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10.コロイコへの道とホセ パレハ氏

  

  コロイコへの道 インカ道を行く雰囲気

ボリビア入国2日目。高山病対策でコロイコへ行く。

 コロイコはボリビア版軽井沢だ。軽井沢には避暑に行くのだが、ラパスの人は「避寒」に行くと言うそうな。
 標高1200mの熱帯のそこは、真冬と言うのに暖かく、木々も生い茂り、空気もみずみずしい。山もなだらか、植物もオオバコ、ミヨウガに似たものがあり、僕は奥多摩を思い出していた。




                        
ラベンダーに似た高山植物
 
 その雰囲気は日本を思いホームシックにかかるには十分なシュチュエィションであった。

 僕は、買ったばかりのキルキンチョのチャランゴを静かに弾き、自分をなぐさめた。



コロイコの町から離れた山の山腹に、チャランギスタ ホセ パレハ氏が住んでいる。 今は全てのグループを離れ、ドイツ人の奥さんとお子さんと、静かに暮らしていた。 
自分で建てた家、その前には畑、裏には炭焼き釜のようなパンを焼く釜、そしてオレンジの木があり、まさしく僕が思い描く山の工房そのものの世界である。

 彼はオレンジを山ほど出してくれ、チャランゴを弾いてくれた。杉山さんのポトシ風チャランゴが続き、T君はコンドルを弾いた。T君のチャランゴをホセはナイスといった風に頷いた。



孤高のチャランギスタ
ホセ パレハ氏

 
ホセの家に行く前に、山の中の集落を散策した。小さな小学校、小さなお店、コカ畑がある。山肌の道を歩いていると少女と出あった。その子は裸足であった。お菓子でも上げようかと思ったがあいにく持ち合わせていなかった。その後キャンディーを持ち歩くようにしたがとうとう渡すシーンはやって来なかった。
 

 コロイコへの道は断崖絶壁の道を行く、それこそ「死の谷」の道だ。道路を整備するお金が無いのだろう、山腹を削っただけの道は、ガードレールや擁壁がない。すれ違いがやっとの道の路肩は常に崩れ、そこを観光バス、大型トラックが飛ばす。道のいたるところに十字架が建てられ、転落事故が後をたたない言う。

 その帰り道、オスカルの運転するトヨタの4WDワンボックスがオーバーヒートした。しばらくエンジンルームに手を入れていたオスカルは、どこかへ消えた。暫くすると、泥水が入ったペットボトルを持って現れ、それをラジエターに入れた。僕はこの人気の無い山道で野宿を覚悟した。杉山さんは後ろで高いびき。

                  左から杉山氏、運転役のオスカル氏、T君

 だましだまし出発出来た時には、正直ほっとした。
後で杉山さんに聞くと、そういう水を入れるのは普通だといっていて、2度ビックリ。また、オスカルはプロのドライバーだとのこと。
 
 TVロケで田中 健を乗せたことがあったそうだ。後ろで、ケーナをピーピーと吹いてうるさく、「彼は日本では有名なのか」と聞いていた。





この稿 H14年11月1日完稿

 

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