糖尿病関連


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2013年3月22日 糖尿病 糖質制限ダイエットは科学的根拠が不足

日本糖尿病学会は糖尿病患者が減量のためコメ、パンなどの炭水化物の摂取を制限することについては「極端に制限しての減量を図ることは、科学的根拠が不足しており、現時点では勧められない。」と提言している。炭水化物を摂らない食事は「低GI(グリセミック インデックス=糖質の吸収度を示す数値)ダイエット」などと話題になり、糖尿病患者の間にも拡がっているが同学会は極端な栄養の偏りの危険性を指摘している。

このような食事は効果が科学的に証明されていない上、腎機能の低下などの合併症を持つ患者には悪影響があるとしている。



2013年3月1日  糖尿病、運動で死亡リスクほぼ51%減。

厚生労働省研究班が日頃熱心に運動しているU型糖尿病患者は、ほとんど運動していないU型糖尿病患者に比べて、死亡の危険性がほぼ50%減少したとの研究結果を発表した。

調査はU型糖尿病患者男女1,702人(40〜70歳)を8年間追跡調査。仕事や日常生活以外にどんな運動をしているか尋ね、種類や時間から一週間当たりの運動量を推計、比較した。運動量に応じて「多い」、「少ない」、「中程度」の3群に分けて脳卒中の発症、死亡などを比較した。

運動量の「多い」群は時速6kmのウォーキングに換算すると、1日平均1時間10分、水泳では1日30〜40分の運動量、対して「少ない」群は仕事や日常生活の活動以外ほとんど運動していなかった。

結果は運動量が多いグループは少ないグループに対して死亡リスクが51%、脳卒中の発症リスクは45%と低かった。しかし心筋梗塞などについてはこのような傾向は見られなかった。

運動は血糖値やコレステロール値の改善以外に心理的ストレスを軽減している可能性がある。食事に比べて運動指導はあまり実施されていないが大きな効果があることが判明したと言えるのではないか考えられいる。


2012年11月3日 糖尿病により発症する心不全の原因の一つを特定

糖尿病により発症する心不全の原因の一つが「DDP4」という酵素の異常活性であることを、名古屋大大学院医学系研究科のチームがラットを使った実験で明らかにした。
研究チームは糖尿病と心不全を併発したラットと血圧に負荷をかけて心不全にしたラットを用意、特殊な観察法で観察すると、免疫と炎症に関わる酵素「DDP4」が心臓血管にことがわかった。
糖尿病ラットではDDP4の異常活性が確認されたが、心不全だけを発症したラットでは異常活性は確認されなかった。糖尿病ラットに糖尿病治療薬「DDP4阻害剤」を投与して心機能を検査すると、心臓の拡張不全の改善が確認された。

2012年8月31日  糖尿病網膜症の進行を抑制

東北大学大学院の研究グループがマウスの実験で糖尿病網膜症の症状を薬剤で抑制させることに成功した。糖尿病網膜症の症状のひとつである網膜神経節細胞死が起こる際の、遺伝子や細胞を傷害する「酸性ストレス」という活性酸素と、タンパク質を切断する酵素「カルパイン」に注目。糖尿病に近い状態にしたマウスに酸性ストレスとカルパインの働きを抑制する化合物を投与したところ、マウスの細胞の生存率が投与しなかったマウスより高いことがわかった。研究グループは他の動物での実験を重ね、将来的には人の治療薬につながる可能性があるとしている。



2012年8月11日  痩せていても妊娠糖尿病になる。

筑波大学研究チームにより20歳時、痩せている女性は妊娠糖尿病になるリスクが上昇するという研究結果が発表された。痩せていても妊娠糖尿病になりやすいということが検証されたのは初めてである。

妊娠糖尿病は妊娠を契機にインスリンの働きが低下して、分泌量が増えないために血糖値が上昇して起こるものである。妊娠糖尿病になると早産しやすくなったり、胎児が成長しすぎてしまったり、妊娠高血圧症候群を発症する危険性がある。

研究チームによると2008年から2010年にかけて、糖尿病の既往歴がない妊娠初期の女性624名を追跡調査したところ28人が妊娠中期までに妊娠糖尿病を発症した。

調査対象者の20歳時の体重からBMIを算出、分析したところBMI18未満の「痩せている」に該当していたことがわかった。

2011年7月15日 糖尿病に関与のたんぱく質を特定
肥満による糖尿病や動脈硬化の発症に深く関与していると思われるたんぱく質を、東大の研究チームが発表した。このタンパク質の働きを抑制できれば、生活習慣病になりにくくなると思われ、予防する新薬の開発につながると思われる。特定されタンパク質は「AIM」。AIMを体内で作れないようにしたマウスと通常のマウスに3ヵ月間、高カロリーの餌を与えたところ、「AIM」を作れないようにしたマウスは糖尿病を発症しなかった。人でも肥満になると免疫細胞の働きで全身の臓器、器官で慢性的炎症が起こり、生活習慣病になることがわかっている。「AIM」は免疫細胞を活性化するとみている。



2011年3月10日 劇症T型糖尿病を解明
山梨大学医学部が急激に血糖値が上昇し昏睡状態に陥る「劇症T型糖尿病」が、血糖値を調整するインスリンを分泌する膵臓の細胞がウィルスに感染し、発症することを解明した。
劇症T型糖尿病は生活習慣に関係なく発症、のどが渇き数日で体重が激減し、死に至ることもある。国内には1万人の患者がいるとされているが、発症が急のため診断が難しく根本治療法も見つかっていない。
研究チームは劇症T型糖尿病で死亡した3人の膵臓を調査、「エンテロ」というウィルスに感染していることを発見した。さらにエンテロウィルスを攻撃する膵臓の細胞が過剰な免疫反応を起こすことにより、細胞自身を攻撃してしまい膵臓を破壊してしまうことがわかった。
研究チームは「免疫反応を抑制すればいいと考えれば、治療薬の開発の可能性は充分にある」としている。



2011年3月4日 東大研究チームが肥満糖尿病ではインスリンが筋肉に届きにくいために高血糖になる仕組みを解明

肥満になると毛細血管の働きに異常が生じ、インスリンが全身の筋肉に届きにくくなることがわかった。
インスリンが届かないと筋肉が血液からブドウ糖を取り込むことができずに高血糖になり、糖尿病を発症する。食後血糖値が上昇するとインスリンが分泌されて血液を通じて全身に届けられる。筋肉はインスリンが到達したことによりブドウ糖を取り込みエネルギーに変換させるが、インスリンが毛細血管から筋肉に届くメカニズムはわかっていなかった。研究チームはインスリンが到達したことを他の分子に伝える「IRS2」という物質に注目した。「IRS2」を毛細血管に持たないマウスは普通のマウスと比較して筋肉に届くインスリンが1/2程度になっていた。このことはインスリンが到達したことが他の分子に伝わらないため、インスリンを血管の外の筋肉に送り出すメカニズムが働かないためであることが判明した。マウスに脂肪分の多い餌を与え、肥満状態にしたところ「IRS2」が健康なマウスの2割程度しか存在せず。インスリンが血管から筋肉に届きにくくなっていることがわかった。「IRS2」を増加させる薬が開発できれば、生活習慣などによって起こる2型糖尿病の根本治療になりうる可能性がある。



2010年12月7日 糖尿病の原因物質を突き止める。

インスリンの分泌や働きを妨げ、糖尿病の原因となる体内物質を京都大学の研究チームが発見した。この物質を抑制する薬を開発すれば新薬として期待できる。

この体内物質は細胞の核にあるTBP2というたんぱく質で、遺伝子操作によりTBP2を持たないマウスを作ったところ、インスリンの分泌量が約1.5倍に増加し、いくら食べても血糖値が正常にたもたれ、糖尿病を発症することはなかった。一方で遺伝子操作しなかったマウスは3日間絶食させても異常はなかったが、TBP2を持たないマウスは90%が死亡した。このことからTBP2は食物がなくても血糖値が下がりすぎないようにして、生命維持に働いているものと考えられている。

研究チームは「TBP2はかっては生存するためには欠かせない物質だったが、現在のような飽食の時代では、病気の原因なってしまったのだろう。」とコメントしている。



2010年11月6日 肝臓でつくられるホルモンがインスリンの機能低下にかかわりが・・・・

金沢大の研究グループが肝臓でつくられるホルモンがインスリンの機能低下にかかわり糖尿病を引き起こすことを発見した。このホルモンを「ヘパトカイン」と命名した。

糖尿病やメタボリック症候群などの原因として脂肪細胞が知られている。脂肪細胞にはインスリンの効果を低下させる物質が存在している。軽肥満の人たちに生活習慣病が多いため、肝臓にも同様の物質があるのではないかと考え調べたところ、ヘパトカインの一種である「セレノプロティンP」という分泌蛋白が糖尿病患者の血中に通常の1.5倍あることが判明した。マウスにこの「セレノプロティンP」を投与したところインスリンが効かなくなり、血糖値が上昇した。

肝臓が糖尿病にかかわっているメカニズムを解明することは、新しい治療法、新薬の開発に寄与できると思われる。


2010年 9月7日 2型糖尿病 日本人発症リスク1.2倍となる遺伝子を発見

小太り程度でも日本人が欧米人に比べて2型糖尿病の発症しやすくなる遺伝子を、東京大学の研究チームが発見した。
この遺伝子に変異がある場合、発症の危険性は1.2倍になる。

この遺伝子は「UBE2E2」といわれるもので、構成する塩基配列が健康な人と異なると糖尿病が発症する危険性が1.2倍となる。日本人の患者の15%がこのタイプと考えられる。

東洋人は欧米人のように明白な肥満でない場合でも糖尿病を発症する。血糖値を制御するインスリンの分泌量が欧米人の半分であることが知られており、「UBE2E2」はインスリンを分泌する細胞内で働いている。



2010年 8月21日 糖尿病関係のたんぱく質が神経伝達物質と結合して脂肪を調節することが判明。

糖尿病に関係するたんぱく質「PPARγ(ガンマ)」に、神経伝達物質セロトニンが結合すると脂肪蓄積の調節などが進むことがわかった。幅広い治療薬の開発が期待される。

PPARγは脂肪酸と結合して活性化すると、糖の分解することにより体重のコントロール、血糖量を調節するきっかけとなる働きをするが、神経伝達物質のセロトニンと結合しても同じ働きをすることがわかった。


2010年 8月20日 高齢者の血糖コントロールについて。

日本糖尿病学会において血糖コントロール評価はHbA1 6.5%未満が「良」とされているが「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」では、高齢者の血糖値に関して、正常化をはかることが望ましいが難しい場合、HbA1 7%未満を目標とするとしている。理由として高齢者は個人差が大きく、やせや低血糖が若年者よりリスクとなるからである。

2010年 8月20日 糖尿病新治療薬続報

低血糖を防ぐ新治療薬(DPP-4阻害薬)が続々発売されている既に昨年末に万有製薬から「ジャヌビア」が発売され、今年4月にノバルティファーマより「エクア」が、今年前半には武田薬品工業から「ネシーナ」が発売される。それ以外にも6社5品目が目下臨床試験中である。


2010年 8月9日 糖尿病新治療薬

低血糖を起こしにくい糖尿病新治療薬「DPP-4阻害薬」が登場した。この薬は小腸からでるホルモン「インクレチン」に注目したものである。「インクレチン」は膵臓において、インスリンの分泌を促進するが同時に血糖値をあげる作用のある「グルカゴン」の分泌を抑制する。「インクレチン」は分泌後、数分で「DPP-4」という酵素で分解されてしまうこの新薬は「DPP-4」の働きを抑制、「インクレチン」が分解されないように作用し、血中濃度を高める     
「インクレチン」は血糖値が高い時のみ作用するため、従来の薬より低血糖を起こしにくいということになる。   

「DPP-4阻害薬」は2009年12月に登場した。別の薬も近く登場する。これとは別に酵素に分解されにくくしたインクレチンを注射する新薬も登場する予定である。

 


2010年 8月7日   HbA1c採用の糖尿病診断基準を発表
        (2010年5月27日〜29日 第53回日本糖尿病学会年次学術集会)

糖尿病診断基準では、空腹時血糖値、食後血糖値(OGTT値)、随時血糖値をともに診断し、HbA1cは補助的な位置づけであったが、他の3つの値とともに並列して置くこととした。

日本の値(JDS値)は国際的値(NGSP値)より約0.4%低くでることがわかった。予定としては2012年4月からNGSP値を導入するが、JSD値も併記することとする。(NGSP値+0.4%)

NGSP値6.5%(JSD値6.1%)以上を糖尿病の診断基準とした。