戻る   トップページへ


2009年5月のメインレース回顧



日本ダービー回顧

日本ダービー。競馬の祭典である。
3歳馬にとって、いや、全てのサラブレッドにとっての大目標で、
ここを優勝することに人生をかけるホースマンも多い。

天候のことはどうしようもないことではあるのだが、
しかしそんな人生をかけたレースが、不良馬場で行われた、というのは残念だった。
力を出し切れないで終った馬も多かったのではないか、
その点は非常に残念だった。

しかし、勝ち馬はそんな苦しい馬場状態の中、最後まで頑張り通した。
これは絶賛できる。
ロジユニヴァース。
本来非常に強い馬で、ラジオNIKKEI賞では、
後にきさらぎ賞を圧勝するリーチザクラウンを完封した実績もある馬だった。
皐月賞まで4戦4勝。
皐月賞では優勝確実、とまで言われていた馬で、
しかしそこを大凡走したことによって、一気に評価が悪くなった。

一部では「関東馬はダメ」「横山典騎手はG1は勝てない」
などの、ロジユニヴァースの実力とは全く無関係な話によって、
ロジユニヴァース自体が否定されてしまうような、可愛そうな話まで出ていた。

この馬は、それらを結果で一蹴したのである。
皐月賞は力ではない。それを証明するには結果を上げることしかサラブレッドには無いのだ。
それを、ダービーのこの舞台で、しかも圧勝。という結果をだしたのだから、
これは素晴らしい馬。
馬場状態云々はとりあえず横に置いておくとして、
馬のことは大いに絶賛したい。それだけの競馬をしたように思う。

2着はリーチザクラウン。
この馬も皐月賞で凡走して、一気に人気を落としていた。
正直、今回は馬場の助けも借りて、という印象はあるものの、
それでも皐月賞の大凡走から蘇ったのだから、この馬も褒められる。
前に行った馬に有利、父スペシャルウィークと言うことで、
馬場の助けは確かにあった。とは思うが、しかし、世間のこの馬は無い、
という評価を半分は雪いだように思う。
今後良馬場でもいいレースをして、さらに評価を取り戻して欲しい。
きさらぎ賞を圧勝したのだから、それだけの力はあるのだから。

1番人気アンライバルドの凡走に象徴されるのは、
今年の馬場は、特に日本ダービーという日には、可愛そうな馬場だったと言うことだろう。
良馬場ならば、この馬は変わっただろうし、他の馬にも変わるチャンスのある馬が多かったと思う。
上に記したように、上位入線馬が褒められると同時に、
負けた馬も、これでもうダメですよ、ということには決してならないように思う。
アンライバルドをはじめ、力を出しきれなかった馬たちには、
ぜひ今後の舞台での競馬をみてやって欲しいように思う。

レースレベルはやや高い。
今年は例年の優勝馬クラスの馬も多く、特に「3強」は強力だと思う。
皐月賞後に語ったように、アンライバルド、リーチザクラウン、ロジユニヴァース、は、
どれも普段の年なら優勝を狙えた馬たちである。
負けた馬にも、今後活躍できる原石はいたかもしれない。
今後のレースも注視したいと思わせるダービーだった。


目黒記念回顧

重馬場が全てを決したG1だったように思う。
ハンデ戦ではあったものの、ここまでの荒れ方は珍しく、
ある程度前にいっていないと勝負にならない馬場状態で、
どろどろの不良で競馬をできる馬が優勝したレースだったように思う。

勝ったのはミヤベランベリ。
この馬は父がオペラハウス、母父ホリスキーだから、
どこをとっても、というスタミナ馬。
ハンデの55キロは別に軽くは無かったし、実績的にも辛いものはあったのだが、
しかし今回これだけの圧勝というのは、
不良馬場になってしまって、普段の競馬とは求められるものが違ってきた決着だったように思う。

2着はジャガーメイル。
中団につけて、徐々に外に持ち出し進出する競馬は、この馬には合っていたと思う。
良馬場なら突き抜ける可能性もあったのだろうが、
しかしこの馬場状態はかわいそうな1頭だった。
天皇賞でも5着しておりこの馬は今後に目星は立っていると思う。
重賞初制覇がならなかったのは残念だ。

3着はハギノジョイフル。
正直個人的にはよくわからない馬。軽ハンデはあったものの、
それ以外に来る要素を探し出すのが難しい。
馬場に恵まれたのかとも思うが、血統的にもそれが証明できる血統ではない。
正直不明、という1頭。

レースレベルは通常だったが、あまりの馬場に、実力を出し切れなかった馬も多かったように思う。
負けた馬でも今後の巻き返しは利く馬が多いだろうし、
上位の馬も、今後G2でまた同じような競馬ができるかと言えば、
それは怪しいかもしれない、というレースだったように思う。


金鯱賞回顧

今年の金鯱賞、有力馬が回避したこともあって、非常に手薄なメンバー構成のG2となってしまった。
実績のある馬はすでに燃え尽きかかっているような馬もおり、
G2としはメンバーはかなり弱かった。

勝ったのはサクラメガワンダー。
前走これも手薄なメンバー構成だった京都記念を2着しただけの馬なのだが、
しかしそれでもこのメンバーに入れば1枚抜けていた、という印象である。
前残りの馬場も考えて、福永騎手が早めに動いたのもいい結果に繋がった。
ここでは役者が違う、ということだろうか。

この重賞は上がり馬や強い競馬をした馬なら宝塚記念に繋がることがあるのだが、
しかしこの馬はそのどちらにも当てはまらない。
今後もG3か、層の薄いG2でなら勝負になるのではないかと思う。

2着はシャドウゲイト。
確かに海外G1を勝った馬なのだが、しかし近走G3でも結果が出ていないことを考慮すると、
これを狙うのは非常に難しかったように思う。
中京の2000ということで、スタミナ能力が距離以上に問われたのは良かったのかもしれない。
重馬場や距離以上のスタミナを求められる舞台では強い1頭。

3着ホワイトピルグリムは上がり馬。
それほど強力な内容ではなかったのにG2で好走できたのは、やはり相手にも恵まれたか。
この馬の母父はエリシオで、これも距離以上にスタミナを問われる展開では強い馬だ。

私の本命スマートギアは直線よく追い込んだが5着までだった。
今回は前残りの馬場が影響した感じ。
例年の外差しの決まる馬場で、外枠を引いていれば勝負になったかもしれないが、
しかし前残りを読みきれなかったミスであった。

レースレベルは低調。
G3よりは多少まし、というレベルだったように思う。
今年は宝塚記念の前哨戦としては不満の残るレースだった。


オークス回顧

今年は1強ムードのオークスだった。
ブエナビスタ。
ただし、今の東京は圧倒的に内枠、あるいは直線インをついた馬が有利で、
追い込み、それも大外を付いてくるであろうこの馬には不安要素もあった。

しかし、レースを見ると圧倒的なパフォーマンスに目を見張るばかりであった。
直線、大外を回して強烈な脚を繰り出すと、徐々にインに切れ込みながら加速。
最後はきっちりレッドディザイアをかわすまでの脚を見せており、
この優勝は、ただの優勝以上の価値がある。

レッドディザイアは、有利なインを付くべく、ある程度前に行き、
直線はインを付いて伸びてきている。
その一方で、ブエナビスタは今の東京では圧倒的不利な大外に振り回しての優勝。
着差はハナだったが、
その実際は桜花賞の時の着差以上の圧勝だったと言える。

ここ数週の競馬開催を見ているものなら誰もが「イン有利」は理解できる中で、
あえて大外を回して、それで優勝できるブエナビスタの強さは抜けている。
負かしたレッドディザイアは決して弱い馬ではなく、
例年なら十分にG1に手が届いている馬。
それを大外を回して勝ってしまうのだから、この馬は強い。
今後凱旋門賞とのことだが、これだけのレースをされてしまうと、
正直芽も少しはあるのではないか、という印象さえ受けた。
それほどの圧倒である。

レッドディザイアも十分に健闘しての2着。
今週の馬場を考えてのイン強襲が完全に決まっての直線で、
それで負かされてしまうのだからもう、相手を褒めるしかない。
この馬もG1ウイナーと呼べるくらいの競馬は十分に行っており、
この馬も今後は非常に楽しみになってくる。
例年だったらすでにG1を手にしているだけの馬だ。
1着馬が強すぎただけで、この馬もいいレースはしていた。

私の本命ディアジーナはややかかるそぶりを見せていた。
ただ順調だったとしても、1、2着馬を負かせていたとは思えないし、
まあ、このくらいの着順の馬だったか。
攻めてみたが、1、2着馬のあまりのレベルの高さに跳ね返された印象。

レースレベルは非常に高い。
今年の3歳牝馬は強力な馬が多く、古馬にだらしのない馬ばかりの牝馬路線なら、
秋以降は一気に勢力図が変わる可能性がある。
1着馬、2着馬を中心に、今後が非常に楽しみである。


東海S回顧

連戦連勝のウォータクティクスをどうするか、というレースだったように思う。
結果から書いてしまうと、ウォータクティクスは大きく沈んでの、まさかの最下位だった。

これはもう、1800mまでの競馬と、2300mの競馬では求められる適性が異なるということだ。
さらに今回、道中先頭が入れ替わる非常に厳しい競馬になったことも影響した。
前走が重馬場のいかにも走りやすい馬場だったことを考えると、良の重い馬場なのも影響したのか。

この馬の場合、元々気性面に弱点はある馬だから、逃げ争いで外からかぶせられたのも辛かったか。
力があることは明らかだから、次走以降の復活に期待したい。

勝ったのはワンダースピード。
この馬は勝ち馬とは異なって、距離の裏づけができていた馬。
昨秋に2500mの名古屋グランプリを制しており、距離に不安は全く無かった。
今の充実度が素晴らしい馬だっただけに、ウォータクティクス不発なら順当な1着だ。
G2、G3級なら圧倒的なパフォーマンスを見せられる馬だけに、
今後もダートの重賞級で目が離せない1頭だ。

2着はアロンダイト。
2回の故障で調子を崩したものの、前走の脚で復調を印象付けていた。
今回得意の左回りに変わることもあって、復活もあるのではないかとみていたが、
勝ち馬にこそ完敗だったが、2着争いは制し、これで復調か。
G1制覇のころの勢いこそ無いものの、G2、G3級なら今後も期待できる。

3着ボランタスは前回に引き続き、惜しい3着に終った。
あと一歩で重賞に手が届く馬。
今後地方の交流重賞出走なら、中央よりはメンバーが手薄になるから、
優勝のチャンスもあるかもしれない。4

レースレベルは通常。
普段からG3とそんなに変わらないメンバーの重賞だが、今年もそんな感じ。
上位入線馬は今後もG2、G3あたりで注目だろう。
負けたウォータクティクスも、距離を短縮して、再び復活があるだろう。


ヴィクトリアマイル回顧

今年は戦前から「メンバーが小粒」と言われ続けたレース。
ある1頭の馬が居なかったら、インを付いた人気薄で決まっただけ、という、
先週のNHKマイルカップの凡戦がもう一度繰り返されただけの一戦になってしまうところだった。

しかし、今週は先週とは全く違う事象があった。
ウオッカが居たのだ。

ウオッカ、今日は好位をスムーズに追走。
今まで引っかかる気性の馬が、今日はレースを覚えてきた印象で、
実に気分よく好位を進むと、最後の直線では伸びるインを付いて、ちぎるちぎる。
これこそ、まさに実力の違いを見せ付ける圧勝劇。
牝馬では相手にもならないところを示した圧勝だった。

戦前、ドバイの負けがどうにも気になっていたのだが、
あれはどうも、馬が終ったというよりは、馬場が合わなかった印象。
東京の、早い上がりを求められる競馬でこそ、この馬は力を発揮するようである。
とにかく、「終ってしまった」という意見は、全くの杞憂に終った。

それどころか、今回の圧勝で、再び安田記念の有力馬になると同時に、
さらにもう一度もうひとつ先のステップを考えられる段階に来たのではないだろうか。
とにかく、そのくらい今日のレースは強力なもので、
はっきり言って、ここでは2枚3枚、役者が違いすぎた。
個人的には、これならまた海外遠征もありなのではないかと思う。
次は安田記念にしても、夏あたり、タイキシャトルが勝った、ジャックルマロワ賞あたりはどうだろうか。
あるいは、時計の早いアメリカに遠征するという方法もある。
ここ2戦で見え始めたとも言われた衰えを力で一蹴する、見事な圧勝劇だった。

2着以下は正直語っても仕方ない。
1着馬が素晴らしいと同時に、2着以下は、G1とはとても呼べないレースをしていた。
上位に来た馬にしても、単にインをついただけ、という印象もぬぐいきれないし、
この馬たちが安定して走るとも思えない。
牝馬のレベルはウオッカ以外は超低レベルの混戦で、強い馬が居ない状態。
去年の牝馬三冠路線を走ったトールポピー、レジネッタ、ブラックエンブレム、
が、その後復活して全く古馬に歯が立たないなど、去年の世代のレベルの低さと同時に、
それ以上の歳の馬の有力馬ももうごっそり抜けてしまって、これではG1が恥ずかしいメンバー。

おそらく、今年の秋、今の3歳が入ってくると、一気に勢力図が変わってくるであろうメンバーである。

私の本命カワカミプリンセスにしても、いくら不利な外を付いたにしても、全く伸びが無いのは不満。
すでに過去の馬となってしまったか。
昨秋のエリザベス女王杯はどうやらレベルの低いレースだった可能性が出てきたと、個人的には思う。
今の力では、G2、G3級あたりだろうか。

レースレベルは低調。とにかくウオッカただ1頭だけだった、というレース。
1着馬は大絶賛できるとして、2着以下は全く情けないメンバー構成、というレースだったように思う。


京王杯スプリングカップ回顧

近年レベルの低下が激しいG2レース、京王杯。
翌日に牝馬のG1、ヴィクトリアマイルができてしまったこともあって、
今年も一線級はまったく顔を覗かせない一戦となってしまった。

過去にはタイキシャトル、グラスワンダーが勝つなど、
G2にとどまらない活躍を期待できる馬も多く出走していたのだが、
最近はむしろ、G2としてのレベルすら維持できていないようにすら思えるレースとなってしまっている。

今年も勝ったのは、1600万を勝ったばかりのスズカコーズウェイだった。
しかも、2着以下に着差を付けるでもなく、混戦を制した感じ。
やや低調な一戦だったことをは否めないだろう。

ただ、スズカコーズウェイ。この馬は3歳の頃は脚元も弱かったのか、
今ひとつ活躍できていなかったのだが、昨年の7ヶ月の休養を挟んで馬が本格化。
その後は安定していいレースをしてきているから、
この馬に関しては、今後もG2、G3級では通用しそうな雰囲気はあった。
ただ、次が安田記念で通用するかというと、それはまた別の問題になるかもしれない。
血統的にはいいし、本格化の今なら、重賞レベルにあるのは間違いない。

2着はトウショウカレッジ。
まだオープン特別の勝ち鞍しかない馬だが、東京1400mはよく走る馬。
次G1で、しかも距離が伸びて通用するかは疑問も、G3級なら今後も期待できそう。

3着ファリダット。
不完全燃焼のレースが続くこの馬だが、今回はある程度力は出したのではないか。
G3か、レベル的に難のあるG2くらいなら勝負になる馬だ。
ただ、G1となって通用するかは疑問も残る。

私の本命スマイルジャックは不利を受けて外に出したのが致命的。
土日の競馬を見ていると、どうやらインを付いた馬だけの競馬になっている傾向がある。
本番は内に仮柵も作られるだろうし、この馬は底力もある。
巻き返しに期待したい。

レースレベルはG2としては低調。安田記念の前哨戦としては、
若干物足りない印象も受けた。
近年ずっとこのレベルのレースが続いているのが、残念でならない。


NHKマイルカップ回顧

なんとも後味の悪い一戦だった。
先週の天皇賞の大荒れは、まだ全馬が力を出しきった敗戦だから納得できるものであったが、
今週の荒れ方はちょっと問題。
何しろ、前に行った馬が残っただけ、というG1になってしまったのだから。

1着馬、2着馬、3着馬の道中は、それぞれ、2、4、3番手。
いくらなんでも、G1で、しかも府中の馬場でこの前残りのペースで走らせるのはないだろう。
結果的に勝ち馬のタイムが1分32秒4のレースレコードだから、
他の騎手たちが、「これは早い」と判断しても仕方ない面もあったのだろうが、
しかし、今の高速馬場と、G1の格を考えて、あまりにも後はのうのうと構えすぎではないだろうか。

実際、中団以降の馬は、誰が悪い、という意味ではなくて、全体に全く動けず、
見せ場すらない。
というか、このレースで見せ場を作ったのはイコール勝ち馬だけだった、という凡戦。

もちろん勝ち馬のスピード能力は褒められるが、しかし、それ以外の馬は一体何をやっていたの、
という一戦ではあったように思う。
勝ち馬が悪いわけではない。それを負かしに行くこともしなかった、
2着以下がG1にはふさわしくない愚図なレースをしただけ、ということだろう。

私の本命アイアンルックはサンカルロに進路を完全にカットされる不利があり、
また向こう流しではひっかかるそぶりも見せていた。
馬が悪いわけでは無い。今回は2着以下の馬達は何もしていない。
次走以降、この馬には巻き返しのチャンスがあるだろう。

レースレベルは通常。
さすがにここからダービーに、という馬がいる年ではないと思うが、
全体のレベルとして低レベルというわけでは無さそう。
繰り返すが、馬の力云々ではなくて、道中の位置取りとペースで片がついてしまったG1だった。
力の激突を望みたいG1では、あまり見たくない内容のレースだったように思う。


京都新聞杯回顧

今年のダービーは賞金のハードルが高く、
本賞金1850万を稼いでいるベストメンバーでも、18頭の中に入れない可能性があり、
そのため、このレースに参戦することとなった。
皐月賞組みは普段このレースにはあまり参戦しないものなのだが、
これでレースのレベルが(例年が低すぎることもあるが)上がったと言える。

人気は皐月賞5着のベストメンバー、同じく6着のリクエストソングが分け合ったが、
その2頭は、はっきりと明暗が分かれた。
勝ったのはベストメンバー。
皐月賞では中団後方から進んでの5着で、G2のここなら抜けている可能性は高かった。
実際、500万を圧勝してきたデルフォイ以下は完封しており、
皐月賞5着だけ走れれば、レベルの低いここなら十分勝ちきれる、ということだろう。
ダービーは、まだこれだけでは有力、というほどではないと思うが、
さしあたり、穴人気くらいはする存在にはなりそうだ。

一方、私の本命でもあり、人気でもあったリクエストソングは不可解な5着。
確かに皐月賞は展開の味方はあったものの、それでもベストメンバーとは0.2差6着。
またきさらぎ賞ではこちらが先着していることからしても、
ここでやっと掲示板、という馬では無いと思う。
体調が一歩だった可能性がある。パドックの確認ができていないが、
何か体調の低下を示す要素が現れてはいなかっただろうか。
皐月賞で仕上がって、状態が下降線だった可能性が高い。

2着デルフォイ、3着ロードロックスターは500万で非常に強い競馬をしてきた2頭で、
普通の500万勝ちプラスアルファは見込めた馬。今回くらいは走れる。
目前に迫ったダービーとなると「?」だが、その後の重賞路線では楽しませてくれるだろう。

例年レベル的に問題のありすぎるG2ではあったが、例年にくられべれは今年はだいぶましであった。
皐月賞5着馬が優勝だから、ダービーで勝ち負けレベルかは置いておくとして、
低レベルな一戦、というわけではなかったのは、複数の路線が収束するダービーを盛り上げる、
という意味では、今後に期待できる一戦だったのではないだろうか。


新潟大賞典回顧

ハンディキャップの重賞の割には荒れない、とされる新潟大賞典だったが、
今年は2着に穴が来て、若干荒れ模様のレースとなった。
しかし、G1レースとぶつからない土曜ということもあって、
比較的上位の騎手も参戦しやすい一戦で、
それが波乱の要素が少なくなっている要因なのだろう。

勝ったのは藤田騎手、シンゲン。
元々休み明けでは、11ヶ月の骨折休養明けでいきなり1600万を勝った馬だけに、
3ヶ月くらいの休みなら、むしろこの馬には有利に運ぶ、ということなのかもしれない。
潜在能力の高さはその休み明けの一戦からも明らかなだけに、
これはG3の一発屋にはとどまらない魅力がありそうだ。
今後とも、G3のハンデ戦あたりで、時々一発をかましてくれそうな馬の登場だ。

2着はニホンピロレガーロ。
1600万を勝ちあがれずに、格上げ挑戦の万葉Sを勝っただけに、
いかにもスタミナで競馬をする馬、という印象。
新潟の直線は尋常ではない長さのため、こういったジリ馬には有利に運んだか。
前走オープン特別で2着だから、G3に格上がり、しかも斤量増は有利ではなかっただろうが、
それでも結果を出してきたあたり、スタミナ能力が問われれば、ということか。
いかにもハンディキャップの重賞で来る馬、という感じ。

3着オペラブラーボはよく立て直してきた。
昨秋も期待されながら、重賞では結果が出なかったのだが、
ここで休み明けながら3着。
どうやら安定して重賞を勝ちまくるレベルではないようだが、
それでも潜在能力はG3なら通用することを、今回改めて示したと言える。

オースミグラスワンは今年は不発。
衰えたかどうかの判断はまだ早いし、年齢的にまだまだ走れる可能性は十分だが、
このレースに関しては、最後200で完全に止まってしまった。
調子一息か、あるいは鞍上と手が合わなかった可能性がある。

レースレベルは通常。
ここからG1路線、という感じではないだろうが、
G3のハンデ戦なら今後も楽しめそうな馬がたくさんいた、そんなレースだった。


天皇賞・春回顧

今年は混戦が言われていた天皇賞。
結果もその評価が正しかったことを示す、波乱の結末となった。

まず勝ったのがマイネルキッツ。
前走日経賞2着はともかく、それまでの成績で、オープン特別で7着に負けてみたり、
ハンデのG3でも勝ちきれないなど、G1では少々…。
というイメージの成績のこの馬だったが、
鞍上の松岡騎手が「前走のレースのあとここを進言した」というように、
どうやらスタミナは相当ある馬だったのだろう。

父チーフベアハートは中距離の芝向きの産駒を送り出すタイプだが、
母父サッカーボーイは種牡馬としては生粋のステイヤーを送り込む血統。
道中が緩まない、スタミナ型に有利な馬場で浮上してきた1頭だ。

また、鞍上の松岡騎手も、常に好位のインに付ける、積極的にしてロスのない好騎乗だった。
元々長距離でいい騎乗をする騎手だけに、今後さらに長距離での腕を上げる可能性がある。
長距離に関しては横山典騎手の後継者に育つかもしれない。

2着はアルナスライン。
再三府中の2500mという、豊富なスタミナが要求される舞台で連対を果たしていて、
スタミナには自信がある馬。
前走こそ中山で走ったが、本来は直線の長いコースで実力を発揮するタイプ。
不振もあったが、これで完全復活と見ていいだろう。

3着はドリームジャーニー。
こちらは直線の短く、道中のラップが早い時に浮上する馬なのだが、
今回よどみのないラップに導かれての好走だったか。
G1を勝ちきるイメージがなかなか沸いてこないのだが、
しかし小回りならば…という感もあり、宝塚記念ではマークが必要かもしれない。

1番人気アサクサキングスは不発。
やはりここ数走の走りから、ややメンバーが手薄になった時のG2級ということなのだろう。
G1ではよっぽど恵まれない限りは辛いだろう。

私の本命ジャガーメイルは直線よく追い込んだが5着まで。
2着のアルナスラインとは差が無い競馬を繰り広げているだけに、
そのレベルにまで達しなかったのは、やはり休み明けが影響していたのだろう。
せめてどこかに一叩きするローテーションを組めば結果は変わったかもしれない。
個人的には休み明けを承知で買ったのだが、そこまでずば抜けた馬ではなかったということか。

レースレベルは若干低調。
G1クラスの馬があまり出走していなかったこともあるし、
上位もG2よりはましな、G、1.5、くらいのレースだったと思う。
古馬路線に安定した新星登場、とまではいかなかったのではないだろうか。


青葉賞回顧

今年のダービー戦線は、皐月賞で有力とされていた馬が大きく負けてしまったことによって、
若干の駒不足を覚える結果となっている。
そんな中で、やはり皐月賞以外の路線から有力馬が現れてくれることを願っていた。

結果的に、1頭強力が馬が現れた青葉賞ではなかっただろうか。
勝ったのはアプレザンレーヴ。
この馬、前々走の500万でも強い勝ち方をしている馬で、
やはり東京コースだとよく走る。
直線一旦は外からトップカミングに交わされるかという場面があったが、
渾身のムチを入れられると、そこからまた盛り返し、
最終的には完勝と言える着差と勝ちぶりでの優勝となった。
切れ味は見事なものがあり、手薄になったクラシック路線なら、
十分勝ち負けに持ち込める可能性を秘めた1頭の登場だと思う。

2着マッハヴェロシティは東京コースではよく走る馬。
3着が共同通信杯で同じような着順で走っているトップカミングだから、
この馬も力は出し切ったと思う。
ただし、ダービーとなると、若干まだパンチが足りないのではないかと思われる。

3着はトップカミング。
一旦先頭、という場面がありながら、そこから膨れて3着に負けてしまうあたり、
いかにも勝負弱い印象を受ける。
ただ、相手なりには走るタイプで、若干相手が強力になっても侮れない。

レースレベルは通常。
即ダービー!というレベルでは無いにしろ、しかし勝ち馬の勝ちぶりは鮮やかであったから、
本番でも伏兵あたりの評価はできるのかもしれない、と思われた。
おそらくは共同通信杯と同じくらいのレベルのレースだったように思う。