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2007年10月のレース回顧



秋華賞回顧

今年の3歳牝馬はハイレベルと言われている。
実際に桜花賞で負けていたウオッカは、後に牡馬混合の日本ダービーを勝っているし、
ピンクカメオはNHKマイルカップを制した。

そんなハイレベルの牝馬たちがほぼ全馬無事に本番を迎えたのが、この秋華賞だった。
前評判ではダイワスカーレットとウオッカの2強ではないかと言われたが、
土曜日の発売の時点では、ベッラレイアが1番人気に押され、
事実上、3強というイメージでのレースとなった。

その3強の中で最も力を出せたのはダイワスカーレット。
秋華賞としてはゆるいラップの中を2番手追走、早めに先頭に立つと、そのまま押し切った。
内回りのG1としては、このくらいのラップが刻まれるのは普通で、
力のあるこの馬ならば、そのまま押し切ることも可能だった。

大してウオッカ、ベッラレイアは少々物足りない競馬。
ウオッカは前走ではかかってしまう悪癖を見せた上に、
目標はもっと大きなところにある馬だけに、
残念ながら今回は自分の競馬に徹することしかできなかったのだろう。
形は作って、次走は本腰、上積みがあるのは必至だ。

対してベッラレイアはいかにも情けない競馬。
入れ込んでしまって後方からの競馬しかできなかったと言うのは武騎手の談話だが、
上がり32秒9の豪脚を使っているわけで、完全な作戦ミス。
ダイワスカレーットがマイペースなのだから、追い込みの競馬ではあれが精一杯。
負けるにしても、もっと鈴をつけに行く騎乗を見せて欲しかった。

一番馬の力を出せる環境、騎乗を得たダイワスカーレットが制したレースだったように思う。


府中牝馬S回顧

牝馬重賞路線が整備されて、牝馬限定重賞はだいたい「いつものやつら」
で争われることが多いのだが、このレースもまさにそんな印象。
いつもいない馬は、1000万や1600万を勝ってきた馬だけに絞られた。

結果的に優勝したのは去年もこのレースを制していた、
東京コース向きのデアリングハートだった。
この馬、前走の同じ距離のクイーンSで凡走していたため、苦しいと思ったのだが、
府中コースに変わると見違えたように走る。
先行してからの一瞬の脚が使えるためなのかもしれない。
この馬は1800や2200の距離が向くタイプに見え、
今後は長い脚を要求されるマイルチャンピオンシップよりも、
むしろ2200のエリザベス女王杯を目指した方がいい結果が出るかもしれない。

2着はアサヒライジング。
私も本命に推したのだが、今回も逃げ馬を見る形の競馬ができて、絶好の競馬だった。
それでも2着に負けてしまうあたり、力はあるが、一瞬の切れにはかけると言うことか。
本番は今回のようなマイペースでは行けないと思われるだけに、
G1を展望するのなら、ここできっちり勝っておきたかった。

3着はアドマイヤキッス。
去年はG1ではあと少し足りない馬だったが、今年になって、重賞でもあと少し足りない馬になってしまった。
G1の厳しい流れになると、安田記念の4着が示すように、底力を見せるのだが、
今回のようなゆったりした流れになると、脚を使えなくなってしまうのかもしれない。

秋華賞で、1000万を勝ったレベルのレインダンスが2着しているだけに、
この府中牝馬Sからもエリザベスに直結して欲しい。
G1となるとやや物足りない印象もあるものの、上位3頭には、本番も頑張ってもらいたいところだ。