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TOSS武蔵野 /持木信治
学校によって多少の違いは、あれど指導の原則は、一緒。どの学年・学級でもうまくいく給食指導の原則を紹介します。
原則1 給食当番は一人一役にする
原則2 配膳は子ども(給食当番)・調整は教師がする
原則3 残す時のルール は、あらかじめ全員に示しておく
原則4 おかわりは教師がしきる
原則1 給食当番は一人一役にする
だれが、何をやるのか明確にする。
給食当番は、1週間交代で表(上記 参照)をずらしていく。
慣れるまでは、休み時間中にしっかりと見させておく。
また、全員が、一度に作業すると逆に時間がかかるので、当番は、学級の人数の半数ずつ。
(当番の仕事が少なければ、3つや4つのグループに分けてもよい。)
給食当番以外の子は、自分の机を動かし、ナプキンを敷いた後、
(1)読書
(2)百人一首暗唱
などをして、待っているように言う。
原則2 配膳は子ども(給食当番)・調整は、教師がする。
配膳をすべて子どもに任せると時間がかかり、自然に弱肉強食の原理が生まれてしまう。
おかず・ご飯類のように、個数が決まっていないものは、最初に教師がついでやり、量を示す。
「お玉すり切り一杯分」といったように子どもが具体的でイメージしやすい量にしてやる。
このときのポイントは、少なめにつぐことである。
最初の調整は、「いただきます」と同時に行う
配膳直後に「少食の子や好き嫌いのある子のための調整」をする。
・「食べ終わった人からおかわりをする」という制度は、とらない。
こうすると弱肉強食になる。
配り終わって「いただきます」をする直前か直後に行う。
配られたもので「ごちそうさま」までに食べきれないものは、戻しにいらっしゃい。
・まずは、多すぎるから少なくした子への指示だ。
食べ始めてからでは、遅いので、これはとにかく最初に行う。
ただし、
・アレルギー等で食べてはいけないもの(連絡帳で確認済みのもの)は、手をつけなくてよい。
という決まりを作っておく。
続いて「他の子と比べて量が少ない子への調整」をする
近くの友達と比べて「自分が少ないな」と思う人、出てきなさい。
・子どもが配ると、多い少ないが出る。
「同じようにしなさい」と言っても、違いは出る。
それが「技術の未熟さ」によるうちは、まだいい。
しかし、「元気な男の子」がいっぱいもらっているようになるものなのである。
逆に、目立たない子は、少ししかないということになる。
・技術の未熟さ、元気な男の子の食欲、様々なことがまじって、違いが出る。
違いが出るのが自然であるが、しかし、それでいいわけがない。
だから、教師が調整してやればいい。
「同じ班の人と比べて少ない人、出てきなさい。」
というと、「少ない人」に混じって、「多い子」も出てくる。
怒ることは、ない。
少しだけ入れてやればいい。
目に余るほどいっぱい入っていたら、逆に減らしてやればいい。決して文句は言わない。
原則3 残す時のルールは、あらかじめ全員に伝えておく
「およそ生理的苦痛を伴うことを強制することは教育ではない。」と向山洋一先生は述べておられる。
給食の好き嫌いもその1つであろう。基本的には「残してよい」ということである。しかし教育の場である以上、
「出された食べ物をきちんと食べる」という考えを教えていくことは必要である。
また、「給食を残す」という行為の主導権を常に教師が持っておき、子どもが勝手に食べ物を扱わないように
しておく技術がいる。
説明 「嫌いだ」とか「お腹がいっぱいだ」ということで給食を残したい人は残してもかまいません。無理に食べる必要はないと先生は考えています
4月の給食初日の指導でこのように言うと好き嫌いのある子どもは表情が和らぐ。
説明 しかし、給食の調理員さんや栄養士さんが一生懸命みんなが食べるために作ってくれた給食を残してしまうのです。だから「申し訳ありません」という気持ちを持たなくてはいけません。
給食を残すときのルールを説明する。
説明 ごちそうさま直前の場合は、「先生、食べきらないので残します。」と言います。
その際、教師は、「一口は、食べた?」と聞き、「食べた」という場合は、OKを出す。
原則4 おかわりは教師がしきる
大事な大事な原則「準備片付けは子どもがする、おかわりはすべて教師が仕切る」である。古今東西余った食料の分配は集団の長が行うものである。学級の統率者、担任が公平に食料分配ができるように指導技術がいる。
「いただきます」がはじまり、給食時間が半ばに過ぎたところで「おかわり」となる。
まずは「本日のメニュー」を告げる。
説明 おかわりです。本日のメニューは「ごはん5名様、汁3名様、丸ボールのサラダ7名様、四角館のコロッケ1名様、デザートのムース1名様」
お代わりは一人希望一品までとする
この時おかわりは、ごはん、汁物、サラダなどの「量もの」からはじめる。
希望の子どもの数によって教師が自由に調節できるだからである。希望者が少ない場合、子どもは好きな量までどっさりもらえる。
次にコロッケなどの「固形おかずもの」になる。
これは希望者のじゃんけんである。希望者の人数によって「じゃんけん2人組」にさせたり、「先生と全体じゃんけん」をしたりする。
いずれにしても「ずる」をする子どもがいないように目を光らす。
最後にデザートものである。これも希望者じゃんけんとなる。
目分量もの→固形おかず→デザートの順番は重要である。
子どもはやはり「デザートもの」に集中する。
説明 おかわりは一人1回まで。じゃんけん挑戦も一人1回まで。
こうすれば、やんちゃ坊主たちが力ずくでおかわりに挑戦してくることを防げる。
また、重要な技術として、「目分量ものをほんの少しだけ残しておく」ということが必要である。そして、
説明 まだ汁とサラダが少しだけ残っています。給食を全部食べた人は残りをおかわりしてよろしいです。
こうすることによって、じゃんけん合戦に敗北した大飯食らいのやんちゃ坊主は満足できる。まさに汁缶の底の底まで食べつくす。
(参考文献)教え方のプロ・向山洋一全集34 ささやかな場面での子どもとのつきあい方「給食指導の微細技術」