03.07.01

久しぶりに美容院に行って来た田中栄二です。

 

 

私、本当にファッションには全くもって疎いんですよ。

 

 

服を買うのはもっぱら地元のジー○ズメイトクラスでして。

 

 

さすがにもう少し気を使おうかと、オシャレな友人を連れ立ってちょっとオシャレそうな店に買い物に出かけた事もあるんですが、衣服に5千円以上かける気が無い私にとって、その手の店で買えるの物と言えばせいぜいベルトとか帽子とかくらいなんですよ。

 

 

一応ステージに立つ商売なので、それでも自分なりに気を使っているつもりではいたんですが、さすがに昨今共演者から「その衣装はどうなんだ」というクレームが多発してまして。

 

 

このままだと「俺は俺のファッションで勝負するから世間なんて関係ないぜ」という危険なポリシーを持ちかねないので、思いきって衣装にお金をかける事にしてみたんです。

 

 

で、先程買ってきたんですが、こんなに服にお金をかけたのは生まれて初めてです

 

 

ただ、正直言ってこの服がオシャレなのかどうか自分では良くわかってないんですよ

 

 

一見したところ、私が普段着ているような服となんら変わらない気がするんです。

 

 

いや、ほんとセンスは金では買えないものです。

 

 

そんな訳で、今後のライブは総額3万円の衣装に注目。

 

 

 

 


03.07.08

田中栄二です。

 

なんだかんだでライブが続いておりまして。

 

ここ最近のライブは全開で楽しいんですが単純に酒量が増えている気がします。

 

私、晩酌は欠かせない日課でして、例えば外で結構飲んだとしても、うちに帰って寝る前には必ずビール、いや発砲酒を飲んでから寝るんですよ。

 

旅に出た時でも、打ち上げ後にホテルに帰って一人で缶ビールいや発砲酒を飲んでしまうんです。

 

しかし、さすがに30才にもなると明らかに肝機能の働きが鈍くなっていると言う自覚症状が現れ始めまして。で、ちょっと前は過激に暇だったので、ここはひとつ健康の為に晩酌の量を減らそうとある作戦をとっていたんです。

 

要は少ない酒量で確実に酔っぱらえばいいわけですから、飲まないで脳を酔っている状態まで追い込んで、それから少しだけ確認の為に飲むようにすればいいと考えたんです。

 

つまり、深夜2時頃から朝6時頃までファイナルファンタジーを勤しみ、ギリギリの状態でストーリーの変わり際のムービーを見ながら缶ビールいや発砲酒を一本だけ飲んで寝るという生活習慣を身につけた訳です。

 

これ、一見不健康に思われますが、確実に酒量は減っていたんです。

 

がしかし、この作戦が実行できるのは過激に暇な期間だけでして、さすがにライブ終了後にこいつに白魔法を覚えさせるべきかとか考える気になれないんですよ。

 

そうなると、帰ったらとりあえずビールいや発砲酒、という魔のコースに戻っていき、更には勢いづいてよ〜しちょっと魔物でも退治してやるかという気分になって意味も無く召還獣を乱発した戦いを仕掛けたりして、気が付いたらあり得ない数の空き缶が転がっていたりする訳です。

 

『ゲーム→酒』と『酒→ゲーム』では不健康の度合いが大きく違いますね

 

気を付けて下さい。俺。

 

ちなみに言っておきますが、『えいじさんお酒は控えて健康に留意して下さい』なんて言うメールは何の効果も無いのでやめて下さい。


03.07.09

って、今まさにライブ後の晩酌中でして、先程上記の文に対するBBSでの指摘を確認しました。

 

 

 

うん、確かに酒は発砲しないね

 

 

 

悪かった。

 

 

 


03.07.14

田中栄二です。

 

ロックスピリッツって御存じですか。

 

自由、反骨、退廃といったキーワードから発せられるそのエネルギーは、ミュージシャンの根源であり、侵し難い聖域でもあります。

 

ともすれば状況に流されそうな時には、ミュージシャン仲間と「ロックスピリッツ」を例えばライブ後、安居酒屋で確認しあう訳です。

 

私、普段打ち上げではあまり音楽の話、特にスピリチャルな事を話すのは得意ではないんですが、たまにこういう機会があると、『ああ音楽って素晴らしいなあ』とか、『ミュージシャンで良かったなあ』とか、改めて音楽の偉大さ、そしてそれを習わしとしている自分を確認するんです。

 

 

で、先日、とあるバンドのライブがあり、打ち上げで久しぶりにロック談義に花が咲きまして。

 

比較的若いメンバーで構成されていたそのバンドは、どちらかと言えば場末感の強いやさぐれミュージシャンばかりで、話は熱くなっていきます。

 

 

これぞロック魂

 

 

久しぶりに音楽の話をつまみに盛り上がっている状況に、私もまんざらでは無くなります。

 

 

が、しかしこの熱いロック談義に水を差す事件が起ころうとしておりました

 

 

切っ掛けはこの一言。

 

 

「今からモデル連中がここに来るって言ってるんだけどいい?」

 

 

もでる?

 

 

モデル?

 

 

 

MODEL?

 

 

 

 

ロックスピリッツが溢れるこの安居酒屋にモデルがやって来ると言う状況を即座には理解出来ないやさぐれミュージシャン。

 

 

実は、このバンドのメンバーのリーダーの本職が、ファッション誌とかの記事を書いているライターでして、その業界では結構力を持っているらしいんです。

 

つまり、モデルと言う商売をしている方から見れば、重要な商売相手らしいんですね。

 

で、今日のライブには来れなかったので、一応打ち上げに顔を出しておこうと言う事で。

 

 

 

予期せぬモデルの来訪と言う事態に、ロックスピリッツが溢れていたやさぐれミュージシャン連中の心の相関図が微妙に変化します

 

 

 

モデルロック

 

 

そういえば、偉大なロックミュージシャンは派手な女性関係でも有名だ

 

 

つまりモデルとの甘い交流こそロックの神髄なのだという強引な結論を心に打ち出し、これからやってくるモデルとの熱いセッションに大きく期待を膨らませます。

 

表面上は「ああ別にいいッスよ」なんて言う表情を作りながらも、やさぐれミュージシャンの視線は30秒に一度モデルが現れるであろう店の入り口をチェック

 

 

そして程なくモデル(×2)来襲。

 

 

どうもはじめまして〜。○○で〜す

 

 

全身に圧倒的なモデルオーラを漂わせながらやって来たモデルを直視したやさぐれミュージシャンの心の相関図はまたも微妙に変化します。

 

 

モデルロック

 

 

やはり女性をたてるのが真のロックミュージシャンなんじゃないかと。

 

 

で、そのモデルはしばらくそのバンドリーダーと、例えばスパゲティーのことをパスタというような会話をします。

 

 

やさぐれミュージシャン連中は、とりあえず表面上のロック談義を進めながらもモデルの一語一句を聞き漏らさぬよう細心の注意を払い、自分達がモデルに食い込めるような会話がやってくるのをじっと待ちます。

 

 

そして。

 

 

リーダー「えっと、○○ちゃんはどこに住んでるんだっけ?」

 

モデル「あっ、××ですけど」

 

 

 

さあ、戦いのゴングは鳴りました

 

 

私「えっ?××?うちとめちゃくちゃ近いですね。俺のうちは△△なんですよ」

 

 

いや、本当はそれほど近くもなかったんですが、食い込むにはいい切っ掛けです。

 

 

だがしかし、初めて目の当たりにしたモデル。

 

 

目の輝きが尋常ではありません

 

 

なにせ、普段は自分の美貌を商売としている訳ですから、自称ロックミュージシャンなど軽く吹き飛ばすその眼力に二の句がつげずあえなく第一ラウンド終了

 

 

それからまたしばらくリーダーとモデルとの間でフジテレビをCXと言うような会話が進行し、多少モデルの眼力に圧倒されながらも第二ラウンドのゴングが鳴るのをじっと待ちます。

 

 

そして。

 

 

リーダー「あ、○○ファンなの?あれ栄二君その人と仕事してなかったっけ?」

 

 

ナイスパス

 

 

がしかし、その人(有名人)と仕事した事なんて全くなかったんです。

 

 

ですがここはひとまずそういう事にしておいてアドバンテージをとっておき、手近な有名人を乱打して勝負する事に。

 

 

ハッキリ言って最悪の戦法ですが、そんなことは百も承知です

 

 

ここでロックがモデルごときに負ける訳にはいきません

 

 

しかし、さすが業界人。

 

 

私のパンチはことごとくかわされます

 

 

それでもとりあえず会話は進行していたので、徐々に私は最終的な技を出し始めます。

 

 

おもしろ田中栄二最終バージョンに変身です

 

 

自分を落としたネタをとにかく乱発。

 

 

強引に自分のペースに持っていこうと。

 

 

が、なおも全く会話は噛み合わず

 

 

そして迎えた最終ラウンド。

 

 

モデルの私への一言で戦いは終了します。

 

 

 

はは、この人、なんか変

 

 

 

そしてあっという間に立ち去るモデル。

 

 

 

完敗です

 

 

 

「けっ、なんだよ、すかしやがってよ」

 

「やっぱ、いつもちやほやされてるから、しかたねえよ」

 

 

モデルが立ち去った後で、急に盛り上がるやさぐれミュージシャン。

 

 

しかし、悪態をつきつつも、やさぐれミュージシャン連中の最終的な心の相関図はきっとこうなっていました。

 

 

 

モデルロック俺達

 

 

 

 

いや、これでいいんだよ。

 

 

 

弱い自分を隠すこたあねえぞ

 

 

 


03.07.17

田中栄二です。

 

ロックスピリッツって御存じですか。

 

自由、反骨、退廃といったキーワードから発せられるそのエネルギーは、ミュージシャンの根源であり、侵し難い聖域でもあります。

 

 

ただ、モデルには弱いんですが

 

 

で、先日某大物ロックギタリストのお誘いで某イベントヘの参加が急に決まりまして、本番当日、現場までそのギタリストの車に乗せて頂いて向ったんです。

 

 

どうやらそのギタリスト、前日に海外の大物ロックシンガーと共演したらしく、その模様を熱っぽく語り、大いにロック談義に花が咲きまして。

 

 

で、BGMにその時のライブの演奏を流しながら疾走する車の中(いや、これが本当に本物のロックって感じでかなり格好よかったんですよ)、私の心は完全にロックに支配されます。

 

 

 

そして、ロック魂全開の車は道に迷いながらも2時間程で現場に到着。

 

 

さっそくステージにいきセッティングをしていると、私と同世代の某ベーシストにいきなり声を掛けられまして。

 

 

まさかこんな場所で会うとは思わなかったので「え?なんでいるの?」と疑問に思ったんですが、そういえば今日のイベントは対バンがあるという話だったので、「あ〜ひょっとして今日の対バンなんだよね」と。

 

 

単純に久々の再開でもあり、こんな遠いところで友達に偶然あったという喜びもあり、そのベーシストと話を弾ませます。

 

 

彼と話を進めているうちに、彼等のバンドは午後3時に入ってたにもかかわらず、我々がしたたかに道に迷ってしまい、会場入りしたのが4時くらいになってしまったせいでリハが出来なかったと言う状況だったっぽいんです。

 

 

「なんか待たせたみたいですまないねえ」と言おうとしたんですが、どうやらあまり気にしていない様子だったので、その事はひとまずおいておいて、一体君たちはどんなバンドなのかと言う事が普通に気になりまして。

 

 

私「で、今日はどんなバンドで出るの?」

 

 

ベーシスト「なんかさ、レースクイーンで構成されたアイドルユニットのサポートなんだよね」

 

 

 

な、なんだその邪なユニットは

 

 

 

まあ、実のところ、レースクイーンなのかアイドルなのか良くわからなかったんですが、どっちにしても素敵な女性に囲まれている事は疑いようがありません

 

 

 

 

そりゃ待ち時間も楽しいってもんです

 

 

 

 

今回私達のグループ構成は、大物ロックギタリスト、大御所ラテンピアニスト、元ビジュアル系実力派ベーシスト、女性DJ、黒人ラッパー、そしてピンチな人というレースクイーンとかアイドルとかとはおおよそ無縁の構成で、まあ音楽的には結構面白い事をやる事になって楽しみにしていたんですが、こうなると正直そのアイドルユニットが物凄く気になってしまいます

 

 

 

結局我々がリハをしている間はそのアイドルユニットは顔を見せず、本番までお預けということになりまして。

 

 

で、楽屋ではまたもロック談義に花が咲いたんですが、私の心は完全にまだ見ぬアイドルユニットに支配されていまして

 

 

そんな訳で、本番時間。

 

 

彼女達の出番は我々の前なので、ちょっと早めにステージ袖へ

 

 

そして、明らかにアイドルグループですねという衣装を纏った4人組を発見

 

 

 

すると、なんと彼女達から我々に近づいて来まして。

 

 

 

今日はよろしくお願いしま〜す。

 

 

 

高らかに響く四声のハーモニー。

 

 

 

私、今確実に右から2番目に恋しました

 

 

 

実は、そのアイドルのサポートをしているベーシストから、「ミュージシャンっぽくクールに振舞った方が彼女達はグッとくるらしいぞ」という情報を得ていたので、即座に田中栄二クールバージョンに変身

 

 

 

私「あっ、どうも。よろしく

 

 

 

あれ、クールってこれでいいのかしら?

 

 

 

結局会話続かず。

 

 

 

なんとなく「あっ、キャラ設定失敗したな」という苦い自覚を抱きつつ、彼女達のステージを袖から見守る事に。

 

 

もう目一杯アイドル路線というステージングは、普段実はそういうステージを見た事がない私のハートを確実に居抜きます。

 

 

 

ぶっちゃけ、彼女達と一緒にステージたてたら物凄く幸せだと本気で思いました

 

 

 

そんなアイドル全開のステージが終わり、我々の出番となりまして。

 

 

 

お疲れ様でした〜。頑張って下さ〜い。

 

 

 

 

はい、全開で頑張ります

 

 

 

アイドル達が見ていると信じて望んだステージは、必要以上に私を熱くさせます。

 

 

基本的に、今回のバンド(まあ私はトラでしかもリハもままならない状態だったので詳しい事はわからないんですが)一応乗りのいいラテンバンドというカテゴリーっぽかったんですが、実際はかなり複雑なリズムループの上で難解な曲をやる感じで、ドラマーにとって結構シビアな現場だったんです。

 

 

 

しかし、アイドル達の存在は私に大いなる力を与えます

 

 

 

この制約の多い状況下にもかかわらず、圧倒的な攻めのドラミング

 

 

 

恋の力はクリックを吹き飛ばします

 

 

 

そして、我々のステージの3曲目あたり、事件は起こります

 

 

 

アイドルユニットいきなり飛び入り参加

 

 

 

おいおい、聞いてないよ。

 

 

 

そんなの嬉しすぎるじゃないか

 

 

 

しかし、実際問題、彼女達が我々のステージに来て何をするのかは結構本気で謎だったんです。

 

 

 

そして、予定通りに流れる難解なリズムループ

 

 

 

どうやら、彼女達はノリノリのラテン音楽に軽くステップを踏むくらいの気持ちだったのでしょう。

 

 

 

明らかに困惑の色を見せ出すアイドル達

 

 

 

演出的に、そのループが流れてしばらくしてドラムがリズムを刻み出すという予定だったんですが、私は彼女達を助けたい一身で、早めにドラムイン。

 

 

 

しかし、どのみち踊るには微妙すぎるテンポ

 

 

 

彼女達の為に踊りやすいテンポに変えたかったところだったんですが、リズムループは流れっぱなしな訳で自由にテンポを変える訳にも行かない。

 

 

 

 

あぁ、すまないアイドル達よ。

 

 

 

 

自分の無力さに歯がゆさを覚えつつアイドル達を見守る。

 

 

 

 

すると、そんな状態にもかかわらず無理矢理にステップを踏みだすアイドル達

 

 

 

 

なんて健気なんだ

 

 

 

 

しばらく、難解なリズムループ、妙にシンコペーションが効いたベースパターン、ゆったりとしたドラム、そしてアイドル達のダンスという状況が続きます。

 

 

 

 

どうやら、彼女達のダンスステップだけでしばらく楽しんでもらおうと言う企画だったらしいのだが、さすがにこのテンポで微妙なダンスが続けば徐々に状況は混沌として来ます

 

 

 

我々ミュージシャンと言うのは、こういう『おい、今音楽的に成立してんのか』という状況を察すると、それぞれがなんとかしようと言う本能が働くんですよ。

 

 

 

飛び交うアイコンタクト

 

 

 

そして、彼女達の微妙なステップの横で、この状況を打破すべく黒人ラッパーのラップが炸裂

 

 

 

更に、ギターがその横でミニマル的な難解なアプローチを開始

 

 

 

いかん、これはミュージシャン的にかなり面白いが、このままでは確実に彼女達は確実に路頭に迷うであろう。

 

 

 

私はそう思いテンポを倍にする事を決意。

 

 

 

倍のテンポであればクリックにも逆らわないし、少なくとも回りの状況はどうあれステップも踏みやすくなるはずだ。

 

 

 

そして。

 

 

 

超高速のドラムンベースアプローチを開始

 

 

 

し、しまった、倍は速すぎた

 

 

 

おそるおそる彼女達を覗き見る。

 

 

 

完全に自失状態でただ闇雲にステップを踏むアイドル達

 

 

 

ドラムンベース、混沌としたギター、とめどなく続くラップ、そして闇雲に踊るアイドル

 

 

 

 

 

店長、カオス入りました

 

 

 

 

 

結局その状態で自由度の高いエンディングへ突入。

 

 

 

 

 

大丈夫か。このエンディングでアイドル的にはOKなのか。

 

 

 

 

 

そんな私の不安をよそに「ど〜も、○○でした〜」と意気揚々とステージを去るアイドル達。

 

 

 

 

 

これぞロックスピリッツ

 

 

 

 

 

あぁ、アイドル達よ。

 

 

 

 

 

お願いですからもう一度あなたのロックスピリッツを体感させて下さい

 

 

 

 

 

で、終演後彼女達と軽い挨拶はあったんですが、序盤に放ったクール路線が尾を引いて全く会話は弾まずあえなくそのまま帰って来ました。

 

 

 

 

そして、帰りの車で又しても花咲くロック談義

 

 

 

 

あぁ、ビバロックスピリッツ

 

 

 


03.07.31

田中栄二です。

 

先日祖父が他界致しまして、葬儀に参加するべくしばらく実家(札幌)に帰っておりました。

 

私、結構じいちゃんっ子でして、まあ一緒に暮らしていた事もあり訃報を聞いた時はそれなりにショックだったんですが、93歳まで生きて死因が『老衰』というこれぞまさに大往生というストレートアヘッドな死に方でして、葬儀自体は和やかなムードだったんです。

 

私、実は葬儀の全行程(仮通夜→通夜→告別式→火葬)に参加したのは今回が初めてだったんですよ。

 

いや、色々勉強になりました。

 

恥ずかしながら、30才にして初めて知る事ばかりだったんですが、葬式には色んな特種ルールが存在するんですね。

 

例えば、葬儀の行程中(仮通夜→通夜→告別式)は線香の火を絶やしてはいけないとルールがあるらしいんですよ。

 

まあ、昼間は色んな人が線香をあげにくる訳ですから火が絶える心配は無いのですが、問題は深夜です。

 

ですから、夜通しで線香の火を絶やさぬよう番をしていなければいけない訳です。

 

私、上京して以来親戚一同に対しては本当に不義理の極みでしたので、その特種ルールを聞いた時には恩返しの為にも「絶対寝ない」と心に誓い、酒も一滴も飲まずにいたんです。

 

どうやら、大抵の場合は複数の人が交代で見守る事が多いらしいのですが、我が親族一同、これがまた揃いも揃って全員が飲んべえでして、気が付いたら私以外全員寝てしまっていまして

 

まあ、それでも親族の中では圧倒的に祖父の愛情を一番に受けた私ですので、「俺が見守らないでどうする」くらいの勢いで、むしろおじいちゃんと2人きりで夜を明かすのも悪く無いと思いまして、眠った人は放っておいて、一人で線香番をする事にしたんです。

 

 

祖父の亡骸の横で、目一杯思い出に耽ろうと。

 

 

でもですね。

 

 

 

人間、ノスタルジックな感情だけでは徹夜はできません

 

 

 

いい加減暇になります

 

 

 

しかし、この現状で暇を潰すグッズといえば携帯に付いているテトリスくらいで、それもすでに飽きがきはじめていたので、本気で途方にくれまして。

 

 

 

で、何かする事はないかと思いを巡らせると、そう言えば、葬儀の行程が終わり東京に帰ってすぐに某コンサートのリハがあり、その譜面を取るという作業をこの一連の葬儀の合間を縫ってやろうと思い資料を持ってきていた事を思い出しまして。

 

 

 

で、祖父の亡骸の横で譜面と線香を見ながら曲をチェック

 

 

 

いやはや、死体に見守られながら音資料を聞きつつ譜面を取ると言うのは、なんとも奇妙な気分です

 

 

 

ほんと、いい経験させてもらいました。

 

 

 

 

そんな訳で、この件で本番を飛ばしたりもしてしまったんですが、その際本当に色んな人に快く協力して頂き、本当にありがとうございました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。ほんと、迷惑掛けてすいません。

 

 

尚、御悔やみメールは一切承っておりません。

 

 


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