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(注意) 一度この制度を選択すると、通常の贈与制度(基礎控除110万円まで非課税)には戻ることができませんので、選択の際は慎重に検討される必要があります。

 

適用要件

この制度は、満65歳以上である親から満20歳以上の子である推定相続人に対する贈与に限り適用されます。

人数に制限はなく、兄弟姉妹がそれぞれ別々に選択できます。

また、父母についてもそれぞれの親ごとに選択することができます。

通常の贈与税の課税制度では、贈与者ごとにその年に受けたすべての人からの贈与財産を合計して贈与税を計算しなければなりません。

これに対し、この制度の適用を受けた場合には、ここから切り離して父母ごとに計算し、その親に相続が発生するまで合算していきます。

 

届け出

新制度の適用を受けようとする人は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、新制度を選択する旨の届出書を贈与税の申告書に添付して税務署長に提出する必要があります。一度新制度の選択をしたら、その親との間では、相続発生時まで新制度が適用され、通常の贈与制度に戻ることはできません。

 

相続時の精算

相続財産は相続発生時の時価で計算されるのは従来どおりですが、合算される贈与財産の価額は贈与された時の時価で計算されます。ここがポイントです。
相続税の計算は従来と同じように法定相続分による遺産取得課税方式で計算し、相続税額から控除しきれない贈与税がある場合にはその贈与税相当額は還付されます。

 

住宅取得資金の特例

新制度を選択すると2,500万円に達するまで無税ですが、平成21年12月31日までの間の住宅取得のための資金の贈与に限り、3,500万円に拡大されます。

また、この住宅取得資金贈与について、贈与者である父又は母の年齢について、満65歳以上という年齢制限は適用されません。

 

相続時精算課税が有利な場合


「相続時精算課税制度」により、従来の生前贈与より高額の財産を贈与する方が増えています。現金、土地、建物、株式、何でも2,500万円まで、住宅取得資金なら3,500万円まで非課税で贈与できるのですから、これは魅力的です。

この規定を利用して贈与する際には次のような財産が適しています。これは、通常の生前贈与の場合も同様です。


将来値上がりする可能性の高い財産

近いうちに、市街化区域に編入されることが予想できる調整区域内の土地や収用予定地などは適しています。
現在の評価額が低かったり、利用制限を受けて価値が低い土地でも、将来その利用価値が上がる可能性の高いものがあれば、評価の低いうちに贈与すべきでしょう。
業績好調にもかかわらず評価が低い上場株式なども、同じことがいえます。


賃貸物件を建てて贈与

評価を下げてから贈与するという方法も考えられます。例えば、現金で賃貸物件を建築し、貸家の評価にすると、現金に比べて2/5程度になります。評価を下げてから贈与するという方法です。


着実に収入を生む財産

中古の賃貸物件で、建物の評価は既に低くなっていて、賃料収入が確実に入って来ているような物件は、低い評価で贈与でき、安定収入があるので贈与に適しています。
ほかにも、利回りの高い外国債券や配当の高い株式、上場不動産投資信託なども同様です。


この制度は遺言と同様の効果があります

後継者に引き継がせたい財産や事業を承継させるためにその承継者に不動産や株式を贈与し、それ以外の相続人には一定の金額の財産を贈与すれば、遺言と同じように、しかも生前に意思を明確にすることができます。
これまでは高い贈与税のためにできなかった事も可能になりました。


遺留分にご注意ください

何人かの相続人がある場合、それぞれの相続人は遺産を請求する権利(遺留分)があります。
遺言書による場合でも同じですが、遺留分計算のときには相続財産に過去のすべての生前贈与財産を含めることとされています。




ご不明な点は、お気軽に弊社へお問合わせください。

おがわ税務会計事務所
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