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2010年 7月の メインレース回顧



第46回函館記念回顧


洋芝巧者に有利に運ぶハンデのG3。函館記念。
上級条件ではあるが、ハンデのG3という、
極めて能力が拮抗する馬が出走する舞台だけに、
適性で着順が決定されることも多いレース。

しかし、今年の優勝馬は、単に函館適性だけでは語りきれない力がありそうな1頭だ。
マイネルスターリー。
ここまで数走、好走止まりで終っていたのだが、
しかし今回外国人騎手に乗り変わったこと、
さらに得意の洋芝に変わった事によって、走りが一変。
なんと今回は3馬身半の決定的着差をつけてのゴールインとなった。

2着のジャミールも、G2の阪神大賞典で2着できる馬だから、
それにこれだけの着差をつけている以上、
函館、札幌の洋芝なら、そう簡単には負けないのではないだろうか。
次走は札幌記念に決定したそうだが、
今回の走りを見る限りでは、格がG2に上がっても格負けはしないだろう。
次も当然期待できる1頭。

2着ジャミールの重賞2戦は相手のレベルに難のある重賞で、
ハンデのG3という性格上、順当に連対するのは難しいと思われたのだが、
それでも2着に来たのは、血統的にも見える、洋芝への適性だろう。
父ステイゴールド、母父サドラーズウェルズで、欧州血統と言える。
今後は時計のかかる条件でのハンデ重賞で面白そう。
東京2500のG2なども、条件的には合っていそうだ。

3着ドリームサンデーは、今回はおお逃げの馬がいる競馬で、難しいレースを迫られた。
よく力をだしての3着、という印象。

レースレベルはハンデのG3としては高い。
上位2頭は、ハンデのG3以上の条件でも走ることができそうな印象を持った、
今年の函館記念だった。


第10回アイビスサマーダッシュ回顧

7月の開催週に移されて、初の梅雨明け後のレースとなったアイビスサマーダッシュ。
馬場が荒れた後半を避けてこの時期に移ったのだが、
しかし結果的には、梅雨の影響で、かえって勝ちタイムが遅くなる、
という皮肉な結果が続いてしまっていた、残念なレースであった。

そういう意味で、今年の良馬場というのは待ち望まれていたもので、
極限のスピード比べを堪能できる、久しぶりのアイビスサマーダッシュであった。

勝ったのはケイティラヴ。
この馬は直線競馬の鬼。
1000メートルで4勝しているように、ここでの適性だけはずば抜けている。
コーナーのある競馬では、1600万でも勝ちきれて居ないだけに、
今後は苦しい展開が予想されるが、
しかし直線競馬では、この馬が一番強い、というのは間違いないだろう。

今回は好スタートを切った事により、
極限のスピード比べのレースで、前に行けば行ったほど有利な展開のレースだっただけに、
この馬にはますます有利に運んだように思われる。

2着ジェイケイセラヴィは叩かれて2戦目。
調教は非常によかったようで、状態面で上向いていた。
直線競馬への適性も、これではっきりしたし、
この条件では今後も強力な1頭になりそうだ。

3着マルブツイースターは3歳時にピークがあって、
その後ずっと不調が続いていたが、ここに来て巻き返してきた。
今回の1走だけでは信頼性に欠けるが、
次のコーナーのある競馬で、似たようなレースができれば、
本格復調、ということだろう。まだ様子を見たい1頭。

レースレベルは若干低かったか。
直線競馬への適性で、上位が決まったように思われる。
極限のスピードがあることはわかったが、
それが、即コーナーのある競馬で通用するかは、非常に疑問だ。


第15回プロキオンS回顧

連戦連勝のナムラタイタンに人気が集まったレース。
しかし、結果的に見れば、まだ重賞実績が全く無い馬で、
重賞では未知数、という馬に、あまりに人気を被せすぎた、
という反省を抱いたレースだった。

勝ったのはケイアイガーベラ。
前走こそ交流G3で4着に負けてしまっているが、
おそらくここは距離が1ハロン長かったものと思われる。
今回はベストの1400に戻り、
馬場のやや重、というのも、アメリカ血統のこの馬にとっては、
有利に働いたように思われる。

全然走のオープン特別でも圧勝してきており、
この条件ならまだ底を見せていない印象で、
これは牝馬の交流重賞路線に、強力な新星が誕生した瞬間のように思われる。

今回の勝ち方はフロックではなく、今後が非常に楽しみな1頭だ。

2着サマーウインドも、これも実は根岸Sで2着に走っており、
重賞実績のある馬。
ベストは1200だろうが、しかし根岸Sは1400m。
すでにこなしている距離でもあり、今回不安視してしまったのはナンセンスだった。
今後、1200に変わって、いつでも重賞を制覇できる馬。

3着に圧倒的人気のナムラタイタン。
重賞実績が無いこの馬が1倍台の人気というのは、不確定要素が大きかったか。
今回は前々の競馬を試みて、普段の末脚が使えないで終ってしまった。
相手が強力な感はあるので、まだ見限れないものの、
しかしあまりに過大評価をするのは禁物だったということか。
一度重賞に使われたことで、条件慣れがあれば変わるのだろうが…。

レースレベルは高かった。
1〜3着馬がすでに重賞級の馬達であり、今後の活躍が楽しみ。
中央のG3あたりでも期待できるし、秋のJBCスプリントに向けても、
楽しみな馬達である。上位馬の今後に期待。


第46回七夕賞回顧


今年は馬場がいい、そんな話が嘘のようだった七夕賞。
例年、外差しが決まるレースなのだが、
今年に関してはもう、外差しというよりは、追い込み、追い込み。
動かなかった馬が最後勝ってしまった、というレース。
こうなると馬券は難しい。
普段、「スピードが付いて行かない」という感じで、
「後方まま」ばかりを繰り返している馬が、いきなり一変してしまうからだ。

今年の勝ち馬、ドモナラズはまさにそんな印象。
ハンデの52キロがよかった、というのはあると思うのだが、
それ以上に、馬場、展開がハマった、という印象が極めて強い。
もちろん、今後もまた展開がハマる可能性はあるわけだが、
少なくても、安定して好走するタイプの馬では無いと思われる。

2着以下もひとつひとつ論評するには及ばず、
基本的に追い込み、追い込み、動かなかった馬が上位に来た、というレースだ。

私の本命トウショウシロッコは、この馬場、展開で早めに動いてしまった時点で終ってしまっていた。
騎手や陣営の判断を疑う。
騎手のレース後のコメントの、「4コーナー先頭の競馬がこの馬には合っている」
も、あまりに事実錯誤としか言いようが無い。
そんな競馬が得意な馬ならば、なぜ外差しばかりのこのレースに使うのかがそもそもわからない。
普段どおり、後方から行って最後の脚にかけて欲しかった。

レースレベルは通常。
ハンデのG3らしい、ハンデのG3だったと思う。
おそらくはここの上位馬は、馬場が荒れた小回りでまた復権、というクチだろう。


第59回ラジオNIKKEI賞回顧


東京での実績よりも、小回りで使える器用な脚が生きた。
そんなラジオNIKKEI賞だったように思う。
人気は青葉賞2着のトゥザグローリーだったが、
根本的にこの馬、直線の長いコースの方が得意、ということなのだろう。
実力を出し切れれば、ダービーで7着しているように、
力は上位の馬である。
コースへの適性で、だいぶ今回はやられた分が多かったように思う。

また、パドックでの発汗もひどく、気性的にも今回は厳しかったか。

そんな中、勝ったのはアロマカフェ。
こちらは中山で2勝をあげているように、完全な小回り巧者。
マンハッタンカフェ産駒らしく、持久力が求められる舞台も向いているようだ。
前走ではトゥザグローリーに完敗も、直線の短いコースなら変わってくる。
今後も、持久力の試される、中距離のレースでは見逃せない。
決してフロックの勝ちでは無いと思う。

2着はクウォークスター。
この馬は直線の長いコースで瞬発力を問われてどうなのか、という馬だと感じだのだが、
今回2着に持ってきたのは能力の証明だろうか。
ただ、この馬にしても、前前走の中山で結果を出しており、
やはり小回りは向いていたのかもしれない。

3着レトは体調不良説で人気を落とすも、重賞で3着を2度やっている馬で、
このくらいは走って当然の馬。
人気があまりにも無さ過ぎた。

私の本命リリエンタールはパドックから入れ込みがあったが、
それ以上に、レースで引っかかってしまったのが致命的。
気性的に能力を出し切れないタイプか。
気性的に安定した時の、小回りでは見限れない1頭だ。

レースレベルは通常。
G1でどうこう、のレベルに達するかは今後の成長力等吟味しないとわからないところだが、
差し当たってはあまり低いレベルのレースにはならなかったのではないだろうか。
願わくば、成長力のある馬が存在し、今後G1路線にはばたく馬が登場して欲しいところである。


第17回函館スプリントS回顧

G1、2着3回のビービーガルダンに対抗できる馬が現れるかが焦点のG3。
そのビービーガルダンが59キロと、短距離としては厳しいハンデを背負って、
どこまでの競馬ができるかに、注目の集まったレース。

勝ったのは比較的斤量の軽かった、ワンカラット。
なかなか勝てない時期が続いた馬だが、
去年のNHKマイルカップでは、メンバー中最速の上がりを繰り出しており、
潜在能力では一枚上のものがある、と、ずっと言われてきた馬である。

今回、血統的に合いそうな洋芝の舞台。
さらに長いあいだ重賞を勝てなかったため、本賞金が溜まらず、
牝馬ということもあり、54キロの斤量で出走できたのも影響したと思われる。

重賞はいつでも勝てる馬だと思われていたが、
今回は実は条件が揃っていたのかも知れない。

2着はビービーガルダン。
この馬は1着馬とは対照的に、斤量の面で59キロの酷量。
通常の馬ならば、これだけでアウトなのだが、
さすがにG1で2着3回の馬ともなると、底力が違う。
結果的にこなし、2着に踏ん張った。
サマースプリント路線では厳しいハンデが課されそうだが、
秋には本番が待ち受けており、そこでは改めて期待できる1頭だ。

私の本命キョウエイアシュラは、軽ハンデを生かして上がって行ったのだが、
道中の位置取りが後方だった分、差し切れなかった。
普段よりは前目につけた馬だったが、
やはり函館のスプリント戦ともなると、なかなか差しの一手では厳しいということか。

レースレベルは通常。
ワンカラットは、今後ハンデが重くなってどうなるか、興味が尽きない。
2着のビービーガルダンは、これまでの実績が示す通り、
G1でもやれる馬。今後の変わり身に期待だ。