2018年度9月号

      本城 仰太


◆六月二四日(日)に「中渋谷教会本城仰太牧師就任式」が行われました。司式をしてくださったのは西南支区長の清弘剛生牧師(頌栄教会)です。就任式の礼拝では、讃美を歌い、祈祷を献げ、御言葉を聴きます。そして大事な「誓約」があります。この誓約は中渋谷教会の牧師として着任する私だけがするものではありません。式次第には二行にわたって「牧師の誓約」、「教会員の誓約」となっています。神の御前で双方が誓約をするのです。
双方が神の御前で誓約をすることに関しては、結婚式と似ているかもしれません。就任式に先立つ六月一六日(土)には、教会員の結婚式が行われました。私が司式をしました。結婚する男女が神の御前に立ち、結婚の誓約をします。そのようにして二人は夫婦になります。神の御前で誓約をした夫婦としての歩みが、これから始まっていくのです。
中渋谷教会も、私が「牧師の誓約」をし、教会員が「教会員の誓約」をし、新たな歩みが本格的に始まりました。誓約したからには、誓約したことを誠実に果たせるように、神の助けと導きを祈りつつ、歩んでまいりたいと思います。
就任式は午後二時からでした。礼拝を終えて、午後二時まで待つのは、お体などの事情のある方にとっては、厳しいことであったかもしれません。しかし多くの教会員が残ってくださいました。その様子をご覧になった支区のある牧師から、「あなたは愛されていますね」という言葉をかけていただきました。私もその通りだと思い、感謝しております。
◆マルコによる福音書の連続講解説教を続けています。前任の及川信牧師は、月に一回は旧約聖書から御言葉を説いたりされていたようですが、私は今のところ、まったく飽きもせずにマルコによる福音書を説き続けています。
マルコによる福音書は四つの福音書の中で、最も早く書かれたと言われています。ボリュームも四つの福音書の中で最小です。それだけシンプルに書かれているとも言えますが、どの言葉にも宝が詰まっています。スイスのジュネーブの教会を改革したカルヴァンという改革者は、毎日のように連続講解説教をしたと言われています。カルヴァンが言うには、連続講解説教の良さは、すべての箇所から説教がなされますので、普通だったら選ばれないような箇所からも説教がなされることになります。私もその良さをかみしめながら、説教をしています。今まで語ってきた説教から二つのことを記します。
第1章15節に主イエスの第一声があります。「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」(1・15)。このニュアンスをよく聴き取っていただきたいと思います。向こうから「近づいた」のです。主イエスの到来によって、教会においても神の国の歩みが始まりました。就任式の際に及川牧師より中渋谷教会の今後の歩みを覚え、「神の国到来という福音を信じて歩むことに勝る幸いはありませんから」(巻末を参照)というお祝いのお言葉をいただきました。「神の国到来」の光の中で、これからもマルコによる福音書から御言葉を聴き続けたいと願っています。
もう一つ、第3章13節以下に、主イエスが十二人の弟子たちを選ばれる場面が記されています。病床訪問に加え、八月より少しずつ、教会員の家庭訪問と面会を始めています。教会員の方々から様々なお話を伺いながら、私はこの箇所に記されている弟子たちのリストを思い起こしていました。最初の四人はガリラヤの漁師たちという共通点はあるかもしれませんが、それ以外十二人には何も共通点や似ているところを見出すことはできません。非常にバラエティーに富んだ弟子たちですが、ただ一つ、主イエスと出会い、主イエスに選ばれたという共通点があります。これはそっくりそのまま今の教会員にも当てはめることができます。ある方がこの説教の感想を寄せてくださいました。「私たちも選ばれたことに対する畏れと喜びをもって歩みたい」。本当にその通りだと思います。
◆今年の夏は、とりわけ暑い夏でした。私は標高六百メートルの松本で八年間、夏を過ごしてきました。人数の割には手狭な教会堂でしたので、教会ではクーラーを使いましたが、牧師館での日常生活ではほぼエアコンを使わない生活をしていました。九年ぶりの東京の夏を過ごしたわけですが、久しぶりの夏を体験し、「こんなに暑かったかしら…」と思わされました。教会員に伺ってみると、今年は例年に増して暑く、特別とのこと。牧師館のある三階は日差しに照らされますが、エアコンを使わせていただいて室内は快適に過ごさせていただいています。
ご高齢の教会員のご様子も伺い、暑さで参っている方も多いようです。礼拝出席のかなわない方や体調を崩された方もおられます。これから秋が深まり、いよいよクリスマスへ向けての歩みになります。季節の変わり目ですが、皆様の健康が守られますように、祈っています。

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