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3.オスカル・コルドバ氏との出会い


     

     コルドバ氏と 於杉山宅

ケーナ奏者、ケーナ製作家、おん年50歳。「グルーポ・アイマラ」初代メンバー、「エンクエントロ」(出会い)を日系2世のホルヘ・コモリ氏と作曲。

 ミュージシャンらしく、黒のジャケット、黒の皮のパンツ、サングラスと黒ずくめで、杉山宅に現れた。ウエーブした茶色の髪の毛とサングラスの横顔はスティーブ・マックィーンに似てかっこいい。お顔はスペイン系が強く彫りが深い。

 

コンサート(私のグループの初コンサート)のオープニングでエンクエントロを演奏すると言ったら、大変喜んでくれた。作曲のモチーフを尋ねると、例えれば、7年ぶりに旧友に会ったときの喜びの気持ち、人だけでなく、物との再会も同じ気持ちとなるが、そういう心の高まりを曲に託したという


どことなく、日本的なメロディーラインがあるが、共作者の日系2世の「ホルヘ・コモリ」さんのことも話してくれた。自分はミュージシャンとして音楽をやっていたが、彼は「趣味」として音楽をやっていた。今は演奏活動から遠ざかっていると。

20年使っているケーナを見せてくれた。2箇所の大きなヒビを修理してあるそれは、手油で紫色に輝き、ずしりと重くまるでエボナイトの管のようであった。彼は、それを肌身離さず持っていて、寝るときもベッドに入れているという。そうしてこそ、ケーナは「答え」てくれるし、ケーナとはそういう楽器だと、熱く語るのであった。

杉山宅を辞すとき、一緒に帰ろうということになった。タクシーを呼ぶのかなと思っていると、一流ミュージシャンはきさくに、「ミニブス」(ワンボックスの乗合路線ミニバス)で帰ろうという。

車中ギュウギュウ詰めになりながらも(ニッサンキャラバンになんと14人も乗るのだ)、サングラスと黒い皮の細身パンツの彼はどこまでも映画俳優のようにかっこ良く悠然としていた。やがて、我々のバス代も払って、「アディオス」(さよなら)といい、ラパスの雑踏に消えていったのだった。



※この稿 H14.9.9記す


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