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2007年8月のレース回顧



北九州記念回顧


短距離戦はハイペースで運ばれ、その中でどれだけ前に行って粘れるか。
そんな勝負になることが多い。
だが、いくら短距離でも常軌を逸したスピードもある。
今年の北九州記念は、まさにペースによって壊されてしまったレースだったろう。

1着から4着まで、追い込みにかけた(と言うより、スタートダッシュが利かなかった)
馬達が絡むあたり、いかにも尋常ではない。
このレースを負けたことによって、アストンマーチャンが人気を落とすだろうが、
このレースは正直参考にならない。
むしろ、このハイペースをかかりながら先行しての6着なら、立派な成績だろう。
問題はかかる気性だ。このペースでかかるようでは、長い距離ではいかにも不安。
次走のスプリンターズSでは、かからないことが好走の第一条件だ。
しかし、能力は秘めており、この壊れたレースの一戦で人気をあまり落とすようなら、
G1でも狙って面白い1頭だろう。

このレースを制したのはキョウワロワリング。
もちろん勝った馬を褒めなくてはいけないのだが、
今回は突如乗り換わって結果を出した角田騎手の腕を褒めたいと思う。
2着、3着も完全に追い込みが嵌った感じの印象しか無い2頭。
かろうじてアルーリングボイスは小倉巧者ではあるが…。
正直、上位に来た馬達は、展開によるものとしか思えないレースであった。

レースレベルは低調。
短距離路線は非常にレベルが低い状態のままだ。
そういう意味で、むしろ負けたアストンマーチャンの復活に期待したい。


関屋記念回顧

新潟外回りでで行われる重賞だけに、相当ペースが緩まなければ、
後方から競馬を進める馬には有利になる舞台。
今年の関屋記念は、ストーミーカフェが飛ばし、新潟コースとしては早い流れになった。

結果、優勝したのは差してきて届かない競馬の多いカンパニーだった。
それほど切れる印象の無い追い込み馬だけに、
今回のような持続した末脚を求められる舞台は、絶好の勝機だった。
特に今回は最後の残り400から200までの一ハロンが10秒3で上がったが、
その後の最後の1Fは12秒4もかかっており、最後多くの馬が止まる中、
カンパニーだけは最後までずんずん突き抜けていった印象。
この馬は当てにしづらい追い込み馬なのだが、やはり展開が嵌ると強力であった。

2着はシンボリグラン。
上記のように、先行馬には辛い流れだったのだが、G1で3着しているだけに、
底力勝負に持ち込めば、この馬も強力な1頭。
1600mの距離のG1で3着なのだから、この距離に不安があるわけも無く、
あまり人気していなかったのが不思議なくらいである。
この展開でこれだけ頑張れるのなら、展開が向けば、重賞制覇も近い。

3着はマイケルバローズ。
速い流れを後方から追い込んで、直線は馬場のいい大外に持ち出せた結果、
ここまでの着順に持ち上げることができた。
ただ、いかにも展開と馬場に助けられた印象で、今後過大評価は禁物。

レースレベルは通常。
カンパニーの底力が見られたレースだった。
ペースが落ちた時に対応できるかには、相変わらず課題が残っているが…。


函館2歳S回顧

2歳戦において、戦歴は時に大いなる武器となることがある。
新馬戦を勝ってしまったばかりに、1戦1勝の成績で挑んだ血統馬が、
新馬戦を勝てず、未勝利を2、3戦した後に変身。
未勝利を脱出、そしていきなり重賞でも連対。
そんな光景は2歳戦、それも、早い時期の2歳戦にはよくあることだ。

今年の函館2歳Sでは、そんな光景が鮮やかに映し出されたレースだった。
勝ったのはハートオブクイーン。
この馬、地方で戦歴を積んで、中央初挑戦となったオープン特別を快勝。
その時も人気薄だったことから、フロック視されたものと思われるが、
こういった経験を積んできた馬は、相手が強化されても走るもの。
ましてや今回は、相手が強化されたのかはっきりしない2歳Sである。

2着にも新馬を負けて、未勝利でようやく勝ち上がってきたジョイフルスマイル。
これも、レースを使って一変したにも関わらず、なぜか評判の低かった馬。
今回道中置いていかれていたことから、距離はもう少しあったほうがいいかもしれないが、
確実に力をつけてきている。

3着にはイイデケンシン。この馬は回顧している段階ですでに次を走って凡走している。
この1200mのレースでも最後がやや甘くなっていたことから、
距離はスプリントがベストの馬なのかもしれない。

上位入線馬は血統的にも重馬場は上手そうな馬達。
重の巧拙と、戦歴のふたつの要件が揃って荒れたレースである。
戦歴があれば、能力が同じか、やや劣るレベルなら、あっさり逆転もある。
そういった現実を見せ付けた今年の函館2歳Sだった。