競馬コラム

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ダートコースの砂厚について

日本競馬のダートコース、どこも無個性だと思うのは私だけだろうか。
特に、1800mのダートを行っている競馬場、中山、阪神、京都。
そのみっつのダート1800のコースに、どれだけの個性が見出せるだろう。
結局、どのコースもスタンドの前からスタートして、馬場を一周してくるだけである。
コーナーがよっつ、コース形態も一緒、砂質も変わらない。
では、どの競馬場で走っても、大して求められる適性は変わらないのではないか。

芝に目を転じてみよう。
芝コースでは、内回り、外回りがあり、それぞれ違った適性が求められる。
また、中京競馬場のロングスパート能力が問われるスパイラルカーブ、
函館競馬場の洋芝適性、など、コースによって問われる適性が違うのだ。

芝でこれだけ個性を求めて置きながら、ダートでは一切不問。
砂をこなせればそれでいい、というのは、やや面白みに欠ける発走ではないか。

かつてダートは、東京競馬場は砂厚7センチ、他の競馬場は8センチで行われていたように、
コースによって、ダートの厚さを変えることもできるのだ。

東京競馬場の7センチは、馬の脚に悪影響、など、不評もあったようであるから、
今更元の7センチには戻せないかもしれない。
しかし、ならば他の競馬場、例えば、阪神と中山を、砂厚9センチにかえるのはどうか。
こうなれば、元々タイムが早いと言われる東京と京都は現状と同じダート、
阪神と中山では、タイムのかかるまた少し求められる適性の違うダートを演出できないか。

わかりづらくなる、という反論はあろう。
しかし、芝のレースで面白いのは、その競馬場ごとの特徴を考えながら予想することである。
ダートの競馬には、残念ながら無個性なコースも多いのだ。
砂厚が深くなって、タイムがかかるコースができれば、
今までとは違い、京都では早いダート適性、阪神では深いダート適性が求められる、
など、これまでとは違った視点からの競馬が行えるようになると思うのだ。

無個性な競馬よりも、個性的な競馬が見たい、
そのために、ダートコースの砂厚の変更があってもいいのではないかと思う次第である。


日本馬の凱旋門賞へ向かうローテーションについて

凱旋門賞、言わずと知れた世界最高峰の国際G1である。
日本馬も数年に一度は遠征を行っている。
しかし、その遠征に伴って、毎回不思議だと思ってしまう事象がある。
ローテーションだ。

世界最高峰のG1に勝つために遠征するのであれば、それなりのローテーションで挑まなければならない。
当然万全の、最高の出来で挑まなければ勝負にならないレースである。
にも関わらず、日本馬の多くは、なぜか宝塚記念に固執し、
さらにその後遠征先でのレースは一切無し、という、
「宝塚記念→休養3ヶ月→凱旋門賞」
という意味のわからないローテーションで挑む馬ばかりなのである。

これでは凱旋門賞を勝てるわけがない。
今年もメイショウサムソンが上記のローテーションを慣行し、
圧倒的不利な条件での競馬を強いられることになった。

これだけ相手が目一杯に仕上げてくるレースで、
こちらが休養明けでは、勝負になる方が難しいのである。
(今年のメイショウサムソンの場合、能力的にも「?」であるし)
にも関わらず、何回失敗を重ねても、宝塚記念に出馬し、
そしてぶっつけで凱旋門賞、そして大惨敗。を繰り返すのだ。

凱旋門賞に本当の絶好調で挑みたいのであれば、
やはり前哨戦に使うのは最低限必要だろう。
そのためには、まず宝塚記念に使うことから改めなくてはいけないかもしれない。
宝塚記念を回避するだけで、
凱旋門賞の前哨戦であるフォア賞を使うことができるようになる。
また、天皇賞が終った時点で遠征すれば、
フォア賞以外の選択肢も得られるようになるのだ。
こうすれば外国の馬場に適応するためにも、
また休み明けで挑むという無謀からも回避することができる。

世界最高峰のG1に挑むからには、陣営にもそれなりの覚悟が求められる。
国内のG1程度に固執しているうちは、
まだその覚悟が十分とは言えないのではないだろうか。
毎回繰り返す、凱旋門賞遠征の失敗を見るたびに、
こんなことを思うのである。


第3回オーシャンステークスの発走について

第3回オーシャンステークス。
「1番人気のサンアディユが出走してきて、ゲートを出ずに最下位負けしたレース」
と言った方が通りがいいだろうか。

この疑惑のスタート、なぜこのスタートを切らせて、「公正なスタート」
と断言できるのか、私には全く不明でならない。
レース前、ゲート関係者のあいだで混乱が生じ、
後ろのゲート関係者は「馬を出す」と発言。
これで、一旦馬がゲートの外に出される(ゲートの入れなおし)
だと思った騎手がおり、スムーズにスタートが切れなかった馬もいたようである。

ましてや、サンアディユに至っては、結局ゲートが整わずにスタートが切られ、
大きく出遅れてしまったのである。
これは、完全にスタート地点での混乱と合わせて考えれば、
「カンパイ」(スタートのやり直し)のパターンではなかっただろうか。
「公正なスタートでない」と係員が判断した場合は、レース自体をやり直す制度があるのだ。
今回はゲート担当者のあいだで混乱があり、
なおかつ実際に大きく出遅れてしまった馬がいる。
と言う状況。なぜ発走のやり直し、「カンパイ」の制度が適用されないのか、理解に苦しむ。

もはやこのカンパイのシステム、すでに形骸化してしまっていると考えていいのだろうか。
明らかなゲート故障でもない限りは、作用しないシステムなのだろうか。

少なくても、レース前にこれだけの混乱があったレースなのだから、
今回はこのシステム、発動するべきではなかったか。
事実レース後にはJRAからスタートに混乱があったことを認めているのだから。
スタートが混乱したら公正ではないわけで、そのためにカンパイのシステムがあるのだ。
なぜ今回、このシステムが有効に働かなかったのか、甚だ不思議に感じる次第だ。

(尚、私の予想ではサンアディユは▲の印で、サンアディユが優勝したとしても馬券に影響しないため、
単に私憤から物を言っているのではないことは断言しておく)


春の中山の馬場について

この問題、かつて中山が8開催連続で競馬を行った年から続いているのだが、
あまり問題にしている人が少ないようである。
私にはそれが不思議でならない。

春の中山、どんなことになっているかご存知だろうか?
3月、4月が中山開催なのだが、4月の最終週に向けて、
どんどんタイムが早くなっていく現象が起こるのである。
もちろん、暖かくなって、馬場がよくなっていくというのはあり得る。
だが、それ以上に「バーク材」の使用も影響しているのである。
このバーク材をしいた年、いきなり「1分58秒0」の、
もはやこの時期の3歳馬に走らせたタイムとは思えない時計がはじき出された。

馬場が早くなるのは結構ではないか。
と言う反問もあるかもしれないが、しかし、それが
「ファンに知らされていないものであったら」
どうであろうか?
私が今ここでバーク材について言わなかったら、
おそらく中山がなぜこんな高速決着になっているか、理由がつかめない人も多いのではないだろうか。
このように、ファンに知らされず、
それでいて、馬場のタイムが1秒2秒変わってしまうような変更がなされれるのには、怒りすら覚える。

「タイムの早い馬場にするべきではない」
と言ってるのでは無い。
「ファンに知らせずに勝手に馬場を変えるべきではない」
と申し上げたいのだ。
かつて、東京のダートコースの砂厚を7cmから8cmに変え、
タイムが1〜2秒ほど遅くなった時も、JRAは宣伝を大して行わなかった。
(馬場情報のコンテンツで、今週は馬場は何コースで、と言うのをやっているところで少々言ったのみ)
1〜2秒、タイムが変わると言うのは、競馬予想をする上では大事である。
その、大事なファクターである馬場への情報が、たったこれだけれいいのだろうか。
その結果、プロまでも幻惑され、馬場が変わったにも関わらず、
翌年のJCダートの予想勝ちタイムで2分07秒台を上げる、
まったく馬場を知らないとしか思えないような意見まで出た始末であった。

ましてや、今の中山の馬場は、「荒れてくるほどタイムが早くなる」
と言う、まったく不可思議極まりない馬場なのである。
こんな特殊な馬場に調整する必要が、果たしてあるのだろうか?
確かに、荒れてぼこぼこした馬場でレースを行うより、
現状のバーク材使用馬場の方が、故障も減ってはいるようではある。

ただ、それにても、馬場があまりにも早くなるため、
今年の皐月賞のように、「平均ペースに見えて、実はスローペース」
と言う馬場になってしまい、ファンどころか、騎手までだまされてしまっている状態である。

馬券を検討する上で必要な要素の宣伝がこれだけであることに不満を感じると共に、
「荒れてくるたびに早くなる」と言う馬場が、公平な競馬を行う上で適した馬場なのか、
非常に疑問を感じる、毎年の春の中山開催である。


ディープインパクトの凱旋門賞敗戦を受けて

今年は海外遠征が盛んに行われた年である。
その中でも、最大の関心を集めたのは、やはり、ディープインパクトの、凱旋門賞挑戦だったろう。
しかし、結果はご存知の通りの敗戦。これには、どういった要因が考えられるだろうか。

最大の問題点は、やはり「馬場」ではなかっただろうか。
日本は世界でももっともタイムの早い、超高速馬場。
対して、欧州は、芝が深く、地盤もやわらかい、日本とは全く異なる馬場なのである。
今まで、名馬が挑戦しては、破れないでいる、凱旋門賞の壁は、
そのほとんどは、名馬に破られているより、馬場に破られているように感じる。
タイムこそ、2分26秒台の早いタイムの決着になったが、
それでも、馬場はタフだったと、私は思う。
特にディープインパクトはサンデーサイレンス産駒。
日本でも、開幕週でなければ全能力を発揮できない種牡馬の産駒である。
さらに言えば、中山の荒れ馬場で、力を発揮できない面を見せているだけに、
欧州の馬場が、極端に応えたように思われる。
まず第一に、馬場を選ばず、「ディープインパクトなら大丈夫だろう」と言う、
客観性に欠く理論から、全く適していない条件に遠征させてしまったように思えてならない。

そして、その馬場の点と関わることでもあるのだが、
「ローテーション」についても、もう少し、工夫の余地があるのではないだろうか。
ハーツクライの場合もそうだったが、いきなりぶっつけで海外の競馬場でのG1に出走。
これでは、いくら名馬でも、全能力を発揮できない可能性は、否定できないだろう。
特に、「日本の超高速決着」に慣れてしまっている「日本の名馬」については、
これは特に大きな減点材料になっているのではないか。
フランスのある専門家は、「凱旋門賞にぶっつけで挑むなどあり得ない」とまで、断言している。
フランスの記者としては、自国最大のG1を、侮辱されているようにすら思ったのではないだろうか。
そして事実、ディープインパクトはほとんど、能力を出し切ることができなかった。

結果、休み明け、しかも初の馬場(しかも日本とは全く異なる)初の競馬場。
と言う、最悪に近い条件でレースをされられたディープインパクトは、それに完全に戸惑っていた。
レース中、向こう正面で、かなり脚を高く上げる走法で走っていて、
これを見たとき、私は惨敗を確信したものである。
(結果的に3着に走っているのは、もうこれは能力が群を抜いて高かったため、としか言いようがない)
まったく馬場に合わない走り方であった。
かつて、「ディープインパクトの海外遠征について」でも述べたように、
血統面で考えれば、どこの国の競馬が合うか、なんとなくの指針は見えてくる。
そのあたりも考えて、今後は海外に遠征するのでも、その馬に合ったレースを選択するべきだと思う。
やみくもに、凱旋門賞!と言うのは、あまり、いい傾向ではないと思う。
また、どうしてもその馬に不向きと思われる競馬場でレースをしなければならないのであれば、
十分にその競馬場で競馬をさせ、慣れさせた上で本番に挑む。
資金的にも、人的資源的にも、人間としては極めて困難な遠征になるだろうが、
それくらいの覚悟がなければ、海外で実績を残すのは、今後も苦しいと思う。

この敗戦を糧に、さらに海外遠征の技術が高まってくることを祈る。
そして、それ以上にやみくもに遠征するのではなく、ローテーションや馬場状態、コースなどを検討の上、
十分な準備を持って、挑まなければならないと思う。
意識の面で、あまりにも、「勝てる」と思い込みすぎていたのではないだろうか。
ましてや、ローテーションにも、レース選抜にも遠征前の洞察を欠いていたのでは無かったか。
元来、海外遠征はそう簡単なものではない。
それを、再認識させてくれたのが、ディープインパクトの凱旋門賞ではなかったか。
これを、教訓にしなければ、これだけの馬を「負けさせてしまった」ことに申し訳が立たないと、強く思う。

海外遠征で、結果を出せる時代が、この敗戦によって、少しでも近くなってくれることを願ってやまない。


宝塚記念のレベルが上がらない点について

最初に断ってしまうと、私自身、宝塚記念のレベルを上げる有効な処方箋を持ち合わせていない。
しかし、現状を変えて行こうとする努力がなければ、
今後、更なるレベルの低下が懸念されるG1。それが宝塚記念ではないだろうか。

宝塚記念。今年はディープインパクトが出走すると言うこともあってか、
出走メンバーが例年以上にそろわない。結局13頭立てのレースになってしまった。
それ以上に悲しいのは、ファン投票10位までの馬のうち出走したのはわずかに3頭。
すでに、ファン投票は形骸化して、意味のないものとなってしまっている。
そろそろ、ファン投票は廃止にして、新しいレースとして蘇らなければならない時期が来ているように思う。

ではなぜ、宝塚記念が盛り上がらないのだろうか。
一番言えることとしては、競馬関係者の中で、ランクの低いレースと言う意識があるためではないか。
2000m級の馬にとって、「春の目標は宝塚記念です」と言えるレースとなっていない。
それが問題だろう。
今年は特にその傾向が強く、エプソムカップの勝ち馬も、目黒記念の勝ち馬も、
金鯱賞の勝ち馬も本番である、宝塚記念には出走せず、
「大目標は秋の天皇賞です」と言ってしまっている有様である。
天皇賞を目標とするのは一向に構わない。
だが、それ以前に、目の前にG1レースがあるにも関わらず、それに出走しないと言う、
その意識こそが問題であろう。

秋を目標にするのはいい。だが、宝塚記念から、秋の天皇賞まではまだ4ヶ月あるのだ。
有馬記念から春の天皇賞までも4ヶ月ほどだが、そちらにはきっちり出走できて、
宝塚記念には出走できないと言うのはいかにもおかしい。
賞金的にも、秋の天皇賞と宝塚記念は、同等の賞金を出している。
もはや、これが盛り上がらない最大の理由は、関係者の意識の問題なのではないだろうか。
春の古馬中距離G1はこれしかないわけで、本来その役割は大きいはずだ。
なんとか、関係者には、宝塚記念を「自分たちで」盛り上げる努力をして欲しいのだ。
難しいことは必要ない。重賞級の馬をこぞって登録して出走させてくれればいい。
多少、人気にならなくても、5着に入れば1000万は入るのだ。
5着を狙える馬だったら、今年もたくさんいたはずである。
勝てないから狙わない。ではなくて、入着でも出走させたい。
そんな意識を持って、G1を、自分たちの手で盛り上げて欲しいと思う。

それに対して、JRAの番組を作って行く側でも、どうせ3歳馬は出走しないのだから、
開催の時期をもう少し早めたり、距離をあと200m短縮して、
威厳あるチャンピオンディスタンスの2000mに改変すること、
さらに、海外のG1とも連結して、海外馬にももっと出走の機会を与えるなどの機会を作る。
など、細かい配慮を行い、少しでも参加馬を増やせるよう、努力して欲しい。

しかし、それ以上に、調教師、オーナーの意識改革を徹底し、
春の目標を宝塚記念に設定していくように、自分たちで盛り上げていけるように、
威厳あるG1を自分たちでも作って行く姿勢が、大事なのではないだろうか。


ディープインパクトの海外遠征について

2006年は、海外遠征ラッシュの年になりそうである。
まず3月のドバイにしても、9頭がエントリー。好勝負が期待される。
彼らは、挑戦者の立場だから、全力を尽くせば、負けても価値ある挑戦だろうが、
1頭、今の日本には、海外遠征といえど、負けられない馬がいる。
そう、ディープインパクトだ。
ディープインパクトには、この秋、凱旋門賞への遠征プランがある。
とある競馬雑誌で、ディープインパクトの海外遠征はどこがいいか?
と言う投票があって、1位が凱旋門賞だったようにファンもそれを望んでいるし、
それ以上に、ディープによって、凱旋門賞を取れると確信しているファンもいると思う。
しかし、それはあまりに楽観に過ぎる考え方なのではないだろうか。
たしかに、ディープインパクトの能力は超1流であるし、
海外の最強クラスと比較しても、遜色のない能力を持っているのは間違いない。
しかし、ディープインパクトの弱点を考えれば、
凱旋門賞はディープに必ずしも向いた舞台とは言えないのではないだろうか。

ディープインパクトの弱点。それは、パワーが無く、荒れた馬場や坂に弱い。という点である。
有馬記念の2着は、まさにその弱点を付かれた結果の敗北であった。
有馬記念だけではない。弥生賞にしても、坂の手前では伸び足を見せるものの、
坂を迎えて急に伸びが甘くなったように、中山の急坂を克服するのに、難儀をしているのである。
中山程度の坂で伸びてこられないような馬が、
海外の、凱旋門賞のような、アップダウンが激しく、パワーが要求される舞台で、
本当に全能力が発揮できるだろうか。個人的には、否と見る。
少なくても、全能力は発揮できずに、好走どまりがいいところではないかと思うのである。

では、ディープは海外遠征をしてはいけないのか。そうは思わない。
あくまで、パワーの要求させる馬場に使うことに疑問を感じるだけで、
海外遠征自体は、これだけの馬なのだから是非やってほしいと思う。
では、どうすればいいのか。
答えのひとつとしては、パワーの要求される欧州のレースに参加するのではなく、
スピード決着が多く、また直線に坂の無いアメリカに向かうというのはどうだろうか。
アメリカにも、凱旋門賞と肩を並べるような大レース、ブリーダーズカップターフがある。
あのレースなら、芝の2400m。直線も坂は無く、勝ちタイムも早く、
パワーやスタミナよりは、スピードが要求される舞台なのも良い。
欠点としては、登録料として、数千万円の登録料を払わなければならないこと、
日本からはかなり遠い遠征になって、輸送で馬にかかる負担が大きくなってしまうこともある。
だが、デメリットは、欧州のレースに登録しても必ずあるのだから、
少なくても、レース自体にデメリットの無い、アメリカを選ぶことが、
ディープインパクトを勝たせるという意味では、凱旋門賞しか考えないことより、
はるかに勝利へ近づけると思う。
不向きな欧州への遠征は回避し、アメリカに遠征するべきだと、個人的には思う。


条件戦の出走条件の変化について

今年度の競馬番組の改正によって、条件戦は、ほぼ、勝った馬は上の条件に上がることに変わる。
主催者側は、「ファンにわかりやすく」と言っているが、
正直、条件馬の格が上がるかどうかまで、ファンは気にしないし、
なにより今までの馬券戦術が通用しなくなる可能性が高い。
それではむしろ、デメリットの方が多いのではないかと思う。

デメリットと言うのは、下級条件から、すぐに上の条件に上がれることになってしまうと、
下の条件で能力をつけた上で、何勝かの後に上がるまでに力を付けらるはずである。
しかし、ひとつ勝って上の条件に上がるとしたら、
力を付けきっていない状態で上がることになってしまわないか。
そうなれば、1000万に、500万にいるべき馬がいる。
1600万に、1000万にいるべき馬がいる。という事態になりはしないか。
そうなれば、「ファンのために」と言っておきながら、
事実上はレースのレベルを下げることになるのではないかと懸念される。

さらに、馬主側にもデメリットはある。
今までは条件戦で6、7勝しなければ、オープンまでは上がらなかったために、
勝ち負けを繰り返すうちに、賞金をたくさんもらえることができた。
しかし、すぐに上の条件に上がるようになってしまっては、
ひとつ勝ってしまったがために、上の条件ではまったく歯が立たず、
結果としてそれ以降賞金を得ることができなくなってしまう。
と言うことも考えられる。そうなれば、馬主の獲得賞金は減り、
ひいては馬主減少の遠因となり、最終的には競走馬の減少、
そして、競馬のレベル自体の低下。と言った事態が起こりはしないか。
そうなれば、結局は被害を受けるのは、日本の競馬を応援しているファンではないか。

もうひとつ、もっとも重要だと思われるのが、馬券作戦が使えなくなる可能性が高いことである。
ファンは、条件馬の格がひとつ上がることについて、一喜一憂などしない。
むしろ、今回の改正によって、
今までの馬券戦術が使えなくなることに対する憂いがはるかに大きいのではないか。
たとえば、1000万条件では、圧倒的に過去に1000万勝ちの経験のある馬が強い。
それを見つけて軸馬にすれば、高確率で予想を的中させることができた。
しかし、今度の改正ではひとつ勝った馬は即上の条件に行ってしまうため、
1000万を勝った馬はすぐに1600万に入ってしまい、この馬券戦術は使えなくなってしまう。
他にも、1000万、1600万の質が変わってくるであろう事から、
これまでの馬券戦術は使えなくなる可能性が生じるのである。

これらのように、条件を変えることによってのデメリットは大きい。
確かに、500万の除外ラッシュは問題であったし、今回の改正で多少は改善されるだろう。
しかし、それで喜ぶのは調教師や馬主側である。
ファンにとっては、条件馬が除外になろうがなるまいが、たいした痛痒は感じない。
今回の改正は、本当に「ファンのため」の改正なのだろうか。
条件戦を勝てば上の条件に上がれてわかりやすい。
それだけのためにファンは条件を変えることを望むだろうか。

今回の改正は、まったくファンの声が通らない状態で改正されたものだと思う。
今後、こういった馬券にかかわるような重要な改正は、
ファンに是非を問うなど、もっとファンの声を重視して決めていただきたい。
いつの間にか決められてしまった重要な改正に、はなはだ疑問を持つのである。


クロフネ産駒のダート適性について


大種牡馬、サンデーサイレンス亡き今、ポストサンデーは誰になるのか、注目の集まるところだが、
ここに来てのクロフネ産駒の躍進が目立つ。
フサイチリシャールの朝日杯制覇をはじめとする産駒の活躍は目覚しい。
しかし、何よりの活躍の源は、そのダート適性の高さではないだろうか。
本日、1月28日の中山競馬においても、産駒2頭がダート競馬で勝ちあがっている。
さらに、先日、フラムドパシオン号は、中山のダート1800mで大差を付ける圧勝、
このように、ダート適性の高さはすさまじい。
クロフネ自身、芝ではいまひとつ切れ味が鈍い印象があったが、ダートで大きく変わった。
驚いたことに、産駒にも、まったく同じ現象が現れているのである。
また、クロフネのストライドの大きい走法も産駒によく現れている。
ここまで、自身の現役時代と似通った産駒を次々に輩出できると言うことは、
クロフネ自身の種牡馬としての遺伝力の高さを示すものではないだろうか。
ここまで、産駒に直接的に影響を与える種牡馬は、サンデーサイレンス以来とすら思えるのである。

ダート界では、ミスタープロスペクター系が覇権を競っているが、
本当の意味での王者は、もっと底力に長ける血統から生まれるのかも知れない。
そういった意味でも、クロフネにかける期待は大である。
クロフネは、ノーザンダンサー系の末裔という血統構成であるが、
それももはやクロフネ産駒にとっては5代も前の話。
牝系にも異系が入り、活力の点でも申し分ない。
どんな牝馬にも付けられると言う意味でも、クロフネの可能性は無限に広がる。
ノーザンダンサー系ではなく、クロフネ系の確立すらあるのではないか。
この冬の活躍を見ていると、そんなことまで想像してしまう。
少し、想像の翼を広げすぎであろうか。