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2008年3月のメインレース回顧



阪急杯回顧

高松宮記念の前哨戦として行われた阪急杯。
今年も開幕週の馬場と言うこともあり、前に行く馬には有利に運ばれたレースだった。

勝ったのはローレルゲレイロ。
なかなか勝ちきれない馬だったが、前走の東京新聞杯で、
東京コースにも関わらず逃げの手を打って見事逃げ切っていた馬で、
今回阪神の内回り、しかも開幕週の馬場ならば、かなり展開面で有利に運んだ。
最後はスズカフェニックスに詰め寄られたが、前に行ける利点を大いに活用し、
これで重賞2連勝となった。
次走は高松宮記念との事だが、今回は開幕週のパンパンの馬場、
本番は中京の最終週の馬場だから、その差が影響してきそうだと思う。
少なくても、今回のように楽に逃げ切れる展開にはならないだろう。

そのローレルゲレイロを負かせる馬の筆頭は、ここを2着のスズカフェニックスだ。
今回休み明けの上に、59キロ、しかも追い込みの利きづらい馬場で差の無い2着だから、
本番はよっぽど不利がなければ逆転はできるだろうし、
短距離に新星が現れなければ、今年も順調にステップを踏んでいると見ていいだろう。
2着であったが、様々な不利を跳ね除けての好走で、価値のある2着だった。

オークス馬ローブデコルテは3着。
オークス後精彩を欠いているが、牡馬相手にこれならば、
牝馬限定の重賞ならば、希望が見えてきた。
私はオークスが最後の勝利になる可能性があるとすら見ていたが、
古馬になって牡馬と五分なら、条件によっては牝馬限定重賞での復活が期待できる。
阪神牝馬特別に出走なら、条件としてはかなり合うのではないだろうか。

レースレベルは通常。
他の高松宮記念のステップが低調なだけに、相対的にこのレースが一番上ということになるか。
スズカフェニックスが本番の連覇へ、一歩前進したレースだったように思う。


中山記念回顧

カンパニーのレース振りといえば、いつも後方待機と決まっていた。
確かに出遅れ癖のある馬で、半分はやむを得ないと思うのだが、
しかしレースで後方から猛然と追い込んで来ては、前の方ではすでにレースが終っていて、
その6着くらいに押し上げるのが精一杯。で終ることの少なくない馬だった。

しかし、今回鞍上が横山典騎手に変わって、レース振りが一変した。
なんと道中2番手追走の、先行策に打って出たのである。
この週は中山競馬の開幕週で、
後方から追い上げる普段のスタイルでは競馬にならないことは明らかだったが、
この奇襲とも取れる2番手追走なら、むしろ展開を味方につけたのはカンパニーだった。
直線もまったく脚色が衰えることなく、他の馬を圧倒した。
不器用だったこの馬を最も器用に立ち回らせた横山典騎手の好騎乗だろう。

カンパニーは不安定に重賞を勝ったり負けたりを繰り返してきたが、
今回のような競馬ができれば、今後は安定して走ってくる可能性がある。
ただ、出遅れ癖がある馬だけに、今度は
「いつ先行するのか」
がわからないという意味で、これはこれで難解な馬となったとも言えるだろう。

2着にはエイシンドーバー。
これはいかにも中山1800m向きの、器用な競馬。
道中先行集団のやや後に付けて、急なコーナーにめげることなく順位を上げる、
と言う味な競馬で、今後とも小回り1800では鬼の活躍が期待できるかもしれない。

3着エアシェイディは一瞬しかいい脚が使えないタイプで、
どちらかといえば東京コース向きの馬だろうか。
しかし、本当に脚の使いどころの難しい馬で、重賞を勝ちきるのはなかなか難しいのだろう。

人気で負けたコンゴウリキシオーは、海外遠征からの(しかも大敗からの)休み明けで、
なおかつ1800m。かなり苦しい条件だったように思う。
血統背景、レース振りから、この馬の本質はスプリンターなのではないかと言う疑問もあり、
今後距離が短縮されて勝ちきるシーンが増えることもありえる。
陣営としてはマイルには対応して欲しいだろうから、なかなかスプリント戦には使わないかもしれないが、
もし出走なら、実は本質はスプリンターだった。と言う可能性を秘めているように思う。

レースレベルは通常。
いかにも中山の1800mの重賞らしい、器用さが求められるレースだった。


アーリントンカップ回顧

牝馬ながらポルトフィーノが1番人気になった一戦。
この馬、前走のエルフィンSで後続をぶっちぎったように、能力の高い馬。
ただ、そのレースで2番手からの追走に失敗し、
結局逃げる競馬になってしまった点が課題として残っていた。
今回はおそらく抑える競馬を試みるだろうとは、戦前から言われていたことであった。

しかし、今回も抑える競馬には失敗であった。
道中中団からの競馬を試みるも、完全に顔を上げてしまって、まったくレースにならない。
結果的に8着に負けたが、このレース振りでは已む無し。だろう。

これで本番では難しくなった。
次はG1だけに、無理に抑える競馬を試みるとは思えないが、
万一また控える競馬で臨むなら、また同じ結果だろう。
本番でも逃げる競馬で迎えた方が、現状のこの馬には合っているだろう。

アーリントンカップを制したのはダンツキッスイ。
前走で500万を制したばかりで、人気にならないのも当然ではあった。
血統的には成長力が非常に高いシンボリクリスエスの血統だけに、
今伸びてきておかしくないのはうなずけるが。
ただ今回のレースは大逃げと、開幕週の馬場が向いた印象はぬぐいきれない。
次も同じような競馬ができるかと言われれば、少々懐疑的にならざるを得ない。

2着以下にはこれと言ったレースをした馬は見当たらなかった。
2着エイシンフォワードは先行して最後頑張り通したあたりに根性が見られるくらい。
ディープスカイは最後突っ込んできた脚はよかったが、
このメンバーで、最後は止まっていた馬から見ていい脚と言うのだから、知れたものか。

2番人気ドリームガードナーはトワイニング産駒。
なぜ芝の重賞で人気になっていたのかがよくわからない。

全体に、レースレベルが低く、展開によって勝ち馬が決まった一戦だっただろう。
今後注目できそうな馬は、上手く折り合ったとき(あるいは逃げた時)
のポルトフィーノだけだろう。