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2006年9月のレース回顧



セントウルS回顧

サマースプリントシリーズ最終戦は、G2に格上げになったセントウルSだった。
ここまで10ポイントを獲得していたシーイズトウショウだが、詰めの甘さも見せていた。
今回は得意の中京競馬場に変わって、どこまでやれるか。
と言うムードだったが、終わってみれば、シーイズトウショウの強さだけが目立つレースだった。
道中は先行集団につけ、直線余裕を持って追い出し、最後は完勝。
CBC賞の時のような、完勝劇だった。
衰えもあるように思わせたここ2戦だったが、得意の舞台ならまだまだやれる。
これで案外、「中京だけの馬」を思われるようだったら、
次のスプリンターズSで、絶好の狙いどころになるかもしれない。

2着はテイクオーバーターゲット。今のスプリント路線はレベルが低く、
海外馬にも十分好走のチャンスがあった。次走はスプリンターズSだが、
今回一度叩かれて、日本の馬場に適応してくる可能性がある。
そうなれば、イギリスのG1を勝っている馬だけに、あるいはスプリンターズSの中心は、この馬かもしれない。
坂のあるコースは向いているだろうし、底力に注目だ。

3着にネイティヴハート。相変わらずの、ベテラン健在振りである。
年齢から、衰えていなければむしろ不思議なのだが、恐ろしい持続力である。

レースレベルは、ここ最近の低レベルな短距離路線であることを考えれば、
上位3頭くらいはそれなりの競馬をしているように見えた。
特に、上位2頭は、次のG1でも、すぐに勝ち負けに持ち込める逸材。
海外からの遠征組みとの対戦が楽しみである。


京成杯オータムハンデ回顧

なぜか全く人気がなかったステキシンスケクンだったが、アーリントンカップで、
後のNHKマイルカップを優勝したロジックを完封している馬で、
人気が無かったのが不思議な馬である。
今回は開幕週ということもあって、前が止まらない馬場であることにも助けられての優勝だった。
だが、ここ3走は、皐月賞は明らかに距離が長く、
NHKマイルカップは引っかかり、アイビスサマーダッシュは直線競馬が向かなかった。
適条件に戻った今回で、能力が明らかになるところだったが、見事の逃げ切り。
今の時点で古馬を倒せているわけだから、今後に魅力を感じる。
気性面で幼いが、スピード能力だけなら一級品。
成長しだいで、さらに大きいところも狙える逸材だ。

2着にはカンファーベスト。7歳と言う年齢から、能力が上がっての好走ではないが、
マイルの舞台が実は合っていたということなのだろう。
上積みが無い分、1着馬ほど強調はしづらいが、人気が無いようなら、
大きいところでも印を回すかもしれない。

本命インセンティブガイの凡走は正直残念。
気性的に引っかかる気性で、スローペースだと自爆してしまう馬のようだ。
むしろ、G1の早い流れで折り合う可能性はある。いかにもこの秋ダークホース的な存在。

レースレベルはむしろ、このレースとしては高かったように思う。
特に勝ったステキシンスケクンの今後が楽しみになった1戦だった。
負けた馬にも、まだ見限れないだけの魅力を持った馬が、数頭いた。


朝日チャレンジカップ回顧

競馬場で見ていたレースだが、正直、なぜトリリオンカットが勝ったのか、釈然としない。
道中の位置取りと、直線、切れ味に欠くコンゴウリキシオーに上手く併せる形になったことによって、
能力以上の競馬ができたと言うことだろう。鞍上和田騎手の好騎乗だった。

正直、レース前から重賞としてはレベルに問題点があると思われたが、
まさに、この結果を受けると、それは正しかったと思わざるを得ない。
例年このレースに使ってくるようなレベルの馬が、「サマー2000シリーズ」
に回ってしまい、レベルが低下してしまった印象だ。
残念なことに、宝塚記念でも、レベル的にやや劣る馬は、
サマーシリーズに回ってしまって、出走頭数が少なくなるなど、
サマーシリーズは、弊害もあるシリーズとなったようである。

2着はコンゴウリキシオー。ノーマークだった金鯱賞でこそ圧巻の逃げ切りだったが、
後続にマークされる形だと、切れ味に欠いてしまうため、
ばてないから大負けこそしないものの、2、3着が精一杯のようである。
G1でも好走する持久力はあるが、切れ味を欠くのが致命的。
どろどろの不良馬場になるようなら、天皇賞でも面白いかもしれない。

レースレベルは低かった。オープン特別と、それほど大差ないレベル。


新潟2歳S回顧

小倉は新種牡馬、アドマイヤコジーンの産駒が勝ったわけだが、
こちら新潟も、新種牡馬、タニノギムレット産駒、ゴールドアグリが重賞を制覇した。
小倉と違い、こちらは1600m。
ただし、今度はあまりに長い直線、さらに、内外の馬場差が激しいレースとなり、
外を回した馬、そして、最後の瞬発力に長けた馬が有利になるレースのようである。

優勝したゴールドアグリも、最後の直線は、外に持ち出し、
同じく差してくるマイネルーチェと馬体をあわせる格好で、見事末脚勝負を制した。
初戦でも、最後は33秒4の脚を使って、大物感を覗かせていたこの馬だが、
重賞の舞台でも、その末脚を使いきった。
まだ、G1路線でどうこうと言うレベルでは無いと思うが、まだこの時期の2歳。
これからいくらでも成長できる。勝ったことで、とりあえず将来を期待できる位置には来た。
2着には、勝ち馬と併せる格好になった、マイネルーチェ。
展開的に、上手くはまった感もあるが、勝ち馬と遜色なく走れているのだから、
それなりの能力はある。
岡田軍団の2歳馬調教と、スペシャルウィーク産駒の早熟性によっての2着だったか。
3着は本命を打ったマイネルレーニア。人気を背負って逃げる形で、展開的に不利だったし、
大外に出したところ、内を(と表現するのも不思議だが)すくわれる格好になった。
まだ、見直しが利く1頭だろう。

こちらも2歳戦で難解なレースだったが、上位は仕上がりの早そうな血統の馬がそろった。
1着、ゴールドアグリの父、タニノギムレットの今後にも注目。
東西で、新種牡馬の産駒が重賞を勝ち、今後血統地図がどう塗り替えられるのか、
大いに楽しみになってきた2歳重賞であった。


小倉2歳S回顧

見るからにハイペースだった今年の小倉2歳S。
もう、ラップを見る必要もなく、馬の脚の動きだけを見ていても、
明らかな猛ラップだったことはっきりしているレースだった。
しかし、そんな中、最後突き抜けたのは、なんと逃げたアストンマーチャンだった。

この事実だけ見ると、アストンマーチャンがとてつもない実力馬に見えてくるが、
実は底なしの強さがあるというわけでもなさそう。
このハイラップで飛ばしたのだから当然だが、最後はこの馬自身の脚も止まってしまっている。
ただ、後続を走る馬たちも、まだ馬が完成していない時点で、
これだけのスピードで走らされた結果、なし崩しに脚を使わされ、
最後伸びてくる馬がいなかっただけ。と言う印象が強いレースだった。

ただ、だからアストンマーチャンが弱いと言うつもりでは全く無く、
現時点でのスピード能力が一枚上手であることは、間違いない事実だろう。
血統的にもアドマイヤコジーン産駒。いかにも夏の2歳戦に強そうな血統だ。
今後に通じるかは、現時点では不明。

本命ストラテジーは、先行してそのまま伸びることなく終わった。
あれだけのハイペースでは仕方なかったか。

レースとしても、ハイペース過ぎたこともあり、よくわからないレースだった。
今後、伸びてくる馬がいるかは、全く不透明。レース後も難解な1戦だった。