「白いバラが美しい季節」
識者(参考文献)によると、バラの評価には国民性が現れるという。例えば、イギリス人はバラの芳香を重視し、フランス人やイタリア人は、イギリス人が大して問題にしない葉や茎の美しさにもこだわる。また、色に関して、ドイツ人は赤いバラを好み、アメリカ人はピンクのバラを好む傾向が強いという。そして、私自身がそうであるように、日本人は欧米人があまり好まない白いバラを大切にする。
秋のバラは美しい。色合いが深まり、しかも花弁の開き方が緩徐となるので、開花していく様を長期間鑑賞することができる。どのバラも咲けば皆それぞれ美しいのだが、初秋においては、とりわけ白バラの透明感が際立っている。
季節による色変化が少ない白バラが、秋に美しく見える理由として、私は2点を挙げてみたい。
まず1点目は、気候の安定である。10月初旬の関東地方は、最高気温25℃前後とバラの生育に適した状態で連日のように好天が続く。概して、白バラは雨に打たれると、花弁にシミができやすく、鑑賞面で大きなマイナスとなるのだが、秋に関してはその心配が少ない。
2点目としては、白バラが陽光を映す鏡になっているという私見を述べさせて頂きたい。私は、同じ白でも、初夏の白と初秋の白は異なると感じている。特に、アイスバーグを見ていると、陽光の変化による白の変化が感知しやすい。初夏は鮮やかで非常に濃い白なのが、初秋になると透明感を増した落ち着いた白になる。つまり、アイスバーグの白が、陽光を映しているような感じなのである。
白バラは所詮白に変わりないのだが、陽光の変化に最も敏感に反応し、それを見事に映し出しているように思えてならない。


秋の陽光を映すように、落ち着きと透明感を増した白バラ達。
写真左:アイスバーグ 写真右:フェア・ビアンカ
<参考文献>
唐鎌直義「バラの美の多様性を」 「バラ名人が選ぶバラ100花」(淡交社刊)p.84-85
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