NO.2

     マーシャのスタジオにて 05.8.27(M.H撮影)
 マーシャ・ブラウン女史は、アメリカ、カリフォルニア州の南部に
お住まいである。雪の多い東海岸から、気候温暖な西海岸に、
10年ほど前、移ってこられた。
冬は暖かく、夏は涼しいというこの地は、一年中青い空に
まぶしい太陽が輝き、過ごしやすいところである。
 私が訪問した8月末は、夏も終わりというのにめずらしく暑かった。
マーシャは仕事場のエアコンを全開にしていた。いつも思うのだが、
87歳という年齢をまったく感じさせない仕事ぶりである。

 私が部屋に入るやいなや、待ちかまえていたかのように、
買ったばかりのデジタルカメラを持ってきて、これを英語設定に直してほしいという。中国で製造されたというニコンのカメラだ。買った時は
日本語設定になっていたので、まったくいじれなかったようだが、
カメラショップに持っていくより、カメラ好きの日本人の訪れを待つというのは、いかにもマーシャらしい。

 英語設定にし終わると、つぎは写真のパソコンへのコピーの仕方、
メールで写真を送る方法を教えてくれというご要望。日本で、87歳の
女性がデジカメを買い、コンピューターに取り込もうという例を、私は
知らない。
 そういえば、これは2台目のデジカメで、前のものはアメリカ製。
コンピューターは日々の道具として、通信ばかりか、絵を描いたり、色を組み合わせたり、芸術の上でも、自由自在に使いこなして
おられる。好奇心にあふれたマーシャにとっては、電子機器も
簡単な、おもしろいオモチャのようだ。
マーシャ・ブラウンの写真絵本

LISTEN TO A SHAPE    「かたちをきく」

TOUCH WILL TELL     「さわってみる」

WALK WITH YOUR EYES   「めであるく」

いずれも 文と写真 マーシャ・ブラウン

谷川俊太郎 訳  佑学社
 これらは、マーシャがアメリカ東海岸にすんでいた頃の作品。
大自然のときめき、そこに息づく生き物たち、愛らしい動物の姿が、見事に写真におさめられ、そこに添えられた詩文は
さらに想像をはばたかせる。シャッターを切る一瞬も鋭いが添えられたこれらのことばに、マーシャの感性がほとばしる。


 マーシャは、画家であるが、写真家としても、自然や生き物に対する、その鋭い感性がいかんなく発揮されている。
現在はもう絶版となったが、1979年に「マーシャ・ブラウンの写真絵本」が、3冊、出版された。古い図書館には
あるはずなので、ぜひご覧いただきたい。再販が望まれる本である。

あめのかたちは   どんなかたち
くものかたちは    どんなかたち
かぜのかたちは   どんなかたち
ほのおのかたちは  どんなかたち

          ( 「かたちをきく」 より )
さわることは
  せかいを  かんじること。
さわることは
  せかいが  かんじること。

( 「さわってみる」 より )
       
めは みえる
うまれたときから。
でも みることは
みえることとは ちがう。

みること
  それは めで あるくこと
  あたらしい せかいへと

          ( 「めであるく」 より )

★ 写真はすべてマーシャ自身が撮ったもの。外国に旅した時のものもあるが、
ほとんどが身近な周辺で撮影したものという。
  
「あのときは3000枚くらい、写真を撮ったかしら。とにかく当時は安かったからねえ。」 とマーシャ。
今もレンズの向こうに、感性をときめかせている。
                                               記: 細谷 みどり