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2008年10月のメインレース回顧



菊花賞回顧

混戦が叫ばれた今年の菊花賞。
春の実績馬が今ひとつ頼りないのと、
ディープスカイの天皇賞参戦、ブラックシェルの故障で、
これは混沌としてきたと思わせる菊花賞だった。

1番人気はオウケンブルースリだったが、それにしても控えめの1番人気で、
抜けた馬はいない。3000mなら逆転も可能だろう。
そんな思惑の絡み合ったG1となった。

しかし結果として勝ったのはそのオウケンブルースリだった。
前走はディープスカイ以上の競馬を見せていた馬だけに、
この結果は当然といえば当然なのだが、
それでも混戦と呼ばれたレースでの1番人気だったし、
距離もはじめてであった。
その中でも優勝をもぎ取ったのは、この馬が抜けていた証であろう。
最後の直線、フローテーションが迫るともう一度伸びた辺り、
まだ余力十分だった。
これはこの世代ではディープスカイとほぼ拮抗した能力をもった馬が出てきたと見ていいだろう。
次はどこになるのか。
もしジャパンカップということならば、ディープスカイは天皇賞で厳しい競馬をした後だけに、
この馬が逆転の最有力候補になる可能性がある。
夏の上がり馬というのには、とてつもない底力を秘めた馬もおり、
オウケンブルースリはそのパターンのようにも思える。次、強気に狙ってみたい。

2着フローテーションはいかにも菊花賞で、という血統。
父のスペシャルウィークは種牡馬となって、自身以上に長距離色の強い馬を出してきている。
おそらくは母方のニジンスキーの血が種牡馬としては強く出ているものと思われる。
さらにフローテーションの場合は母父がリアルシャダイ。
血統だけ見れば、これ以上菊花賞が向いている馬はいないだろう。
今回は劇走というか、ステイヤーの血が強く出たということだと思う。

3着はナムラクレセント。
この馬は個人的にヤマニンセラフィムの仔ということで、3000mでは軽視してしまった。
しかし和田騎手が鞍上で3着に来れるなら、上位の騎手に変われば2着くらいは…と思わせた。
イメージ以上に走っており、次、中距離の重賞なら面白い一頭になるだろう。

私の本命ロードアリエスは、序盤折り合いを欠き、
折り合った後はなぜかどんどん順位を下げていき、最後の4角では最後方近くまで下げてしまい、
そこから追い出す…という、騎手は何を考えていたのか、と問いただしたくなってしまう競馬。
若い鮫島良太騎手が、かなりのウエイトで馬に負荷をかけた印象だ。

レースレベルはG1としてはやや低いのだろうが、
勝ったオウケンブルースリの能力と勢いは本物。
パドックで見る限りでは古馬のG1馬と比べても遜色ないほどだった。
これなら、やや弱い相手だったとしても、勝ったことを十分に誇れる。
次、ジャパンカップなら、強気に狙いたい1頭だと感じた。


富士S回顧

勝ったのは半年の休み明け、サイレントプライドだった。
好位を進み、直線は持ったまま抜け出したあたり、ここでは力が違った感じ。
G1ではまだどうか…だが、この先G2クラスなら十分対応する可能性がある。
右回り、左回り問わずに走っているのにも好感だ。

次はマイルチャンピオンシップとのことだが、さすがに今回とはメンバーが違うから、
即通用できるとはちょっと思いづらいが、少しでも上の着順を目指して欲しい。
今回休み明けだったから、上積みは十分だろう。

2着はリザーブカード。
前走の京成杯オータムハンデでも好意差しの戦法が買われて人気していて不発だったが、
左まわりの府中に変わって、スムーズな競馬、最後はよく差を詰めて2着だった。
この馬も今後G3クラスなら制覇できるチャンスありか。

3着バトルバニヤン。
すでに連闘で使ってオープン特別を制しているが、
やはりそのくらいのポジションが似合う馬かもしれない。
オープン特別なら…という感じで、重賞だと少し足りないかもしれない。

1番人気エイシンドーバーはG3では格上の存在と見せたが、
この馬、とにかくジリ。決定力というか、瞬発力というかにやや欠けた面があり、
ロングスパートが決まる舞台でないと厳しい。
今回のような府中1600の、瞬発力が生きる馬場だとやや辛かったか。
次はG1でペースが早くなるだろうし、ここは休み明け。
次はもう少し競馬はできると思う。(当然相手はもっと強くなってしまうが…)

私の本命レッツゴーキリシマは幸騎手のミス騎乗。
先行集団の後にいたのに、なぜか直線狭いところ狭いところに入っていってしまい、
結局最後までスムーズさに欠ける走りを迫られた。
それでも小差の6着だから、まともなら連対くらいは十分だったと思う。

レースレベルはやや低い。
マイルチャンピオンシップの前哨戦にも関わらず、最近は馬が集まらない。
G3レベルとしてもやや低かったと思う。


秋華賞回顧

馬券的には大荒れになった今年の秋華賞。
ここまで荒れた要因は何であろうかと推測し、ペースに落ち着くファンも多いことだろう。
しかし、ペースは前後半のラップは後半が1秒遅い程度で、
確かに早いが、レースが壊れてしまうほどの超ハイラップではなかった。

だいたい大波乱の一翼を担ったプロヴィナージュは2番手追走の馬で、
ハイペースが原因で荒れたのだとしたら、この馬が残るのは明らかな矛盾である。
さらに、勝ち馬の位置取りは中団馬群。
そのすぐ後にトールポピーもレジネッタもいたのだから、
この馬達は勝ち馬と同じペースで道中ついて行っており、
これは負けの言い訳にはならないのではないか。
ペースが早くて追い込み同士で決まって大荒れ、
というのとは、少し毛色が違うのではないか、と思われたG1の波乱だった。

勝ったのはブラックエンブレム。
よどみのないラップで流れるG1というのは、底力が示されるぞ、
というのは、G1レースの定説。
この馬にはその定説を素直に当てはめていいのではないかと思う。

春先は気性的にもろくて、自分の中で自滅するレースもを繰り返していたが、
どうやらこのハイペースで、きちんと折り合うことができたのが勝因の一つ。
それと同時に、底力も示したのではないかと思える勝ち振りである。
この先も、ペースの緩まないG1ならば、十分通用するのではないか。
あるいはこの世代の中で、底力を持っているのはこの馬だぞ、
という可能性を見せ付けた1戦だったように思う。

2着ムードインディゴも、1800mの前哨戦はペースが緩んで不発だが、
2000mという根底距離でのG1で、末が生きる展開になれば浮上して不思議ない馬。
これからも1800のローズSで末脚不発、というタイプには、
本番ペースが早くなって台頭してくる馬が潜んでいそうである。

3着プロヴィナージュ。
これが完全にわからない1頭。芝では限界を見せ、ダートでいい競馬をしてきた馬。
それが突然芝のG1に出て、それもかなり早いラップを先行し、
それで3着に残ってしまったのだから、不思議というしかない。
あるいはこの馬にも底力が。などという憶測もできなくも無い。
次はどうなのだろう。古馬混合のエリザベス女王杯。
だいたい秋華賞を人気薄で好走した馬が次好走するのはエリザベス女王杯ではないのだが…。
この馬はこれだけのレースをしただけに、怖さがあってあまり申し上げられない。

レースレベルは通常よりやや高いのではないか。
今年の3歳牝馬は勝ち馬こそころころ変わったが、全体のレベルとしては低くない可能性あり。
レベルがそこそこ整った上での混戦だった可能性がある。
エリザベス女王杯でも、ここで負けていた組からももしかしたらチャンスがあるかもしれない。


府中牝馬S回顧

1800に距離が延長して…という戦前の不安があったブルーメンブラットだったが、
実際にレースが始まると、後方に控えたものの、口を割るしぐさを見せ、
長い距離が云々以前に、ペースが緩むとかかってしまう不安を覗かせた。
それで勝ってしまうのだから、このレースに関しては馬が強かった印象だ。

しかし、これが次のエリザベス女王杯ということになると、
勝ち馬の判断は非常に難しい。
さらに400mもの距離延長である。
距離が伸びていいタイプでは無いのは間違いないと思うのだが、
牝馬限定のG1でもあるし、1800でさらに強い内容に変わっただけに、
次も折り合えれば…という欲を見せたくなってしまう馬の登場である。

2着はカワカミプリンセス。
これはもう、勝ち馬とは違って、完全に「次こそは」の馬である。
前走の金鯱賞で3着に劇走「走りすぎてしまった」感が強く、
その後筋肉痛でレースに使えなくなってしまっていた。

そのためここは4ヵ月半の休み明け。
それでも一旦は先頭に立つ競馬を見せている。
G1では力を見せている馬だけに、完全復調なれば次も十二分に狙える。
距離伸びるのももってこいだろうし、このレースからの上積み十分。
エリザベス女王杯で注目だ。

3着ベッラレイアは春は体調のためか、馬に走る気がなかったのか、
とにかく凡走が続いたが、この3着でめどが立った印象。
G1でも底力負けしない戦歴を持っており、この馬も次はもっとよくなる。

レースレベルは高い。
ここをたたき台にしてエリザベス女王杯を目指す馬が今年は例年にもまして多かったため、
かなりの好メンバー。
1〜3着まで、次も勝ちきってもおかしくない存在だろう。

次にむけて、上積み十分の負けた組と、次の距離延長はどうなんだ。
という勝ち馬の存在した府中牝馬Sだった。


デイリー杯2歳S回顧

シェーンヴァルトがとにかく強かった!というレース。
この馬、馬体にかなり汗をかいていたように、
必ずしも完調ではなく、実力を出し切れない可能性の残る状態でのレースだったのだが、
最後の直線は1完歩ごとに差を詰め、
レース経験豊富なホッコータキオンを交わし去ってしまった。

キャリアの上からも、血統面からも、かなりホッコータキオンには恵まれていたレースだったのだが、
それを3戦目で差しきるあたり、少なくても素質は非凡ではない。
先に書いたように、気性的に当てにしづらい感があり、
ポカもあるかもしれないが、実力を出し切ったレースなら、
相当上を目指せるのではないかと思わせた存在だ。

追ってどんどん伸びてくるあたり、直線が長い競馬も合っていそうだし、
距離ももう少し伸びても問題ないだろう。
来年のクラシックに向けて、楽しみな1頭の登場だ。
今後のローテーションはどうなるのだろう。
とにかく気性が子供なので、そのあたりが少しでも改善してくれば、
底知れない能力を発揮させることができると思わせる逸材だ。

2着は逃げたホッコータキオン。
現時点での完成度は高く、ミドルペースで逃げられているのだから、
勝った馬とは現在の実力差だろう。
これから上積みが見込めそうなタイプでもなく、
今回が現時点での能力、つまりG1ではやや苦しいレベルということだろう。

3着はキングスレガリア。
キャリアが3戦あり、前走から鞍上が強化されていることを考えれば、
3着は不思議無い馬。
この馬はまだ伸び白がありそうだから、
これからの成長次第だろう。

さしあたり、1着のシェーンヴァルトの能力の高さが光ったレース。
ぜひ気性面を磨いて、さらなる高みを目指して欲しい、明日のヒーロー候補だ。


京都大賞典回顧

最後3ハロンが34秒5という、かなりのスローからの瞬発力勝負になった京都大賞典。
ここを制したのはトーホウアランだった。
この馬、おととしの中日新聞杯を非常に強い内容で勝利しており、
その後長期休養を余儀なくされていた馬である。
ここが戦線復帰から6戦目。
ついにその能力を全開にしたようである。

ダンスインザダーク産駒はそれほど切れる脚は無いタイプが多いのだが、
この馬はこれだけのスローからの末脚比べを制することができるのだから、
これは大物の予感。
スタミナは十分にあるし、今回G2制覇、確実にステップを一歩上がることができた。
ローテーションによっては、あるいは大きなところでも…と思わせる1着。
今後の可能性に期待したい。

2着アドマイヤモナークはダイヤモンドSで非常に強い勝ち方をし、
日経賞では村田騎手鞍上で3着まで来ていた馬。
今回安藤勝己騎手の思い切りのいい騎乗もあって、ここまで来た。
G2では今後も時々来る存在になりそう。冬場のG2あたりはよく似合うか。

3着アイポッパーはこれはまくって行って展開に助けられた感あり。
全盛時の競馬では無さそうだし、そろそろ衰えが現れてきたろうか。
G2では時折強い競馬を見せる馬だったが…。

私の本命アドマイヤジュピタは不発9着。
夏場の調整に失敗し、この日はマイナスの馬体重という苦しい競馬。
しかもこの後屈腱炎を発症し、引退が決定してしまった。
この馬の潜在能力はG1を何勝もできるだけのものがあると思っていただけに、
このレースを最後に引退しなくてはいけないのは非常に残念だ。

レースレベルは通常よりはやや低い。
勝ち馬は今後G2なら十分戦えるだけのものを見せたが、
これからG1で好走する馬が大量に、という例年の京都大賞典からすると物足りない印象も。
これからG1レベルにはばたく馬は、果たして現れれるだろうか。


毎日王冠回顧

圧倒的1番人気はウオッカ。
春最終戦の安田記念では、スピードの違いを見せ付ける圧勝だったのだから、
休み明けとは言え、G2のここでは格上と見られて当然のレースだった。

逃げたのはなんとそのウオッカ。
引っかかってしまう気性であるから、逃げれば折り合いは確実につく。
今回スローペースに落としてよく逃げ込みを図ったが、
それを外から交わし去った馬が1頭いた。

スーパーホーネット。
G2大将、などと呼ばれることもあるこの馬だが、
ここでは人気の(そして後に天皇賞を勝つ)ウオッカを瞬発力の差で交わし去っているのだから、
これは能力は相当なもの。
体調などもあって、今までG1で勝ちきれていないが、
今回のレースを見る限りでは、秋は相当調子がいいようだ。
G1取りに、王手をかけたと言ってもいいかもしれない。
マイルチャンピオンシップでは要注意の1頭である。

ウオッカはここでは2着に敗れた。
しかし後に天皇賞を制覇することになるのは、すでに皆さんご承知の通り。
ここでは逃げて差し馬に目標にされたのが痛かった。
スーパーホーネットがとにかく強いというだけで、
この馬も能力は出しているのだろう。
この馬に関しては、天皇賞が実力だろう。

3着はアドマイヤフジ。
スローペースになったため、前目の位置取りのこの馬には有利に働いた。
すでにG3 1着、G2でも2着があるこの馬だから、特にステップアップというわけではない。
スタミナ比べのレースになれば、浮上の余地があるということか。

レースレベルは通常よりやや高かった印象。
最近は毎日王冠にはそれほど有力馬が集まらなくなってきていたが、
今年はそれなりにメンバーが集まったようである。
特に2着のウオッカが後に天皇賞を制しているのだから、
1着スーパーホーネットのこのレースの価値は高い。
次のG1ではぜひ注目していただきたい1頭だ。


スプリンターズS回顧

新たなスプリント界に女帝の誕生を思わせる馬が出現した。
スリープレスナイト。
前哨戦まで連戦連勝で、しかもその前哨戦が最も強い内容だったから、
G1で人気するのも当然だったか。
さらに言ってしまえば、G1のここがさらに強い内容で、
横綱相撲とでも呼べるような完勝だったように思う。
つけた着差こそ少ないものの、スプリント戦では着差はそれほどつくはずもなく、
レースを見ると危なげのない競馬であった。
これでアストンマーチャン、サンアディユが生きていたら、
スプリント界は名牝続出で、面白い競馬ができるのにな…と無理な願望が入る。

鞍上の上村騎手はこれがG1初勝利。
決して下手な騎手ではないが、重賞、特にG1でのパフォーマンスが無かったため、
あまり目立つことの無かった騎手である。
馬が回るようになったら、もう少し上でもやれる騎手である。
このG1勝利をきっかけに、上昇の機運を掴んで欲しい。

2着キンシャサノキセキは右回りはあまりよくない馬だったのだが、
ここに来て成長著しい。
気性面にまだ課題は残すものの、それもだいぶましにはなって来ているようである。
これがまたマイルに距離延長でもすれば危ういだろうが、
スプリントならだいぶ常識にかかってきた。
本格化が今だから、まだまだしばらくのあいだはスプリントの一線級で走れる馬である。
G1の勝ち星目指して頑張って欲しい。それができる素質は持っている。

3着はG3 2着からではやや苦しいと思われたビービーガルダンが残った。
スプリントのG1で前に行けるようにスピード能力は非常に高い。
さすがにG1となると最後のワンパンチで差が出るが、
これならG3級と言わず、G2レベルでもやれる馬だろう。
今後どういったローテーションを組むのかにも注目。ただの夏馬で終って欲しくない。

私の本命ファイングレインはパドックで「しぼんだ」という印象を受けた。
とてもG1馬の体つきには見えなかった。夏場の調整に失敗か。
立て直すのに時間がかかるかもしれない。
来年の高松宮記念に向けて、ネジを巻き返して欲しい。

レースレベルは通常レベル。
勝ち馬は例年の勝ち馬と同等のレベルにある。
不幸も続いただけに、この馬にはぜひ順調にレースに向かってもらいたいと思う。


シリウスS回顧

完全な前潰れのレースになった。
これでは後方から競馬をしたスタミナ型でなければ台頭は苦しかったろう。
前半1000m通過が60秒1。後半が62秒9である。
このスタミナ比べを制したのは、
いつの間にかダートのスタミナ血統になってしまったブライアンズタイム産駒のマイネルアワグラスだった。
近走凡走が続いていたが、ここは先に記したようなスタミナ比べになり、浮上した。
後方から競馬をするダート馬では成績は安定しないだろうが、
はまると一発がありそうな馬になっていった。
今後まくる脚を覚えれば交流重賞でもやれるだろうが、
追い込み一手だと、実力ではやや劣る馬に脚元をすくわれる可能性あり。

2着ワンダースピードはここに出てきたのが勿体無いように思わせる馬。
レース振りは一旦は完全に1頭抜け出した強い内容で、
しかもこれが3ヶ月の休養明けであった。
ペースの関係もあって2着に沈んだが、次こそは巻き返し必至だろう。
1800に変わったJCダートあたりでも伏兵扱いされる馬だろう。

3着ダークメッセージは完全に展開がはまった印象。
それでも3着どまりだから、ダートでは今後は少し辛い気がする。
やはり力を一番出せるのは芝の長距離でこその馬だと思う。

私の本命ユキチャンはハイペースに完全に飲まれてしまった格好。
なぜか次、芝のG1に使ってきたが、いや、この馬はダートでこそだろう。
冬場の牝馬限定の交流G3あたりなら、出れば楽勝の連発があっておかしくない。
今回はとにかくペースに恵まれなかっただけ。

レースレベルはG3としては非常に高かったように思う。
特に2着ワンダースピードは、さらに上の条件でも…と思わせる競馬だった。
また、このレースを前に行って潰れた馬の巻き返しにも注目したい。


札幌2歳S回顧

2歳戦においてはキャリアがものを言うケースが多い。
そのため、中央のそこそこ実力がある馬が、
地方のキャリア豊富な馬にころっと負かされたりするのが2歳重賞だ。
そういう意味では私は地方のモエレエキスパートから入ったのだが、
最後1ハロンは止まってしまった感じ。
ペースがそんなに早いとか遅いとかのレースでなかっただけに、
この馬にはどうやら1ハロン距離が長い印象。
1600まで、ベストは1400あたりか?という馬のようである。

勝ったのは中央馬ロジユニヴァース。
この馬新種牡馬ネオユニヴァース産駒で、父に産駒の初重賞制覇をプレゼントした。
一般的にサンデーサイレンス系種牡馬は仕上がりが早く、
1戦目、2戦目から結果を出してくる馬が多いが、
ネオユニヴァース産駒も今後そのような特長を示してくるかもしれない。

また、新種牡馬というのは、種牡馬としての格をつけるためであるとか、
色々な思惑が絡み合って、入厩が早く、仕上がりが早い傾向にある。
そういったものも、ロジユニヴァースには後押しになったか。

レース振りはとりあえずこの相手なら抜けていますよ、と言った感じのもので、
まだ飛びぬけた力は感じられない。
2歳でもあるし、今後どう成長してくるかはわからないが、
とりあえず成長待ちの1頭だろう、現時点でG1を見通せるとか、そういうタイプには見えなかった。

2着も地方馬イグゼキュウティヴ。
こちらは1800mでレースの経験があるのが強みになった模様。
中心に据える地方馬を誤ったかもしれない。
今後云々は無いだろうが、とりあえず現状ではキャリアがいい方向に出た。

レースレベルはいい馬が集まることの多いこのレースとしては低い。
やや物足りないメンバーだったかな。という印象はぬぐいきれない。
とにかく2歳の若さがあるから、これからの無限の可能性は否定できないが、
現状のレベルはそれほど高くは…というレースだったと思う。