「変化を楽しむ」
イングリッシュローズの鑑賞における楽しみの1つとして、「変化」がある。このことに関しては、様々な視点が考えられるが、最も身近で感じられる変化は、色であろう。さらには、外気温の変化に伴う色変化と花が咲き進むのにつれて移ろう色変化とに分けられ、品種によっては、淡くなる色変化が哀愁を想起させることもあれば、カタログにはない新たな魅力を垣間見ることもある。
もう1つ重要な変化としては、香りの変遷が挙げられるだろう。特に、複数の系統がミックスした品種では、これを感知しやすい。例えば、「ゴールデン・セレブレーション」は、ティーの強香種として咲きはじめ、後にフルーツ香を増していく。「セント・セシリア」でも似たような現象があり、同じフルーツ香の系統でも、咲きはじめと凋花に近い状態とでは、強く感知される成分が異なっている。
最新作では、「ティー・クリッパー」が、色と香りの変化の大きい品種として、その魅力を存分に発揮していると言えるだろう。色変化もさることながら、この品種の大きな特徴である香りの変化が印象的である。ある日、咲き始めたばかりの花に鼻先を近づけると、強いフルーツ香が感知できていた。この翌日に同様のことを行うと、今度は純度の高いミルラ香が強く感知されるようになった。日々ダイナミックな変化を遂げていく様は、他系統の品種ではあまり見られないものであり、貴重であると思う。
たまたま酷暑の中で咲いてしまった一輪を見つけた時。潔く良花を諦めて、摘み取ってしまう選択肢もあるだろうが、花の意思を尊重して咲かせてみるのも悪くはない。冷涼期とは異なる一面を見られる可能性が高く、ことさら、変化に関しては、存分に楽しめるからである。

強い四季咲性を有するがうえに、酷暑の中でも花をつけてしまう「ティー・クリッパー」。
この生命力に敬意を表する意味でも、摘み取るのが躊躇われてしまう。
このページを閉じる ホームページに戻る