解してもらおうと、「パンダの着ぐるみ」を使った「救命寸劇」を開催し、もしも目の前で、誰かが突然倒れてしまった時、必要となる「CPR(心肺蘇生法)」などの「正しい応急手当の方法」と「AED」(自動体外式除細動器)がどんなものであるのかを知って頂きました。 ![]() 2004年8月開催 第1回「YOU・CAN・DO・IT!2004・救命寸劇」の模様 ★第2回(2005年)「You・Can・Do・It!・2005 」 「You・Can・Do・AED!」★ 翌2005年になると、同年に愛知県で開催された愛知万博「愛・地球博」において、会場内に設置された「AED」により、4名もの尊い命が救われた救命事例が新聞やテレビで大きく報道され、ようやく「AED」という言葉が社会的にも認知されはじめました。 そして、少しずつではありますが、交通機関(駅・空港など)やスタジアムなど、多くの人が集まる場所に「AED」が設置されるようになりました。 このような社会情勢を踏まえ、2005年の8月に開催された第2回目の出張BLS講習会「You・Can・Do・It・2005」では、メインテーマを「AEDの使用方法の普及」とし、「You・Can・Do・AED!」(あなたにもAEDは使用できる!)と銘打ち、小学生、中学生およびバスケットボール指導員や保護者の皆さんに「心肺蘇生法(CPR)」とは?そして「AED」とは?さらには、「AED」をどのような時、どのように使用するのか・・・を主眼とした「BLS講習会」を開催し、大人から子供まで多くの皆さんに「AED」の操作を実体験して頂きました。 ![]() 2005年8月開催「YOU・CAN・DO・AED!」の模様 ★第3回(2006年)「You・Can・Do・It!・2006」★ 翌2006年、一般市民に緊急時のAED使用が認められてから2年が過ぎ、日本でも多くの人が集まる交通機関(空港や駅)をはじめ、スタジアムなどの大規模集客施設、そして公的な施設に「AED」が設置されるようになりました。ようやくAEDも社会的に認知された結果、全国各地に普及が進み、一般の人々がAEDを使用した救命事例も各地から報告されるようになりました。 さらに、当「HIGEさんのスポーツ救命救急」HPにおいて、以前からご紹介しておりますとおり、日本全国には「BLS」や「AED」の普及活動にご尽力なさっている皆さんがたくさんいらっしゃいます。こうした多くの皆さんの地道な「草の根活動」によって、「BLS」の重要性や「AED」の認知度も少しずつ向上し、「AED」が果たす社会的な役割もようやく広く認められるようになり、私達の永年の課題であり、目的であった学校などの教育施設にも遅ればせながら、ようやく「AED」が設置され始めましたが、どんなに「AED」の数が増えても、それだけでは「命」を救う事はできません。 そこに「AEDを使える人」、「今そこでピンチに陥っている人を救いたい。」という「心」を持った人がいて、初めて「AED」はその効果を発揮します。 過去2年間で、こうした「救いの手を差し伸べる心」や「AED」の使用方法を学んできた事から、第3回となる講習会では、成人のBBT(現エルトラック)バスケットボール指導員の皆さんと、その周囲にいる子供達の連携により「より実戦的なAEDを使用したBLSが実施できること」を主眼とした実践的な「BLSトレーニング」を企画し、成人と子供のコラボレーション(協働)によるいち早いBLSの開始を学ぶとともに、たとえ子どもでも、知識があればBLSを実施できるんだということを学びました。 ![]() 2006年8月開催「You・Can・Do・It!・2006」の模様 ★第4回(2007年)「You・Can・Do・It!・2007」 第1回BLSコンテスト開催★ 2004年の第1回から2006年の第3回までの3年間で、以上のような経過を辿ってきた「You・Can・Do・It」でしたが、第4回目となった2007年の講習会では、過去3回のサマーキャンプにおいて講習会を受講したことのある子ども達のグループを「アドバンス・コース」、今年度初めて講習会を受講する子ども達のグループを「ベーシック・コース」という2つのカテゴリーに分け、それぞれのカテゴリーにおいて個別の講習会を実施した後、2つのカテゴリーが合流し「アドバンス・コース」の子ども達を対象に、初の試みとして「BLSコンテスト」を企画、開催しました。 ![]() 2007年8月開催「You・Can・Do・It・2007」の様子 第4回目の開催となった2007年から遡ること3年前の2004年、第1回サマーキャンプにおける出張BLS講習会のご依頼を受けた時、私がモデルとし、参考としたのは、2003年秋に私が研修に訪れたアメリカ合衆国シアトル市で学んだ「子ども達へのBLS教育システム」でした。 世界一の救命都市として名高いシアトルでは、まず小学校において「BLSの必要性」を学び、中学校において「CPR」や「AEDを用いたBLS」を学びます。 1977年に、このBLS教育システムを導入した事によって、シアトルのバイスタンダーCPRの実施率はその後飛躍的に伸び、それに伴って救命率も向上しました。 18歳までに3回のBLS講習を受講することにより、バイスタンダーCPRの実施率が飛躍的に向上するという論文もありました。 このことから、シアトルのシステムをお手本に、18歳までに3回の講習会を、段階を踏んで学んでいくことを念頭に置き、中期計画を立てました。 まず初年度には「BLSを知ってもらう」ことからスタートし、2年目には「AEDを知ってもらう」こと、そして3年目には「大人と協働してAEDを使用したBLSの実践」というテーマを設け、ステップアップしながら開催してきましたが、4年目を迎えた2007年は、過去3年間講習を受けてくれた子ども達を対象に「子ども達だけによるBLS」をテーマに、「BLSコンテスト」を開催してみようと思いました。 起きてはいけない事ではありますが、大人が不在であり、子どもだけしかいなかったスポーツの現場で事故が発生し、悲しい結果になってしまった例は少なくありません。「BLS」ができるのは、その場にいる人だけです・・・・ 不幸にしてこうした事故が起きた時、もし、その場にいた子ども達にBLSの知識があれば、命を救える可能性は大きく拡がります。 このような悲しい事故が起きないよう、私達大人は十分注意しなければいけませんが、万が一、子ども達しかいなかった時、このような事故が起きてしまった際、子ども達がBLSを行う勇気の源になってくれれば・・・と思い「BLSコンテスト」を開催することにしました。 衆人監視の中、子どもたちだけで、どれだけのBLSを実施することができるのだろう?主催者であるエルトラック代表の「よしかずさん」ともども不安と期待を持っての企画でしたが、子ども達は、チームの仲間と助け合いながら、立派にBLSを実施することができました。 何より嬉しかった事は、子ども達ひとりひとりが、「命」の尊さと、「命のバトンをつなぐ事」というこの講習会のテーマを十分に理解し、一方通行で教わるのではなく、年長者が年少者に教えるという協調性や、自ら進んで参加する自主性を持ち、積極的に講習会に参加してくれた事でした。 講習会を通じ「継続していくことの重要性」を改めて強く認識しました。そして「継続していく事」が、子ども達の「自ら考えて行動する」という自主性をも育んでくれることを感じ、例え子どもであっても、正しく理解すれば成人にも負けない素晴らしいBLSが実施できるという事を確信した講習会でしたが、ひとつだけ心残りがありました。 講習会で使用する訓練用の人形やAEDトレーナーの数が、受講者数に比べ不足しており、BLSコンテストを「アドバンス・コース」の子ども達にしか開催してあげられなかった事でした・・・・ 「もっと訓練用の資器材があれば、子ども達ひとりひとりが訓練用の人形やAEDに触れる時間も多くなり、受講した子ども達全員に十分な実技トレーニングをしてあげることができ、全員をBLSコンテストにも参加させてあげられるのに・・・」そう思いました。 来年こそは、何とかこの問題を解決して、もっといい講習会を提供したい・・・そんな思いが残った2007年の講習会でした・・・ ★第5回(2008年)「You・Can・Do・It!・2008」 5周年記念イベント開催★ 毎年120人の子どもたちが参加するサマーキャンプBLS講習会で使用する訓練用の資器材がどうにかならないものか・・・そんな悩みを抱えながら、2008年夏のBLS講習会の企画を考えていましたが、どうしても資器材の手配がつきませんでした。そんなある日、私は一通のメールを送りました。 メールの送り先は「救命コム」さんでした。「救命コム」さんは、BLSトレーニング用の資器材のレンタルをしている業者さんで、当HPともリンクさせて頂いている「心臓震盪から子どもを救う会」さんのAEDレンタル事業を受託している業者さんでもあることから、今年のサマーキャンプ講習会で使用する資器材をレンタルさせて頂こうと思い、まずはご相談のメールを送らせて頂きました。 翌日「救命コム」さんからメールの返事を頂きましたが、その内容を読んで驚きました。 なんと!!BLS講習会に使用する訓練用の資器材を無料でご提供下さるという内容だったのです。受講者数120名を越える講習会となりますことから、訓練用人形とAEDトレーナー23セットを使用する予定でしたが、その全てをご提供して下さるというお返事を読んだ時は本当に驚きましたが、ひとりでも多くの子ども達にBLSを学んで欲しい、実際に人形に触れて欲しいという、「救命コム」さんのお心遣いに、心から感謝し、ご提供をお受けさせて頂くことにしました。 かくして、「救命コム」さんの全面バックアップを頂き、「You・Can・Do・It!・2008」は始動しましたが、資器材の見込みがついた後の次なる課題は、23セットの訓練用人形やAEDトレーナーを最大限に活用するための指導員の募集でした。 例年であれば、資器材の数も少なかったことから、指導員の数も10人程度でまかなえていたのですが、今回は倍以上の指導員が必要になりました。 そんな中、私の呼びかけに多くの救急救命士や救急隊員が応えてくれました。当日は24時間勤務を終え非番にあたる者、休日の者、ベテランから若手まで実に26名もの指導員がボランティアとして集まってくれました。彼等の協力なしには、2008年の講習会は実現しませんでした。 「熱意」と「思い」だけで各地からお集り下さったBLS指導員のもと、5周年記念イベント「You・Can・Do・It 2008」は大成功のうちに終了し、各方面から非常に高いご評価を頂くことができました。 ![]() 5周年記念「You・Can・Do・It!・2008」BLSコンテストの様子 この講習会には、エルトラックでバスケットボール教室を開催なさっていらっしゃる1996年のアトランタ五輪・2004年アテネ五輪の女子バスケットボール日本代表選手、永田睦子さんも特別参加して下さいました。 子ども達にとって憧れの選手である永田さんが、一緒にBLSを学んで下さる姿を見て、子ども達も一生懸命にBLSを学んでくれたと思います。 永田さんは、講習会の最後に実施したBLSコンテストの優秀チームへの賞品のプレゼンターもして頂き、講習会を盛り上げて下さいました。様々な人たちの「想い」と「熱意」が結集し、大成功のうちに終了した5周年記念の講習会でした。 ![]() 「You・Can・Do・It・2008」を支えてくれたボランティア指導員一同 (中央は特別参加して下さった永田睦子さん) 以上、過去5年間の「You・Can・Do・It」の歴史を振り返ってみましたが、今年の講習会も昨年と同様に「救命コム」さんが資器材のご協賛を申し出て下さり、13セットの訓練用人形とAEDトレーナーをご提供下さいました。2年連続のお心遣いに心から感謝申し上げます。 「救命コム」HPはこちらからどうぞ! 今年も「救命コム」さんから講習会用資器材のご協賛を頂けることになったことから、昨年並みの講習会を提供したいと思い、春先から企画を進めましたが、今年は開催日がお盆の最中の8月14日となったことから、BLS指導員を昨年並みに集めることができず、昨年並みの規模で開催できなかったことが、ちょっとだけ残念でしたが、お盆の最中というご多忙中、今年も15人の「BLSボランティア」の皆さんが集まって下さいました。 毎年のことですが、私ひとりではこのBLS講習会は成り立たず、ボランティアの皆さんのお力添えがあってこその講習会です。この場をお借りして、ボランティアの皆様に心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。 ![]() 「You・Can・Do・It!2009」BLSボランティア指導員一同 人数の分は企画と元気でカバーということで、新企画で臨んだ講習会でしたが、昨年特別参加して下さった永田睦子さんが今年もご参加下さり、同じく「古武術式介護法」のご考案者であり、TVや雑誌にもご登場され、私、HIGEの「師」でもある介護福祉士の岡田慎一郎先生も特別参加して下さり、今年のサマーキャンプBLS講習会を盛り上げて下さいました。 永田睦子さんのプロフィールは、皆さんもよくご存じかと思いますが、日本の女子バスケットボールの名門チーム、シャンソン化粧品(現シャンソン・Vマジック)に入社、主力選手としてご活躍され、シャンソンの黄金時代に貢献。Wリーグ優勝5回、得点王6回、MVP3回を獲得なさいました。 日本代表でも中心選手としてご活躍され、アジア大会では金メダルを獲得、1996年アトランタ・2004年アテネと2大会の五輪に出場されました。 2004年のアテネ五輪においては、日本代表のポイントゲッターとして活躍されたことは皆さんのご記憶にも新しいことと思います。 ![]() シャンソン・Vマジック時代の永田さん 今回初参加して下さった岡田先生のプロフィールは下記からご覧頂きたいと思いますが、ここで私と岡田先生の出会いについて簡単にご紹介させて頂きたいと思います。 一昨年のことです・・・救急活動中の患者さんを搬送時、私は突然の「ぎっくり腰」に見舞われてしまいました。 私にとって「ぎっくり腰」は初体験で、完全復帰まで2週間ほどかかりましたが、復帰後も再発の恐怖がつきまとい、患者さんを移動する際、いつも怯えていました。 救急現場における救護活動時や患者さんを搬送する際の「ぎっくり腰」や慢性的な腰痛症は、救急隊員の宿命的な「職業病」と言われており、私の職場はもちろん、全国各地の救急隊員が悩まされ、いつもその恐怖と隣り合わせで活動をしています。 こうした腰痛症の予防法としては「腰や足の筋力トレーニングを行い、腰にかかる負担を周囲の筋肉を鍛えてカバーすること。」とされていますが、若い救急隊員であれば、それもできますが、私のような中高年層の救急隊員には筋力トレーニングをしようにも限界があります。 「何かいい方法はないものか・・・・」と考えていたそんな時、何気なく見ていたテレビで取り上げられていたのが、岡田先生が考案した「古武術式介護法」の特集でした。 高齢化が進み、介護を要するご高齢者が増えている中、介護福祉士や自宅で介護をしている家族の肉体的負担は想像以上にきついものです。 ご主人が寝たきりとなり、ご高齢の奥様が介護しているといったご家庭も増え、全介護状態、いわゆる「寝たきり」となった要介護者の介護中に「ぎっくり腰」などの腰痛を発症する介護福祉士さんやご家族が増えていることが介護の現場で問題視され、その予防法と対策が急務となっていました。 そんな時、介護福祉士として介護の現場に携わり、こうした問題に直面していた岡田先生は、日本古来から伝わる柔道や剣術、空手などの武術、いわゆる「古武術」における無理のない身体操作法を各種スポーツや日常生活に取り入れることを提唱され、元巨人軍の桑田真澄投手や世界陸上で銅メダルに輝いた末次選手などが師事していた甲野善紀先生に師事、「古武術式介護法」を発案し、その普及活動をしていらっしゃいました。 個々の筋力と体力に頼っていた今までの介護法と違い、日本古来から伝わる古武術を由来とする無理なく体全体を使うという画期的な「古武術式介護法」により、ごく普通の体格の高齢女性がいとも簡単に、体の大きな男性の要介護者を移動したり、ベッドから起こしたりする様をテレビで目の当たりにした私は、「これだ!」と思いました。 早速、都内で開催された岡田先生が主催する「古武術式介護法」の実技講習会に参加させて頂き、「古武術式介護法」を学びましたが、その多くは救急現場にも応用できるものでした。(詳しくは下記URL「岡田慎一郎のウェブサイト」をご覧ください。) 講習会を受講後、古武術式身体操作のトレーニングを重ね、救急現場での活用を開始しましたが、以前に比べ数倍の労力軽減が実現し、それ以降、「腰痛の恐怖」から解放されました。 講習会の際、岡田先生に「私は救急隊員であり、この介護法を救急救護現場で活用させて頂きたいのですが・・・」というお話をさせて頂いた際、快くご了解を頂いていて以後、岡田先生とのご交流が始まり、今回のBLS講習会開催のご案内を致しましたところ、特別参加して下さった次第です。日本全国から講演会や講習会のご依頼が殺到し、本当にお忙しいスケジュールの合間を縫ってご参加下さった岡田先生に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 岡田慎一郎先生 プロフィールはこちらから 岡田先生のHP「岡田慎一郎のウェブサイト」 特別参加して下さった永田睦子さん、岡田慎一郎さんのお二方には、この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。 それでは、「You・Can・Do・It!・2009」のレポートをお送りします。 2、救命コムPresents・ERTLUCサマーキャンプ出張BLS講習会「YOU・CAN・DO・IT!2009」 ●実施日時 2009年8月14日(金)東京都内スポーツ施設 19:00〜21:30 ●主催 (株)ERTLUC(エルトラック) ●協賛 救命コム ●参加者 小・中学生125人・コーチ20人 ●特別参加 アトランタ・アテネ五輪女子バスケットボール日本代表 永田 睦子さん 「古武術式介護法・カラダにやさしい介護術」著者 岡田慎一郎さん 今年度の講習会は、継続参加している子供たちの割合が少なかったため、小学生カテゴリーと中学生カテゴリーの2つに分け、講習会を実施しました。 以下、「小学生コース」、「中学生以上コース」の各カテゴリーにおけるBLS講習会の内容をお届け致します。 3、「小学生コース」BLS講習「AEDって何だろう?」 小学生を対象とした「小学生コース」は、メイン会場の体育館でDVDを視聴してもらいました。視聴してもらったDVDは「AEDって何だろう?」というアニメDVDです。 このDVDは、今年の2月に東京都で開催された「AEDの学校教育現場への普及シンポジウム」の席上で、厚生労働省の研究班が制作した「小中学生のためのアニメ教材」ですが、2月のシンポでこのDVDを拝見した際、小学生にも非常にわかりやすい内容であったことから、分担研究者でいらっしゃる長崎大学の長谷先生に「今年の夏のサマーキャンプBLS講習会の教材として使用させて下さい。」というお願いのメールを送ったところ、快くご了解を頂き、今回の講習会で使用させて頂きました。使用をご快諾下さいました長谷先生、ありがとうございました。 ※本DVDは、厚生労働省循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業「自動体外式除細動器(AED)を用いた心疾患の救命率向上のための体制の構築に関する研究班」で教育目的に制作したDVDを、分担研究者(長谷先生)の許可を得て使用したものです。 2月11日 東京都内で開催された「AEDシンポジウム」のレポートはこちらから。 「AEDって何だろう?」を視聴する小学生コースの様子 以前にもご紹介しましたが、今から数年前、東北であった実話です。 ある朝、自宅付近の池に、ハンドル操作を誤り1台の乗用車が転落しました。 自宅から父親と息子(当時小学校高学年)が現場に行ってみると、乗用車の半分が池に沈み、運転手の男性は顔が水に浸かっていてぐったりとして動きません。 父親が池に入り、ドアのガラスを破り、男性を救出、池から引き上げましたが呼吸がありません。 いったいどうしたものか・・・と戸惑う父親に、息子がこう言いました。「お父さん、顎を引き上げて気道確保、そしたら鼻をつまんで人工呼吸して!」父親は息子に言われたように人工呼吸を開始したところ、男性は水を吐き出し、呼吸が再開。一命を取り留めることができましたが、なぜ、この男の子が人工呼吸を知っていたのでしょうか? お手柄の男の子に聞くと、彼はこう言いました。「だって、名探偵コナンの映画でコナン君がやっていたから。そのとおりにお父さんに教えただけだよ。」と・・・・ 子どもから大人まで絶大な人気を誇るテレビアニメ「名探偵コナン」の映画版「14番目の標的」の中で、短い時間ですが、確かにコナン君が人工呼吸の方法について説明するシーンがあります。そんな短いシーンでも、彼等にとってヒーローであるコナン君がやっているということでしっかりと記憶に残るのです。 15分ちょっとのアニメでしたが、子供たちは皆、真剣な表情で視聴しており、AEDやBLSの必要性を学んでくれたものと思います。 アニメを見た後は、実際のAED(と言ってもAEDトレーナーですが)を見てもらいました。 そして、子供たちに発生率が高い「心臓震盪」の発生するメカニズムと、「心臓震盪」が起きた時の素早い心肺蘇生法(胸骨圧迫)とAEDの重要性、AEDを使う時の注意事項などの話を聞いてもらいました。 ![]() 実際の「AED」を見ながら「心臓震盪」についての話を聞く小学生コース 4、「中学生コース」BLS講習PART1「命のバトンをつなぐために・・」 「中学生コース」は、研修室において当HPのオブザーバーとしてお馴染みのひでじいさん他6名のスタッフによる「BLSとAED」をテーマとしたBLSに関するDVDの視聴と小学生コースと同じく「心臓震盪」に関する講義を行いましたが、講習会の進行に追われてしまい、残念ながら画像を撮影するのを忘れてしまいました。画像が無くてすいませんでした・・・ この講義で使用したDVDは、当HPではおなじみの「命のバトン〜a message from Saori」です。その後、さくらさん達のAED&BLSの普及活動を特集した福井テレビのドキュメンタリー番組「つなげ!命のバトン」を視聴してもらいました。 このDVDを見て「救える命」があることを、そして「救うために何をなすべきか・・・」ということを学んでくれたものと思います。 5 コース合同「BLSスキルトレーニング」 各カテゴリー別のカリキュラムを終了した後は、体育館に全ての受講者が集まって「BLSスキルトレーニング」を実施しました。 10人が1チームとなり、体育館には13箇所の「トレーニング・ブース」を設定しました。 昨年の1ブース6人での23ブースに比べると、ちょっと規模は小さいですが、それでも広い体育館いっぱいに設定されたトレーニング・ブースは壮観でした。 「BLSスキルトレーニング」の開始前に、指導員による実技展示を行いましたが、現役の若手救急隊員によるBLSの展示が行われました。 様々な救命講習会での模範演技の展示で鍛えられたBLS指導員の皆さんのBLS展示は「さすが!」の一言でした。全員でBLS展示を見学の後、いよいよ「BLSスキルトレーニング」のスタートとなりました。 ![]() ボランティア指導員によるBLSの展示(1) ボランティア指導員によるBLSの展示(2) 「BLSスキルトレーニング」最初の5分間は、現在のBLSの基本である「ガイドライン2005」のテーマである「強く、早く、絶え間ない有効な胸骨圧迫心臓マッサージ」をするために必要な「1分間に100回のリズム」を体得してもらうために、3年連続各コース合同で、1分間に100回のリズムと同じ、SMAPの「世界にひとつだけの花」を体育館の放送設備を使い、BGMとして会場全体に流しながら胸骨圧迫のリズムの体得講習を実施しました。 ![]() 「世界にひとつだけの花」のリズムでの「胸骨圧迫」の実技練習の様子 今回のサマーキャンプ講習会では、例年のサマーキャンプ講習会とはちょっと違った点がありました。 例年は、過去にこのBLS講習会を数回受講した子どもが多数おり、その子供たちが初参加の年少者にBLSを教えるという笑ましい光景も見られましたが、年を重ね、今まで参加していた子どもの多くは高校生となり、サマーキャンプを卒業していったことから、今年はその多くが初参加の子供たちでした。 キャンプの初日に初めて会った子供同志でのチーム編成になったということもあり、戸惑う部分も見られたことから、今後は 「卒業」していく子どもたちのことも考え、初めて受講する子ども達が多くても、スムーズに講習会に入れるようなプログラム作りをしていかなければ・・・と思いました。 これは来年への課題となりましたが、そんな中、ちょっと堅い雰囲気の講習会を盛り上げて下さったのは、昨年に続いて特別参加して下さった永田睦子さんと今回初参加して下さった岡田慎一郎さんでした。 ちょっと尻込みしている子供たちを元気付け、自ら率先してBLSの実技を習得しようとする姿勢には本当に頭が下がりました。お二人には心から感謝・感謝です。 ![]() 子供たちと一緒に実技講習を受講してくれた永田さんと岡田さん(1) ![]() 子供たちと一緒に実技講習を受講してくれた永田さんと岡田さん(2) ![]() 子供たちと一緒に実技講習を受講してくれた永田さんと岡田さん(3) 子供たちのBLS実技トレーニングの様子(1) ![]() 子供たちのBLS実技トレーニングの様子(2) ![]() 子供たちのBLS実技トレーニングの様子(3) ![]() 子供たちのBLS実技トレーニングの様子(4) ![]() 子供たちのBLS実技トレーニングの様子(5) 6 保護者・一般参加オープンブース 各コースで「BLSスキルトレーニング」が開催されている間、昨年に続き、子ども達の保護者など一般の方を対象に、BLSの実技を体験して頂くための「保護者・一般向けオープン・ブース」を1箇所作りました。 この「オープン・ブース」は、ボランティア指導員の人数がギリギリだったことから、計画当初は設置する予定はありませんでしたが、前日になり参加希望者が増え、急遽設定することになりましたが、人員はギリギリ。どうしようか・・・と悩んだ末、毎年講習会を見学に来て下さり、応援して頂いている「HIGEネットワーク」のお仲間の「Hama」さんに急遽のお願いを致しました。 そんな急遽のお願いにも関わらず、「オープン・ブース」のご担当をご快諾頂き、無事にオープンすることができました。「Hama 」さん、急遽のお願いにも関わらず、お引き受け下さり本当にありがとうございました。 ![]() 「Hamaさん」ご担当のオープン・ブースの様子 7、HIGEさんのスポーツ救命救急・「第3回BLSコンテスト」 2007年、2008年と、チームとしてどれだけ早く、確実なBLSができるか?をテーマに「BLSコンテスト」を開催し、素晴らしい成果を上げてきましたが、今年は初の試みとして個人戦形式で開催することにしました。 小学校低学年は、もし人が目の前で倒れた時、どれだけ大きな声で人を呼ぶことができるか・・・を競う「誰か来て下さ〜い!大声コンテスト」を、小学校高学年以上は、「胸骨圧迫タイムトライアル」を実施しました。 大声コンテストは文字どおり、どれだけ大きな声で人を呼ぶことができるかを競うもので、音量計により、声の大きさを測定します。 「胸骨圧迫タイムトライアル」は、1分間に100回のリズムで正しく胸骨圧迫が行われた時、30回の胸骨圧迫終了時には19秒になることから、30回の胸骨圧迫を行い、いかに19秒に近いタイムを出すことができるかを競いました。 「大声コンテスト」、「胸骨圧迫タイムトライアル」とも成績上位者には「HIGEさん賞」を贈呈致しますが、今年の「HIGEさん賞」は、「広めようCPR」キャンペーンを展開中の医療・救命機器の大手である「レールダール・ジャパン」さんがご協賛して下さり、最近脚光を浴びている「CPR&AEDパーソナルトレーニング・キット」を賞品としてご提供下さりました。 「レールダール・ジャパン」さんには、この場をお借りして心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。 ![]() レールダール・ジャパンさんが提供下さった 「CPR&AEDトレーニング・キット」 「レールダール・ジャパン・広めようCPR」はこちらから 「CPR&AEDトレーニング・キット」はこちらから さて、こうして今年の「BLSコンテスト」がスタートしました。 小学校低学年児童を対象とした「大声コンテスト」では、小さな子どもたちが大声を出すのを恥ずかしがってしまうかな・・・と心配でしたが、「人が倒れていま〜す!誰か来て下さ〜い!!」と小さな体をいっぱいに使って、大きな声を出してくれました。頑張ってくれた子どもたちに大感謝です。 ![]() 小学校低学年を対象とした「誰か来て下さ〜い!大声コンテスト」の様子 「大声コンテスト」と並行して各ブースでは、30回の胸骨圧迫がいかに19秒に近いタイムでできるか・・・を競う「胸骨圧迫タイムトライアル」が開始されました。 ![]() 小学校高学年以上が実施した「胸骨圧迫タイムトライアル」の様子(1) ![]() 「胸骨圧迫タイムトライアル」の様子(2) ![]() 「胸骨圧迫タイムトライアル」には、主催者のエルトラック鈴木代表も参加 やがて「BLSコンテスト」も無事に終了。「大声コンテスト」では、108ホーンを記録した4年生の男子児童が、「胸骨圧迫タイムトライアル」では、19秒2という素晴らしいタイムを出した中学生男子がそれぞれ見事に優勝を飾り、昨年に引き続いてプレゼンターをして頂いた特別参加の永田睦子さんから上位入賞者に「CPR&AEDパーソナルキット」などの賞品が贈られれました。参加してくれた皆さん、お疲れ様でした。 ![]() 「大声コンテスト」上位入賞者の表彰式 ![]() 「胸骨圧迫タイムトライアル」上位入賞者の表彰式 表彰式の後、特別参加して下さった永田睦子さんからご講評を頂きましたが、「笑いながら、ごく普通に救命を学べる環境は、本当に恵まれており、その環境にいられることに感謝しなくてはならない・・・」というお話をして下さいましたが、本当にそのとおりだと思いました・・・ ![]() 特別参加して下さった永田睦子さんの講評 実際に人が倒れた時の現場は、こんな和やかな環境とは遠くかけ離れたものです・・・ サマーキャンプも終わり、このレポートを書いていた8月21日(金)の夕方、バイトに出掛けた19歳の長女から私の携帯に電話が入りました。 涙声だったので、「どうした?」と聞くと、「駅の地下で人が倒れてて、今CPRしてる!あ、AEDが来た。」とのこと・・・たまたま休日で家にいた私は「判った!救急車が来るまで頑張れ!」と言って電話を切りました。 その後、また電話が入り「今、救急隊の人と交代した。AEDを着けたけど、メッセージが無かったから胸骨圧迫を続けた。」とのこと。 到着した救急隊は、奇しくも私が勤務している署の救急隊だったため、「救急隊のお手伝いをしなさい。」と言い電話を切りました。 それからまた電話があり「今、救急車が病院に向かった。」とのことで、電話口からはピーポー・サイレンの音が聞こえてきました・・・・ 「よく頑張ったな。」と娘に言うと、一気に泣き声に・・・ 状況を聞いてみると、バイトに向かう途中、人だかりができていたので「何だろう」と思い、見てみると60歳くらいの女性が倒れていたそうです。 周囲の人は、ただ見ているだけだったので、女性の元に駆け寄り、「どうしました?」と声をかけるも反応なし。 気道確保して呼吸を確認すると呼吸は「したりしなかったり・・・」普段通りの呼吸ではなかったため、救急車とAEDを依頼し胸骨圧迫を開始したそうです。 救急車はすでに誰かが依頼し、AEDは駅の職員が取りに行ってくれたとのことで、しばらく胸骨圧迫を実施していると、一人の男性が胸骨圧迫を交代してくれたため、その間に私に電話をしてきたとのことでした。 その後、AEDが到着したため、パッドを装着したものの「除細動メッセージ」は無く、さらに胸骨圧迫を実施中に救急隊が到着し、救急隊と胸骨圧迫を交替したとのこと。 現場は偶然にも私の勤務する消防署の管轄区域であり、私の同僚の救命士が現場に行き、娘からCPRを引き継いだ後、その場で5サイクルの胸骨圧迫を続けて頑張ってくれたそうですが、残念ながらAEDの「除細動メッセージ」は最後まで無かったそうです。 バイスタンダー、そして救急隊へと「命のバトン」が手渡され、救急隊も懸命な救命処置を行い、病院まで搬送しましたが、この女性は残念ながらお亡くなりになったそうです。 残念な結果にはなりましたが、周囲の大人達がただ見つめるばかりの現場で、ありったけの勇気を振り絞ってBLSをしてくれた娘を私は誇りに思いました。 女性を搬送した同僚の救命士からも「娘さんは本当に一生懸命やってくれました。娘さんのご行為に応えられず、本当に残念です・・・娘さんにはありがとうございましたとお伝え下さい。」という言葉を頂きました。AEDからの「除細動メッセージ」が無かったことから、倒れてから娘がCPRを開始するまでに時間の経過があったのかもしれません・・・ その夜、バイトから帰宅した娘から詳しい話を聞くと、周囲にはかなり多くの人がいたそうですが、皆遠巻きに見ているだけだったそうで、「おばあちゃん!頑張って!」と半分泣きながらCPRを始めた娘を見ながら「あの子、すごいね」と、まるで人ごとのように言っている人の声が聞こえたそうです。 「あれだけの人がいて、みんな私より年上なのに・・・お父さんの気持ちがよく判ったよ・・・」と言っていました。 娘が胸骨圧迫を開始して少し経った後、スーツ姿の若い男性が胸骨圧迫を交替してくれ、到着したAEDの装着は、その後に駆けつけた交番の若い婦人警官が手伝ってくれたそうです。 残念な結果になってしまいましたが、そんな状況下で、よくぞバイスタンダーCPRをやってくれたと思います。 きっと最大限の勇気を振り絞っての行動だったと思いますが、娘もまた、この「サマーキャンプBLS講習会・You・Can・Do・It!」を受講した卒業生であり、「胸骨圧迫の時は、世界にひとつだけの花のリズムを思い出しながら頑張ったよ。」と言ってくれ、サマーキャンプBLS講習会で学んだことを実践してくれたことを心から嬉しく思いました。 このような場面に一生出会わないことが理想ですが、大きくなって、もしも、そんな現場に遭遇したら・・・どうか今日の講習会の事を思い出し、「命のバトン」をつなげるために救いの手を差し伸べて欲しいと思います。 今回の出来事で、ただひとつだけ、とても残念に感じたことがありました・・・・ 搬送された女性がお亡くなりになったことから、管轄の警察署から当時の状況を聞きたいという電話が娘に掛ってきましたが、「何を根拠に呼吸が無いと判断したのか?」という質問をされたそうです。 娘は「父が救急救命士で、普段から応急処置の仕方を聞いていますし、救命講習会も受けています。」と答えた後、「その後にAEDを装着しました。」と言うと、その警察官は「えっ、何?え〜何ですか?」と言っていたそうで、娘は「自動体外式除細動器ですけど・・・」と言うと「じどう?じどう何ですか?」と、AEDを全く知らなかったそうです。 そして、何をしたか、どうやってしたか、事件性はあるのか?というように事情聴取に終始し、結局、最後まで「大変でしたね」という感謝の言葉も無く、まるで参考人に対する「取り調べ」のような聞き方を、とても不快に感じたそうです。 娘曰く、「後になって警察からこんな取り調べみたいな電話が掛ってきたら、次からは関わらない方がいいって思っちゃうかも知れないよ。」と言っており、確かにそうかしれないって思いました。 もちろん、全国の警察の全てが、このような電話を掛けているとは思いませんが、電話を掛ける人の人間性というか、ちょっとした「心遣い」ひとつなんだと思います。 いくら救急隊から感謝の言葉を掛けても、そのあとから、このような電話が掛かってきたら「次からはもう関わらない」って思ってしまう人は多いかもしれません。 対照的に、現場に到着した同僚救命士が娘とCPRを交替する際に掛けてくれた「よく頑張ったね!助けるからね!」という言葉は「本当に嬉しくて涙が出てきたよ。」と言っており、現場での声掛けや、後のフォローがいかに大切かということを私も改めて感じました。 このあたりは、今回、娘がバイスタンダーとして関わって判ったことでしたが、バイスタンダーに対する現場での声掛けや事後のフォローアップの重要性を改めて考えさせる出来事でした。 苦言を呈してしまいましたが、救命に取り組んでいる県警本部もありますので、ここでご紹介させて頂きます。 【記事ここから】 ●AED:署員が学習、奈良県警が全署に配備 /奈良● 奈良県警は、県内全15署を含む計19カ所にAED(自動体外式除細動器)を1台ずつ配備した。地震などの災害や事件事故の発生時などに、心肺停止状態になった人を救命するのに役立てる。費用は約300万円。配備に合わせて、奈良署で実技講習があった。 講習には、各署員ら約40人が参加。人形でAEDの使い方や心肺蘇生法を確認した。 県警警備部参事官が「救命は時間との戦い。全署に配備され、力強い味方が出来た。尊い命を一人でも救っていただきたい」とあいさつした。奈良県警は2007年3月に、自動車警ら隊のパトカー2台にAEDを配備した。今後は交番などにも設置したいとしている。【記事ここまで】 「110番」と「119番」、人の「命」を守るという意味では、同じです。 どうか、このような警察機関が増え「命のバトン」をつなげるための仲間として、一緒に頑張って欲しいと思います。 話がだいぶ逸れてしまいましたが、2009年のサマーキャンプBLS講習会も、何とか無事に終了しました。今回初めての試みだった「大声コンテスト」と「胸骨圧迫タイムトライアル」も予想以上の成果を上げることができましたが、これも一重にご支援、ご協力を頂いた多くの皆さまのおかげと心から感謝しております。 ![]() 2009・BLS講習会ボランティア指導員一同、講習会終了のご挨拶 講習会で使用した訓練用の人形やAEDトレーナーをご提供下さった「救命コム」さん。アニメ教材「AEDって何だろう?」の使用に快くご許可下さった長谷先生。「BLSコンテスト」の賞品をご協賛下さった「レールダール・ジャパン」さん。 特別参加で講習会を盛り上げて下さった永田睦子さん、岡田慎一郎さん、急遽の設置となった「オープン・ブース」で保護者の指導をして下さった「Hamaさん」、本当にありがとうございました。 そして、お盆の最中にもかかわらず、勤務明けの非番や貴重な休日の中を、この講習会のためにお集まり下さったボランティア指導員の皆さん、講習会の企画から実施までサポートして下さったエルトラックのスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。 ![]() 講習会終了後、BLSボランティアスタッフで特別参加の永田睦子さんと記念撮影 ここで、今回の講習会の主催者である(株)エルトラックの鈴木代表から2009年度サマーキャンプBLS講習会のコメントをお寄せ頂きましたのでご紹介させて頂きます。 8、主催者からのコメント (株)エルトラック 代表取締役 鈴木良和氏 毎年、サマーキャンプの名物企画になっている「HIGEさんのスポーツ救命救急「You・ Can・ Do It!」ですが、今年で6年目を迎えました。 今回のサマーキャンプは、これまでのキャンプと参加者層に変化がありました。これまで継続してキャンプに参加してきていた世代が昨年の中3に多かったことや、バスケ教室参加者でキャンプに参加した子どもが例年より少なかったこともあり、初めてHIGEさんの救命救急講習を受けた子が多かったことが特徴です。 毎年参加してくれている子ども達は、このイベントを通して繰り返し命の大切さ、バイスタンダーCPRの重要性を感じてくれたと思います。そして、初めて参加した子ども達にも、このイベントから命について、救急法について、今まで知らなかったことを知り、感じることができるようになってくれたらうれしく思います。 今年はお盆の期間にキャンプが開催されたのにも関わらず、たくさんのボランティアスタッフの方がこのイベントにご協力して下さいました。この場をお借りして、深く感謝申し上げます。また、2年連続でこのイベントにご参加いただいた元女子日本代表の永田睦子様、初参加していただいた岡田慎一郎様、イベントに参加する子ども達のために実技用の人形等をご提供いただいた救命コム様、BLSコンテスト優秀賞の賞品として「CPR&AEDパーソナル・キット」をご提供頂いたレールダール・ジャパン東京支社様にも心より感謝申し上げます。 また来年も楽しみです!これからの日本のバイスタンダー育成をスポーツの現場から盛り上げていけるよう、僕も努力を続けていきたいと思います。 9、おわりに・・・ 日本でも、街のあちこちに「AED」が見られるようになり、今や「AED」を知らないという人も少なくなってきました。 「AED」の普及とともに、「AED」を使用したる救命事例も数多く報告されるようになってきました。 今年2月の東京マラソンでは、タレントの松村邦弘さんが、心肺停止に陥りましたが、周囲にいた人たちの迅速なBLSとAEDにより救命された事は、まだ記憶に新しいことと思います。 しかし、AEDの認知度も上がり、AEDの設置数も増えてはいるものの、それを使える人、AEDが倒れた人の元に到着するまでの間、いったいどうしたらいいのか・・・という事を知っている人の数は、先に紹介した私の娘の事例を見ても判るように、欧米に比べるとまだまだ少ないのが現状であり、子ども達のスポーツ現場へのAEDの配備も、まだまだ心から安心できる十分な状況とは言えません。 特に「バスケットボール」は、「サッカー」や「野球」に比べると、様々な面で遅れをとっていると言わざるを得ない状況です。 先日、中国で開催された男子バスケットボール世界選手権予選では、男子バスケ日本代表が史上最低の10位という成績に終わりましたが、競技力でも、4大会連続のワールドカップ出場を決めたサッカーや2大会連続でWBCを制覇し、世界一となった野球から大きく立ち遅れています。 競技の裾野を担う子供たちに、安全で心からバスケットボールを楽しめる・・・そんなスポーツ環境を整えていくことが重要な課題だと思っています。 Jリーグの各スタジアムにはAEDが設置され、サッカー日本代表チームのベンチにはAEDが配備されているそうです。 また、国内の主要な野球場には全てAEDが設置され、地域の少年野球連盟では、「心臓震盪」の予防や、万一発生した際の対応などを指導者や保護者が学んでいます。 今年開催された日本ボクシング連盟主催の全国大会では、「心臓震盪」の予防対策として、ジュニア(小・中学生)の部の出場選手に「胸部保護パッド」の着用を義務付け、安全対策の向上を図ったそうですが、素晴らしい英断だと思いました。 「胸部保護パッド」については、こちらから 競技よりも、内部の権力闘争ばかりがマスコミで取り上げられていた日本バスケットボール協会も、ようやく落ち着いたようですが、新生日本バスケットボール協会の強化重点目標として、『ミニバスをはじめ各カテゴリーの試合会場には必ずAEDを設置するとともに、各チームで最低1名はBLS講習を受講する、さらには各カテゴリーの審判員にはBLS講習の受講を義務付ける。』・・・くらいの事をやってもらって、バスケットボールを「日本で一番安全なスポーツ」にしてもらいたいものです。 そして、「スポーツの現場には必ず救急箱とAED」がある。」一日も早くそんな日が来てくれることが何よりですが、それにはもう少し時間が掛かるかも知れません。 公共施設や体育館、スタジアムなどにはAEDが設置されるようになりましたが、こうした公共施設から離れた場所でスポーツやイベントを行う場合もあると思いますが、そんな時、役に立つのはレンタル可能なAEDです。 当HPとリンクさせて頂いているNPO法人「命のバトン〜命をつなぐ心を育てる会」では、こうした時の備えのためにAEDを無料レンタルしています。 この会は当HPでもおなじみの福井県の「さくらさん」が代表を務めていらっしゃるNPO法人です。 使われないことが一番なAEDですが、もしもの時に備えておくことはとても大切なことです。 詳しくは下記のリンクからご覧頂き、スポーツの現場にAEDを備えることを推進して頂ければ幸いです。 「命のバトン〜命をつなぐ心を育てる会」のHPはこちらから。 今回のサマーキャンプでBLS講習を受けた子供達の中から、少しずつ世の中を変えていってくれる人が出てきてくれることを願っています。 そして、日本でも、いつかシアトルのように、小学校年代からの「BLS教育」が実現することが私の願いですが、今回のBLS講習会に参加してくれた皆さんが、将来、必ず素晴らしいバイスタンダーとなり、勇気を持って倒れた人に救いの手を差し伸べ、日本のあちこちにシアトルのような都市を造ってくれる先駆けとなってくれることを期待しております。 そんな中、嬉しいニュースがありました。小学校6年生がBLSを行い父親の命を救ったというニュースです。 【記事ここから】 ◆小6が心臓マッサージ、父親の命救う◆ 7月31日、東京都内の小学6年男児が、就寝中に突然呼吸が止まった父親に対し、119番の指令室員の指示通りに心臓マッサージを行い、奇跡的に命を救った。 東京消防庁は「大人でもパニックになる場面なのに、勇気ある行動」として、25日午前、本人を呼んで冷静な行動をたたえた。 この男児は、東京都杉並区の区立済美小6年の室賀悠君(11)。 寝室で寝ていた会社員の父、隆さん(42)がうめき声を上げて意識を失ったのは7月31日午前1時20分頃だった。隆さんはまもなく呼吸が止まり、妻の由佳さん(42)が119番。悠君は姉で高校1年の愛さん(15)と自室から駆けつけた。 「心臓マッサージを教えます」。電話口の星智貴・指令室員(33)の呼び掛けに、由佳さんが「言う通りにできる?」と悠君に尋ねた。悠君はすぐにうなずき、隆さんの横に座った。由佳さんは「胸の真ん中を真下に押して」「1秒に1回より速く」と星さんの指示を伝えると、悠君は的確に胸を押し続けた。 通報から4分後、救急隊が到着。隊員がマッサージを引き継ぐと胸の鼓動が再開し、隆さんは一命を取り留めた。搬送先の病院で突発性の心停止と診断されたが、隆さんは今では、病室で悠君らと笑顔で会話ができるまでに回復した。 同庁によると、隆さんのようなケースでは、3分以上応急措置を施されないと致死率は50%に達する。「適切な措置がなければ命を落としたケースだった」。担当医師はそう話し、悠君をたたえた。25日朝、由佳さん、愛さんとともに同庁を訪れた悠君は「心臓マッサージは初めてだったけど、お父さんを助けられて良かった」とはにかんでいた。 【記事ここまで】 素晴らしいニュースです。 記事冒頭に「奇跡的に命を救った・・・」とありますが、決して「奇跡」ではありません。 小学生だから・・・そんな事はありません。アメリカではたくさんの小学生が多くの命を救っています。 今回の事例も、いち早いBLSの開始が、命を救ったのです。 今年の「サマーキャンプBLS講習会」でも、多くの小・中学生にBLSを学んでもらいましたが、たとえ小学生であっても「命」を救うことができるということが証明された救命事例だと思います。 119番通報時の指令管制員の的確な口頭指示、それを伝えるお母さんの指示とお姉さんのアドバイス、そして悠君の胸骨圧迫、消防機関と奥様、そしてご家族のチームワークも本当に素晴らしかったと思います。 今回、サマーキャンプBLS講習会に参加してくれた子供たちにも、今回の救命事例が大きな勇気と励みになると思いますとともに、これからも子どもたちにBLSを普及し、あちこちでこのようなニュースが聞かれるよう頑張りたいと思います。 「You・Can・Do・It!」も今年で6年目を数え、今回チャレンジした新たな試みも、無事に成功させることができました。 7年目を迎える来年2010年は、新しいBLSの世界共通指針「ガイドライン2010」がスタートする年でもあることから、「ガイドライン2010」をメインテーマに頑張りたいと思っております。 来年夏の「You・Can・Do・It!2010」でも、皆さんと元気にお会いできる事を今から楽しみにしております! それでは、また来年!See You Next Summer!(HIGE) |
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