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2009年7月のレース回顧



小倉記念回顧

ハンディキャップ重賞で荒れる場合、二つのパターンがある。
1頭の人気馬が好走して、その相手に超大穴が入る場合、
もうひとつが、穴人気クラスがワンツーして、そこそこの配当になるパターンだ。
今年の小倉記念は、人気馬と穴馬での決着となった。

勝ったのはダンスアジョイ。
ここまで重賞はおろか、オープン特別でも勝ち負けにならなかった馬なのだが、
今回小回りコースを利して、一気に戴冠した。
この馬、スタミナ能力はものすごくて、どんなレースでも「伸びないがばてない」
競馬をし続けている馬で、
これでは半端に直線の長いコースでは不利に運ぶ。
今回のような直線が短いコースがベストということだろう。
ただし、それがわかっていても買える実績では無かったが。
個人的にはこの馬のスタミナが生きる3000m越えのレースや、
あるいは直線があまりにも長すぎるため、切れ味勝負では辛い新潟で、
この馬にチャンスがあるのではないかと思う。
次、新潟記念ならば、当然マークしなくてはいけない1頭だ。

2着はホッコーバドゥシャ。
この馬前走は後方から行き過ぎて、直線勝負だったための3着。
と言った感じのレースだったのだが、
今回は比較的早めにスパートした結果、2着を確保することができた。
前々走のレコード決着を制しているだけあって、
軽い夏場の小倉コースはこの馬には合っていたということなのだろう。
小回りならば常に注意が必要だが、軽い馬場になるとさらに勢いを増す印象だ。

3着はクラウンプリンセス。
確かに前走オープン特別を勝っているのだが、
しかしそこは外回りの競馬で、今回の内回りとは求められる適性が違うレース。
しかもオープン特別とG3の連勝というのはあまり無いパターンのため、
個人的には軽視してしまった。
斤量も増えていたし、よく好走できたな、という印象。
牝馬限定のG3あたりなら、また時には一発の可能性もあるか。

レースレベルは通常。
夏場のハンデG3らしいメンバーで、決着もそれらしいレースだったように思う。


函館記念回顧

例年そこまでは荒れない、という印象の函館記念だったが、
今年は開催が札幌ということもあって、傾向がどう変わるのかにも注目が集まった。
結果的に、今年はハンディキャップのローカル重賞らしい結果となった。

勝ったのはサクラオリオン。
以前に中京記念を勝った後、しばらく低迷していたが、
札幌競馬場で復活の勝利を挙げることになった。
中京の坂を下りながら4コーナーを周る競馬は距離以上のパワーが試される。
そのため、洋芝の競馬と中京の競馬はリンクしやすい、ということなのだろう。
前走も内容としてはいいものだったようで、
これからもハンデのG3あたりで、人気を落としてはドカン!があるかも知れない。

2着はマヤノライジン。
函館競馬場と相性がいい馬で、今年のような、馬場の渋った札幌、
というのは、比較的似通った適性を求められるのかもしれない。
ここ数戦力を出し切れていなかったが、
春にはG3で3着があり、ハンデのG3ならこういったパターンの馬でも浮上できるようだ。
馬場の適性と、G3のハンデ、という組み合わせで浮上してきた1頭だろう。

3着メイショウレガーロも、近走オープン特別でも勝負になっていなかったのだが、
マンハッタンカフェ産駒ということで、洋芝への適性は高いものがある。
重賞ではそう安定して走るタイプとは思えないので、
今回は馬場と相手、展開などが全てはまった印象の3着である。
馬場で言えば、札幌、函館、そして中京で注意が必要そうな馬ではある。

私の本命インティライミは直線を迎えて手ごたえが無かった。
叩き3戦目で、さすがに変わるかと思われたのだが、案外の競馬。
この相手に掲示板にも乗れないようだと、今後が非常に心配。
能力を出し切れて居ないのか、それとも全盛時の力がもう無いのか…。
そのどちからだとは思われる。

レースレベルは、例年このレースにはもう一枚上手の馬が1頭くらいは出てくるものなので、
それに比べると若干低かったようにも思われる。
ローカルのハンデ重賞、というレベルのレースで、
例年の北海道シリーズの重賞のレベルよりは低かったように思う。

ここの上位の馬達は、また時折人気薄で好走するパターンの重賞ホースになるような予感がする。


アイビスサマーダッシュ回顧

牝馬優勢が言われているアイビスサマーダッシュ。
何しろ牡馬で優勝したのがカルストンライトオただ1頭という現実。
「究極のスピード比べ」というよりは、「究極の軽さ比べ」
というような、他のスプリント戦とはまた違った様相を呈する一戦だ。

今年も勝ったのは、今までの流れを受け継いだような、カノヤザクラだった。
昨年のこのレースも制しており、直線1000mの競馬は相性がよく、
また、夏場には確実に調子を上げてくる馬でもある。
前走こそまったくいいところなく負けてしまったが、
しかし7ヶ月以上の長期の休み明けだったことを考慮すれば、
前走は参考外。
去年のこの時期の競馬を見ても、夏場のG3クラスなら大崩はしないタイプのようだ。

牝馬に優勢なレースでもあり、また直線競馬に適性がある馬にも有利。
その二つを兼ね備えていた馬がカノヤザクラだったということなのだろう。

2着にも直線競馬は得意なアポロドルチェ。
差してくる脚質の分、若干の不利があるかと思われたのだが、
前半の不利を跳ね除けての2着。
この馬も夏馬で、しかも直線競馬にも向いている馬だから、
こういったタイプを積極的に狙うのがいいのかもしれない。
前走はオープンを負けてしまっているが、
しかしこのアイビスサマーダッシュというレースに限っては、
前走でオープン特別を負けていようがなんだろうが、
平気で巻き返しが利く。
やはり「夏馬」と「直線適性」がキーワードのレースのようだ。

3着はアルテマトゥーレ。
前々走で重賞を大凡走しているので、若干の不安はあったが、
今回はしっかり巻き返してきた。
この馬も直線競馬に適性がありそうで、来年以降夏競馬の穴馬になるかもしれない。
まだキャリアも浅く、もうワンパンチ上積みが見込めるだろう。

私の本命シャウトラインは見せ場のない6着。
前々走の圧勝から、直線競馬への適性があると思われたのだが、
残念なことに重賞の壁があったか。
重賞実績がなかったので、若干の不安はあったのだが、現実となってしまった。
コーナーのあるコースでは重賞まではどうなのか、と思われる馬で、
この直線競馬のスペシャリストだと思ったのだが。

レースレベルは通常。
例年通りのレベルで行われたレースだったように思う。
勝ち馬は去年のスプリンターズSでは負けているし、
ここからG1に飛び立つ!というパターンの馬ではなかったように思う。


七夕賞回顧

例年大荒れする重賞として名高い七夕賞。
梅雨時、荒れ馬場、ハンデ、ローカルと来れば、これは荒れない確率が低いのはうなずける。
しかし、今年に限っては例外の年になったようである。

勝ったのは昨年の覇者でもあり、1番人気でもあったミヤビランベリ。
前走の目黒記念は最悪の不良馬場を利しての優勝だった印象が強かったが、
今回は間違いなく力で優勝してきた。
直線の短い福島コース、それも荒れ馬場ということで、
持久型のこの馬にはもってこいの舞台になったように思う。
個人的には人気というだけで軽視したが、しかし前走の府中より、
むしろ今回の小回りの方が向いているのは明らかで、
今後も持久力が試される重賞では面白い存在になりそう。

2着はアルコセニョーラ。
この馬も福島の適性は高い馬で、G3なら十分に好勝負になる。
なぜ軽視したのかと問われれば、この馬は人気の無い時に劇走するキャラで、
そこそこ人気していた今回はどうかと思ったのだが、
人気が無ければ来る、という単純なものではなかったようだ。
どうも、持久力が要求されるコースで、なおかつ差しが決まる馬場状態、
というのが、この馬が劇走するポイントのようである。
そういう意味で、今の福島の外差しの馬場はジャストフィットだったと言える。

3着ホッコーパドゥシャ。
ハナ差の決着で、ゴール前はこちらが前に出た?
と思わせるシーンもあっての、首の上げ下げに負けての3着。
やはり福島ではこの馬は馬が変わる。
レコードの出る馬場だろうが、荒れ馬場だろうが、福島なら変わってくる。
今後も他のコースで不発、からの福島の転戦で侮れない1頭になりそうだ。

レースレベルは若干高め。
元々そこまでレベルの高いレースではないので、G2でもそこそこ勝負になっている馬の転戦は、
このレースとしてはレベルの高いものだったと言える。

個人的に、荒れることを前提としていたので拍子抜けだが、
福島適性が高い馬が上位に来ている、という意味では、納得の決着だったとは思う。


プロキオンS回顧

人気になっていたトーホウドルチェ。
正直個人的には危険な人気馬だと思われた。
しかし、レースではこの馬が2着に頑張り、固い決着で収まった。

この馬、前走で1600万を勝ったばかり、さらにその前のオープン特別では、
52キロの軽ハンデでも3着に敗れており、
果たして重賞で54キロはどうかと思われたのだが、全く関係なかった。
どうも、このあたりに今年のこのレースのレベルが現れているように思う。

勝ったのはランザローテ。
ここ2戦、1600m以上のレースに使われていいところのない敗戦を繰り返したが、
ベスト条件であるダート1400に変わって、きっちり馬が変わってきたように思う。
元々休養が長く、レースに安定して使うことができなかった馬だけに、
これで本格化、ということだろう。
ただ今回は若干相手とペースには恵まれた印象はある。
次以降が正念場だろう。

2着は疑惑の人気馬トーホウドルチェ。
確かに前走が初の1400mで、この距離では底を見せていないのだが、
しかし守備範囲とも言えるダートの1200mでは、オープン特別を負けてしまっている。
それが重賞で、しかも斤量が増えて好勝負になった、というのは、
ひとつにはダート1400mの適性が高かった、という可能性と、
もうひとつはレースのレベルに問題があった、という可能性。
負かされた相手はそれほど強力とは思えないし、次の一戦で真価が問われる。

3着に1番人気バンブーエール。
正直、この相手に負けてしまう馬だとは思わなかった。
いくら交流重賞と言っても、G1ともなれば、通常は中央のG3よりはレベルが高いのだが、
しかし、昨年は連勝の勢いもあっての制覇だったのかも知れない。
どうも順調さに欠いてしまっているように思えてならない。
本来の力はこの相手に負けるレベルとは思えず、不発の印象が強い。
どこかでボタンを掛け間違えた可能性あり。

レースレベルは低め。
夏競馬ということもあってか、小粒なメンバー構成だったように思う。
ペースも先行馬には恵まれた感もあり、
上位の馬は、今後改めて力を証明してもらいたい。
もしかしたら、1400で底を見せていない、戦歴が浅い、ということで、
まだ未知の力を秘めている馬たちなのかもしれないのだから。