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2006年6月のレース回顧



函館スプリントS回顧

まったくわけのわからない決着となってしまった今年の函館スプリントS。
勝ったのは最低人気の、ビーナスライン。後方からの追い込みである。
3着にも後方に位置していたブルーショットガンが入ったように、
ハイペースにも見えなくもないが、しかし4着には先行のタニノマティーニが粘っており、
ラップ的にも最後別段止まっているわけでもない。
にも関わらず、ビーナスラインの勝ち方は圧巻。本当にわからない。
単なるフロックなのかもしれないが、勝ち方だけを考えれば、
G1でも通用してしまいそうな勝ちかただったと言えなくもない。
この馬、今後どういった競馬をするのか、レースを見ないとわからない状態だ。
今までの成績からすると、1600万を勝っていないのだから、
今回はフロックと考えても問題はないと思うのだが…。勝ち方がそれにしても圧巻だった。
最後、ハイペースでシーイズトウショウが止まっていたのだろうか。
レースを終えても、レース結果が幻だったような気がする函館スプリントSだった。


ラジオNIKKEI賞回顧

福島の重賞は、基本的に荒れる可能性が高い。
直線コースが短く、元々紛れが生じやすい上に、梅雨の時期の開催であること、
それに伴って芝が荒れてしまうことなどから、非常に難しいレースとなることが多い。
今年から条件が変わったこのレースは、なんと3歳限定のハンディキャップ競走となった。
この時期のオープン馬で、ハンデ戦に使おうとするような馬は、
大体が1000万クラスの馬たちであり、
それにハンデで能力差を埋めてしまおうと言うのだら、正直どの馬が勝ってもおかしくないレースとなった。

その中で、今年の優勝馬はタマモサポート。2着がソングオブウインドとなり、
比較的穏当な配当に収まった。
タマモサポートは明らかにハンデに恵まれていた。
同じ1800mのスプリングSで、メイショウサムソン、フサイチリシャール、ドリームパスポートに次ぐ、
4着に走っているにも関わらず、なぜか斤量54キロ。
このの好走は明らかだったろう。5番人気が不思議。
2着ソングオブウインドは500万を勝ったばかりだが、
芝では2戦2連対、負かされた1戦も、相手がソリッドプラチナムであり、
芝ではまだ底を見せていなかった。これを買えなかったのは私のミス。

今年こそ順当に収まったものの、先に書いた条件が変わるはずもなく、
今後はさらに荒れる重賞に収まる可能性が極めて高いように感じた。


宝塚記念回顧

今年はディープインパクトの壮行試合的な感のあった宝塚記念だった。
メンバー的に、リンカーンがやや抜けている程度で、あとは小粒。
結果的にみれば、そのリンカーンも潰れてしまい、ディープの強さだけのレースだった。
しかし、そのディープも、道悪馬場では、ちぎって勝ったり、好タイムで勝ったりは難しく、
全体として、あまり面白みのあるレースでもなかった。
ただ、ディープが走って、勝ったのみ。

レースは縦長の展開。重馬場と相まって、ペース判断が難しいレースだった。
その中でもディープインパクトはただ、自分の走りをするだけであった。
後方に控えて800mから進出。4角でひとまくりにする、いつもの競馬だった。
思えば、タイキシャトルの安田記念もひどい不良馬場。
タイキシャトルはその後欧州で最高の結果を出したが、ディープインパクトはどうなるだろう。

負けた組では、特に抵抗らしい抵抗も見られなかった。負けてなお光る馬がいない。
人気のリンカーンは重馬場でやられてしまったことが影響した。
壮行戦のレースであったと共に、道悪もかなり印象に残るレースだった。
この時期の開催、梅雨時ということで、難しいものがあるようである。

レースレベルは、ディープインパクトが出走したためか、
本賞金が半分に計算されるようになったことによって、
準有力どころの出走が例年ほどではなかったためか、レベル的に低調だった。
出走馬の頭数も少なく、大変残念。ヴィクトリアマイルの勝ち馬も、
目黒記念も、金鯱賞も、エプソムカップの勝ち馬もいなかった。
もう少し、積極的にG1を狙う姿勢を見せて欲しかったのと、
宝塚記念の地位向上を願いたくなる、宝塚記念だった。


マーメイドS回顧

今年から、ヴィクトリアマイルという牝馬限定のG1レースが新設され、
それに伴って、シーズン末期のこのレースは目標とされるレースから、
秋を見据える馬や、上がり馬のための、ハンディキャップレースとして生まれ変わった。

昨年までの別定戦時には、実力馬がそのままここでも通用するケースが多かったが、
今年はハンデ差もあってか、軽い斤量の馬が好走する結果となった。
勝ったのはソリッドプラチナム。3歳馬ということで、49キロの斤量だったこともあって、
古馬の実績馬を完封する結果となった。
前走でも牡馬のエムエスワールドと好勝負しており、この斤量なら走破圏だったという事か。
かつてエガオヲミセテも、ここを好走して、秋華賞で連対している。この馬も今後要注意。
3歳のこの時期、なかなか古馬に混じって優勝できる馬はおらず、今後が大いに楽しみ。
2着に、1600万を勝ちきれていないサンレイジャスパーが入るなど、
層は薄かった印象だが、それでも、古馬を重賞で破ったという結果を重視したい。

本命ヤマニンシュクルはどうしたのか馬群に沈んでしまった。
道中かかっていただけに、4角ですでに走る気が残っていなかったか。

レースレベル自体は、去年までと条件が変わってしまったため、
去年までからだいぶ落ちてしまった印象だが、これは仕方ない。
G1の新設など、番組再編上やむを得ないと思われる。
去年までとは別のレースとして、今後は楽しんでいきたい。


CBC賞回顧

昨年までは暮れのG2として行われていた重賞だが、
今年は短距離路線の整備に伴い、G3に格下げとなり、またハンデ戦と変化した。
短距離のハンディキャップ重賞はそれほど数がないだけに、貴重な存在となれる可能性を秘めている。

勝ったのはシーイズトウショウ。牝馬ながら57キロを背負ったため、
人気を落とす格好になったが、中京の1200mでは実績も持ちタイムも格が違う。当然の完勝だった。
なぜ人気がここまで落ちたのか個人的には全く不明。8.1倍はおいしい配当だった。
今後はスプリンターズSを目標にレースに使い込まれるのだろうが、
中京以外のコースで、どこまで走れるだろうか。
中京ほどではないにしても上位には食い込める余地はある。
かつてスプリント界を沸かせた、エイシンバーリンと言う馬に似たタイプに見える。
来年はさすがに繁殖に上がるだろうから、今年一杯、タフに走り続けて欲しい。

2着はオープン特別まで4連勝してきていたワイルドシャウト。
ややハンディが重いと判断したが、中京のオープン特別勝ちは伊達ではなかった。
レース体系がこのまま以降してくれれば、
来年以降もTV愛知オープンは有力なステップレースになるかもしれない。

レースレベルはハンデのG3とすれば、メンバーが集まった方だと思う。
夏場の別定のG3路線が整備されたが、そこに行っても、今回の上位馬は有力となれる。


エプソムカップ回顧

雨の影響が心配された今年のエプソムカップ。
圧倒的1番人気はマチカネキララだったが、これは相手関係が楽で推されたもので、
G3としてはそれほどメンバーに恵まれたわけでもなかった。
それに加えて重の馬場状態。波乱も予感された。

勝ったのはトップガンジョー。もともと、スプリングSで好走したように、
1800mには強い馬だった。それに加えて、今日の馬場状態も、有力馬も堪えるだけに、
(この馬も足で走る以上、滑っているだろうが)有利に働いたか。
昨年の秋には、1600万でインセンティブガイを破っているだけに、
4歳馬。そこからの成長を上乗せできれば、重賞でもやれるというのもうなずける。
ただし、この馬、その1600万戦以降、大してメンバーが集まっていないレースで、
ここまで3連敗しており、57キロの斤量も背負った今回は狙いづらかった。
今回の1戦では、馬場状態で勝ったのか、成長で勝ったのかを判断するのは難しい。
個人的には、かなり馬場状態に助けられた部分もあると見るが、どうだろうか。

レースレベルはエプソムカップとしては平均だろうが、
今後の宝塚記念や天皇賞などを展望できるレベルでは無かった。並みのG3。

本命マチカネキララは相対的に1番強いと見たが、
それほど抜けた能力も持っておらず、馬場状態の悪化など、
平常と少し条件が変われば負けてしまうのもわかる。
陣営は強気に天皇賞を目標としているようだが、天皇賞を展望できるほどの馬ではないと思う。


安田記念回顧

昨年出走したメンバーが11頭出走してきた安田記念。
その昨年が大混戦だったのだから、メンバーが変わらない以上、今年も混戦が続いた。
1番人気にしてから、ころころ変わる不安定なオッズ、
最終的にはオレハマッテルゼが1番人気だったが、そのオッズも5倍を超える大混戦であった。
その混戦を断ったのは、香港馬ブリッシュラックだった。
昨年、この舞台で4着に敗れた馬だが、セン馬らしくタフに走り続け、7歳の優勝となった。
正直、馬場不慣れな海外馬に勝たれるときは、国内のレベルが低い時が多いが、今回はまさにその形。
勝ったブリッシュラック自体、そんなに大きな変わり身を7歳馬に求めるのは酷であって、
実は去年と同等の能力を持っての参戦だったろうが、
それでもこれだけの大混戦で、実にスムーズにレースを運べた結果がこれだったろう。
2着にも昨年優勝のアサクサデンエンが入ったように、
上位は去年と実はたいして変わらない、再戦ムードのレースだったか。

正直、こうごろごろと6歳馬7歳馬が上位に入線されてしまうと、
今後を考えるとやや憂鬱になってしまう。
特に1、3着は海外馬。今後の展望を開くのは難しい。
なんとか、混沌の短距離界に、一頭、筋の通った馬が現れてくれることを願って止まない。
抜けた馬がいないのと、こう何年も同じ馬だけが毎度人気になるレースは、
面白みとしては欠ける気がする。そろそろ、新時代の名馬の誕生が待たれる。

それでも、レースレベルは混戦というだけで、低レベルの混戦というわけでもなさそう。
抜けた、「超G1級」が不在と言うことだろう。レースレベルは普通だ。

本命のハットトリックは、直線で前が壁になってしまった。
狭いところを果敢についた好判断だったと思うが、結果がついてこなかった。
はさまれた後は戦意喪失してしまっており、本当の実力は出し切っていない。今後巻き返す。


ユニコーンS回顧

中央のダート重賞はここから始まるが、今年は比較的メンバーに抜けた馬がおらず、
混戦の感があったユニコーンS。勝ったのはナイキアースワークだった。
この馬は、前走で500万を勝ったばかりであるが、この時期はオープンの壁はそれほどなく、
500万勝ちで即重賞でも好勝負できる馬もいる。
特にこの馬の場合は、前走の勝ち方が非常によく、成長が感じられた。
そして、今回重賞になっても、前走とほぼ同じような着差をつけて完勝した。
現時点では、フラムドパシオンに2秒以上負けていたフィールドオアシスに1秒差程度だから、
本当のG1級ではないだろうが、今後の成長しだいでは、
ブライアンズタイム産駒。大きなところも狙える存在になるか。

そう考えると、フラムドパシオンの故障は本当に悔やまれる。
屈腱炎。治る確率は低く、最悪このまま引退もありえる。
この馬が出走していれば、レースレベルも大きく変わり、
3歳路線どころか、古馬戦線でも活躍できたと思うと無念でならない。

現時点でのベストメンバーで行われたユニコーンSは、それなりの決着だった。
例年、強い馬が1頭くらいは現れるレースだが、今年はそこまででもない気がする。
まだ3歳だけに、今後の成長に期待だが、現時点のレースレベルは低かったと思う。

本命アエローザは、砂をかぶって走る気を失った部分が大きい。
本当のダート巧者なら、それも跳ね除けるだろうが、そこまでの存在ではなかった。
現時点では、芝の中距離型なのだろう。