06.01.13 田中栄二です。
偶然某スープ系で会った金髪バイオリニストに怒られたので、更新します。
遅くなってすいません。
と言う訳で、改めまして、明けましておめでとうございます。
どうですか、新年。
希望に満ちあふれてますか。
そんな訳で、私、年始は実家(札幌に)に結構長く帰ってました。
今回は結構急に決めた帰郷でして、いつもならネット上に落ちているツアーとかを利用して出来るだけ安く帰ったりするんですが、さすがに急でしたし、更に年越し期間を一応避けてるとは言っても、シーズンオフと言う訳でもないので、そんな格安のツアーなんて無い訳で、結局そう言うときにいつも利用するAIR DOで普通にチケットを押さえたんです。
このAIR DO、以前にも書いた事がありますが、北海道離発着限定の飛行機会社で、普通にチケットを押さえる場合は、JALとか穴とかよりは圧倒的に安い訳です。
しかも、道民割引と言う制度があるんですね。
私、現在は東京都民な訳ですが、この「道民割引」、本籍が北海道であれば誰でも適用になるんですよ。
で、まあ重宝している訳です。
しかし、安いには安いなりに色んな罠も仕掛けられていまして。
これも以前書いた事がありますが、ちょいちょい飛行機が遅れるんですよ。
で、今回もまんまとその罠に引っかかりまして。
よく遅れる原因として挙げられるのは、詳しい事はよく分かりませんがおそらく「単純に飛んでる飛行機の数が少ない」という事があると思うんです。
つまり、少ない飛行機の数で例えば新千歳〜羽田間を頑張って行ったり来たりする事で本数を稼いでいる感じなんですよ。
と言う事は、何往復かする中で、一度何らかの理由で遅れてしまうとその後もず〜っと遅れっぱなしと言う状態に陥る訳です。
更に、何らかの理由で遅延が重なったりしたりすると、最終便くらいになるとそのしわ寄せが物凄くなったりする訳です。
で、今回、帰り(札幌→東京)の便が思いっきり遅れまして。
いや、以前AIR DOでチケットを取って、帰りの便は最終便にした事があったんですが、その時も思いっきり遅れて羽田から危うく家までの交通手段が無くなるかもという事態になった事があり、AIR DOの最終便は危ないということは重々分かっていたはずなんですが、チケットを押さえる時にその事を完全に忘れていたようで、普通に最終便を押さえてしまったんですよ。
まあしかし、ひょっとしてまた羽田から家まで帰れないという事態になったら困るし、いざと言うときは翌日の便にスイッチしてもスケジュール的には問題なかったので、実家を出る前にパソコンで運行状況をチェックしていたんです。
で、まああまりに遅れているようなら変更も、と思っていたんですが、その時札幌は大雪でそう言う可能性も充分考えられたんですが、どうやら遅延も無く出発しているようで、予定通り帰ろうと新千歳空港に向かいまして。
しかし、一体どのタイミングで遅延が出ていたのか分からないんですが、チェックインした時に、空港のお姉さんが「この便は大変申し訳ないですが現在50分程遅れての出発予定となっていますが」と。
50分遅れって。
我がままな外タレの開演時間ばりですよ。
で、現実問題として21:25発予定が、この時点で22:15発となる訳で、札幌〜東京間はだいたい1時間30分かかるので、到着が23:45となってしまう訳です。
確か羽田からの最終の電車が00:00くらいなので、かなりぎりぎりな時間設定です。
で、お姉さんに「これじゃあ最終の電車に間に合わないかもしれないのでぎりぎりの段階でチケットをキャンセルして翌日に回しても大丈夫か」という質問をしたところ、それは問題なく出来ると言う話でしたので、ひとまずチェックインして、状況を見守る事に。
しかし、21:50くらいまで待った時点でも、一向に搭乗のアナウンスが流れる兆しがありません。
なんだよ、もう絶対最終便は乗らねえぞ、てか、JALとか穴は普通に全く遅れる事なく飛んでるのになんでAIR DOだけ50分遅れなんだよ。
私の中でAIR DO不審が臨界点に達した時、思わぬアナウンスが流れます。
「大変お待たせしているAIR DO28便ですが、22時15分よりお客様を機内へとご案内出来る予定です。尚、到着時、羽田空港からの交通機関がすべて終了している事が予想されますので、皆様に交通費として五千円をお渡ししますので、搭乗前にスタッフからお受け取りください」
えっ?五千円くれるの?
私、以前にも飛行機が遅れて最終電車ぎりぎりで、とかいう話も一度や二度あった事があるんですが、こんな事は初めてです。
ナイスAIR DO。
とりあえず、五千円に釣られ、最終便に間に合わない事を覚悟でこの便に乗る事を自分的に決定。
まあ、現実問題として自宅まで空港からタクシーで帰って一体いくらくらい掛かるのか、まるで見当もつかなかった訳ですが、五千円あれば何とかなるだろうと。
なんとなく精神的にゆとりもでき、大人しく搭乗案内が流れるのを待ちます。
で、まあ22:15というアナウンスがあったので、実際それ位から搭乗させるのだろうと思っていたら、作業を急いだのか、22:05あたりから搭乗がスタート。
この段階で、ひょっとしたら最終便に間に合うかも、という可能性が俄に浮上してきます。
まさか、間に合うかもしれないからやっぱり五千円は渡せないとか言い始めるんじゃないだろうかと思ったりしたんですが、搭乗ゲートに入ったら予定通りお姉さんが客さん全員に5千円が入った封筒を渡してまして。
で、私もその封筒を受け取り、すぐさま現金を抜き取り自分の財布に入れます。
その瞬間、私の気持ちにある変化が出てきます。
五千円を貰える、というアナウンスが流れたときは「じゃあまあタクシーで帰っても大丈夫か」なんて考えていた訳ですが、実際五千円を貰って財布に入れた瞬間に、その五千円は貰った訳じゃなくてもう俺の物という感覚になり、そうなると頼むから最終の電車に間に合ってくれ、という心理に変化する訳ですよ。
で、五千円儲けるかどうかの、運命のフライトがスタート。
で、期待虚しく、00:05、羽田着。
まあ、やっぱりそんな上手い話はねえんだなと。
結局、生まれて初めて羽田から自宅までタクシーに乗った訳ですが、7,200円掛かりました。
ようは、2,200円自腹を切ってタクシーに乗った計算になる訳ですが、まあなんとも微妙な感じでしたわよ。
半端と言うか、なんというか。
そんな訳で、いつも半端な感じの田中栄二ですが、本年もよろしくお願い致します。
ピンチ座の話も、ぼちぼち色々計画がスタートしそうなので、まあひとつよろしくお願いします。
06.01.20 別に閉鎖した訳ではないんです。
色々、あるんですよ。
まあ、充実してます。
そんな訳でもうちょっと待って。
田中栄二
06.01.26 ライブの時にはいつもO君(おさむ君)に運搬とか運転とか手伝ってもらっているんですが、先日のライブは対バンで色々面倒だったんで、O君(おさむ君)には休んでもらって一人でスティックだけ持って電車で現場入りして、リハと本番の空き時間にちょっとダーツでもと思ってダーツバーに行って案内された席に行ったらおさむが隣で投げてて物凄くびっくりした田中栄二です。
そんな訳で、ぼちぼち源泉徴収票が届く季節になってきましたね。
今年も当然のごとく何枚来ようが赤字申告ですので、もし所得が多くて少しでも申告を減らしたいと言う方がいらしましたら連絡ください。
そりゃ大変ねえ、って言ってあげます。
この時期だけは俺の勝ちです。
と言う訳で、更新が本当に遅れてしまいましたが、まあ色々ありまして、結構充実していたんですよ。
格好良く言えば、新しく動き出すプロジェクトとでも申しましょうか、まあそこまで大げさな物では無いんですが、そんな動きを見せているバンド(?)がありまして。
いや、まだ触れていい段階なのかどうかよく分からないんですが、とりあえずざっくり年内には(いや、もうちょっと細かい事まで決まってはいるんですが。まあ隠す事も無いんですがね)アルバムを出す事になっており、とりあえず色んな意味で一度ミーティングや新年会や色んな事を含めて先日集まりまして、泊まり込みで色々下準備をしていた訳です。
なんか、いいものが出来そうな予感がしておりますので、形になったおりには是非。
で、まあ一応新年になってから初めて集まったと言う事もあり、「近所にいい寺があるから、散歩がてら初詣に行こう」と言う流れになりまして。
まあ、新たに動き出すバンド(?)ですし、縁起担ぎにもちょうどいいしと。
いや、これが結構大きな寺でして、かなり大きな墓地もありまして、都内の閑静な住宅街という立地もあってか、有名な方の墓も結構あったんですよ。
で、せっかくですので、どうやらその墓地の一番の「売り」と目される「力道山の墓」を見学する事に。
ご丁寧にも「力道山の墓→→」なんていう立て看板もあったりしまして、それは力道山の家族的には有りなのかとか思わなくもなかったんですが、まあ我々もその看板のお陰で広い敷地でも迷わず力道山の墓に向かう事が出来まして。
で、さすがに有名人の墓が多いからなのか、どうやら様々なトラブルがあるようで、随所に「置き引きには注意して下さい」とかの看板が見受けられまして。
まあ、大抵この手の看板の注意書きに書いてある事って、私の実感としては、よほど無防備な人間でなければまず被害に遭うような事はないと思うんです。
ようは、このような被害に万が一あった場合、責任は取れないよ、という管理者側の心理の現れだと思うんですよね。
もちろん、過去にそういう事件が実際に起こった事があって、その時に責任問題になったりとかして結果そのような看板が立てられたと言う事なのでしょうが、逆に言えば、そういう事件が表立ってしまった事で、その手の「職種」の人は活動しづらくなるだろうし、万が一狙うとしても老人とかだと思われるし、それはそれでひどい話ですが、とりあえず「俺がその手の被害に遭う事は無い」と、注意書きの看板なんて何となく見る程度でほとんどスルーしていたんです。
で、看板通りに進み、力道山の墓に到着。
さすがは天下の力道山、たいそう立派な墓でして、なんと銅像まで建っていたんですよ。
いや立派だなあ、と一同様々に感嘆の意を漏らします。
すると、どこからともなく現れたおじさん(推定55歳)が、我々にいきなり話しかけてきまして。
おじさん「ほら、ここになんか剥がされた跡があるでしょ。ここに色んな有名な人の署名なんかがあったんだけど、誰かがこれ剥がして持ってちゃったんだよ」
と、いきなり力道山の墓に関する知識を披露しだします。
そのおじさん、ラフな風貌から、どう考えても墓参りとは思えず、少し勘違いしたかなりラフな坊主と言う可能性を除けば、近所の住人で散歩がてらよくここに来るおじさん、と言う感じでして、よほど良く来るのか、力道山の墓に関して色んな事を喋ります。
まあ我々も、せっかくなので色々聞いたりとかしまして。
どうやらそのおじさん、力道山の墓だけに詳しい訳ではないらしく「それとここにあるのが○○っていう××の妹さんの墓で、こっちのが△△の創立者の墓で・・・」と力道山のご近所さんの墓も色々紹介しだします。
なんだ、やけに色々詳しいな。
そして、更に「この奥にはトラの銅像がある墓とかあるから行ってごらんよ」と我々を促します。
ここに来て、そのおじさんに対し、私はなんか引っかかる者を感じます。
あなた、若干うさん臭いですよね。
まあ、漠然とそう感じたものの、ちょっとトラの銅像にも興味があったので、一応はおじさんの言う通り奥へと進みます。
で、奥に向かう道中、不意に「置き引きに注意して下さい」と書いてあった立て看板の隣にもう一つ注意書きがあった事を思い出します。
「ボランティアと称して墓地内を案内して金品を要求すると言う被害が多発していますので注意して下さい」
あっ、さてはユーの事?
まさか実在しているとは。
これは面倒くさい事になったぞ、と思いつつ、まあトラの銅像も気になるのでひとまずおじさんの言う通り奥の方へ歩を進めたんですが、そこからおじさんの姿が見えなくなります。
あ、やっぱり、ただのちょっと話し好きのおじさんか、やっぱり今日日そんな輩はいないよな、とトラの銅像やら、やたら広い敷地の墓などを見物し、別ルートを辿って墓地のメインルートに戻ります。
戻った瞬間、おじさん再登場。
おじさん「トラの銅像はどうだった?じゃあついでだから俺がもっと案内してやるよ」
化けの皮を剥がしたな、おじさん。
まあしかし、我々とてそう易々と騙される訳もなく、当然私以外にも「自称ボランティア」に関しての注意書きの看板を見てる人もいると思ったし、さほど心配はせず、一体どんな手口で金品を要求してくるのか、逆に興味がわいてきまして。
で、その自称ボランティアおじさん、うまく騙せてるとでも思ったのか、墓に関しての色んな知識をべらべらと喋りつつ、敷地内をどんどん案内して行きます。
残念だったな、おじさん、俺たちはそう易々と騙されはしないんだよ。
もう切りのいい所で引き上げよう、と誰もがタイミングを計っていた、と思っていたんですが、私以外のメンバーが、やけに素直にそのおじさんの言う事に感動しているじゃないですか。
おじさん「ほら、この墓は○○石って言って、一個の石を削って作ってあるんだよ」
メンバー「へ〜、まじっ?うわっ、ほんとだ、凄い凄い」
あれ?
みんな、まさか気づいてないの?
このおじさんが我々を騙して金品を要求する輩だって、知らないの?
もし、私以外誰もその事態に気づいていないとなれば、状況は最悪です。
ミュージシャンと言う職種にいる人間と言うとは、必要以上にこの手の未知の物への興味を持っている物で、もしこのおじさんを「善意の案内人」という解釈で迎えているのなら、最後まで案内させたばかりか、場合によっては金品を要求された時にうっかり払ってしまうという可能性すら考えられます。
これはいかん。
そう思い、なんとか私以外のメンバーに「そいつは違うんだよ」と言う事を伝えようとしたんですが、まさかいきなりおじさんに「お前騙そうとしてるだろ」とも言えず、なんとかジェステャーで伝えようとするも、なかなか伝わらず、急にそわそわし出します。
すると、そのそわそわ感が伝わったのか、メンバーの一人が私を振り返ります。
メンバー「あら栄二、寒いの?大丈夫?」
と私を心配し出すメンバー。
むしろあなた達が心配なんですが。
そしてそのおじさん、大胆にも注意書きの看板の横を通ります。
私はチャンスとばかり、その看板の方を振り向き、ほら、書いてあるじゃない、こいつヤバいって、というジェスチャーを繰り返したんですが、尚も私を心配するばかりで自分自身の心配をする気配がありません。
あ〜もうなんて人がいいんだ。
ほんと、ミュージシャンと言うのは一旦信用すると何の疑いもなく信用する人間が多いと言う事を再認識し、とにかくどんな手でもこのおじさんから離れないと、とチャンスを伺います。
おじさんは「完全に俺の術中にハマった」とばかりに、どんどん饒舌になり、墓地の奥へ奥へと我々を率いて行きます。
これが詐欺の手なのか、そのおじさん、話し方も少しずつですが高圧的な感じになり、あたかも「今イニシアチブを取っているのは俺だ」というような立ち振る舞いに変化し、状況はいっそう悪くなります。
しかし、ここまでは「人のいいミュージシャンの信じ易い体質」と言う事が悪い方に傾いていた訳ですが、ややしばらくしてミュージシャンの別の体質が現れてきます。
基本的に、ミュージシャンって「熱しやすく冷めやすい」んですよ。
しかも、結構極端。
けして、このおじさんに疑いを持っていた訳ではない物の、墓自体に飽きがき始める人のいいミュージシャンたち。
まあベクトルは違うが、なんにしてもこのおじさんから離れたいという心理が共通な物になった事を感じ、私は思い切って「そろそろ行きませんか?」と切り出します。
メンバー「そうだな、喉乾いたもんな」
そして、心の底からそのおじさんに「いやわざわざありがとうございます」と頭を垂れるメンバー。
もうなんて人がいいんだ。
まあ、結局金品を要求される事は無かったので、果たして本当にそのおじさんが詐欺行為を働こうとしていたのか、今となっては確かめる術も無いんですが、まあ常識的に考えれば単純な善意だけで寒空の中を色々案内するとは考えづらいんですよね。
で、おじさんから離れ、私が「っていう看板があったから、多分奴は自称ボランティアですよ」と報告した所、案の定「えっ?ほんと?全然気がつかなかった」と。
挙げ句「いや、ひょっとしたら墓石屋さんとかで、ちょっとした営業の一環かと思ってた」と。
もう、ほんと、人が良すぎです。
そんな訳で、世の中、いい人も一杯いますが、多分悪い人も同じくらい一杯いると思われますので、注意して下さい。
で、そんな人のいいバンド、CDとか出ましたら、善意で一枚どうですか。 |
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