2010年 5月の レース回顧
第77回日本ダービー回顧
超超スローペース、その一言だけで説明が終ってしまうような、
そんな日本ダービーだった。
道中1000メートル通過こそ、61秒4であったが、
しかしその後2ハロンにわたり、13秒台のラップが続き、
その結果、レースの上がりは33秒4。
いくら瞬発力勝負になりやすい府中にしても、
この上がりはいくらなんでも尋常ではない。
道中がものすごく遅すぎた、としか言いようが無いと思う。
ここまで遅くなれば、普段の力関係などはもはや関係ない。
ただ単に極限の上がりが使えるだけの馬が勝つ、それだけ。
さすがにこれではレースとしての内容も最悪だし、
力を出し切れなかった馬も多かっただろう。
日本ダービーにあるまじきレースで、凡戦と言わざるを得ない。
なぜダービーの舞台でそんな凡戦を許すのだろうか。
逃げを打った組も問題だが、後ろからの圧力もどうだったのだろうか。
レース結果云々以前に、レースの内容があまりにも悪すぎた。
どの馬が悪い、というわけではなく、
このようなレースをしてしまったことが、非常に残念だし、
ましてや日本ダービー。
私の記憶する限り、最悪のダービーだった。
勝ったのはエイシンフラッシュ。
超スローの中、32秒7の極限の上がりを駆使して優勝した。
キングマンボの系統の、キングズベスト産駒ということで、
日本の競馬への適性は高いと同時に、
極限の上がり勝負に対応できるところを見せた。
ただ、ここまでの上がりになってしまうと、普段からこの力が出せるかと言うと、
不安感は否めない。
また33秒前半の脚を要求されるレースが来れば、信用できるのだろうが…。
「普通」の展開のレースでどうなるかは、まだ未知数だ。
2着はローズキングダム。
マイラー色も強いこの馬だが、これだけペースが遅くなれば、十分対応できてしまう。
鞍上も今回は強化されたし、この馬の力は十二分に発揮できたのではないだろうか。
今後はマイル路線などでも、楽しめる馬かもしれない。
3着はヴィクトワールピサ。
私の本命でもあったのだが、好位のインからの競馬で負けたのでは仕方ない。
もう、ペースが普通だったら、というもしも、しか考えられない。
33秒4の上がりのレースには不向き、ということはわかったが、
そんなレースは年間にもそうあるものではないので、
32秒台の上がりの適性が無かったからと言って、悲観する必要は全く無い。
人気をわけあったペルーサもそうだが、
真の実力を試されるのは、秋に持ち越されたと見ていいだろう。
ペースがあまりにも遅くなりすぎたため、ここまでの凡戦となってしまった。
超ハイペースも問題だが、ここまでペースが緩むのもレースが壊れる。
中山だったら逃げた馬が1着、2番手の馬が2着、などというパターンになっている競争。
勝った馬は極限の上がりが使える馬、ということがわかった、ということ。
負けた馬も、全く悲観する必要は無いレースだったと思う。
本当の力勝負は、秋に持ち越された。