−第十五号−
平成二十一年一月三十日
発行 精神障害者共同作業所草加物産企画
編集 染谷
〒340-0044 草加市花栗1-23-4
TEL/FAX 048-942-6822
HP http://www2.tbb.t-com.ne.jp/sbk/
E-mail sbk@tbn.t-com.ne.jp
先日テレビで「トロッコ問題」が取り上げられていました。トロッコ問題とは倫理学者のフィリッパ・フット(Philippa Foot)が考えた思考実験です。
『線路上を走っていたトロッコが制御不能になり、このまま走っていくと線路上で動けなくなっている5人が轢かれてしまいます。あなたは今切り換えポイントの前にいてトロッコを別の線路に引き込むことが出来ますが、その引き込んだ先の線路上にも1人が動けなくなっているため、切り換えると今度はその人が轢かれてしまいます。線路を切り換え、1人を犠牲にして5人を救うか、それとも何もせず5人を見殺しにするか、あなたならどちらを選びますか』という内容です。
この問題のポイントは「5人を助けるのか、それとも1人を助けるのか」という所ではありません。年齢、性別、自分との関係性、社会的地位、国籍、人格などの個別要素が示されていない以上、1人よりは5人を助けようとするのが明らかだからです。問題は「5人を助けるためには切り換えポイントのレバーを切り換えるという積極的行為によって、自分が何もしなければ死なずに済んだ1人の命を奪うことになってしまう」というところです。これは言い換えれば「積極的に1人の命を奪う」ということです。これに対し、「何もしないという消極的行為は5人の命を奪う」ことになります。一体どちらを選ぶのが良いのでしょうか。
功利主義の考えに基づけば、5人を助けるために1人を犠牲にするのは止むを得ないことだと言えます。善悪は社会全体の効用によって決定されるからです。しかし、そんな単純に割り切れる問題ではないと思います。誰しも人の死に積極的に(1ページの続きです)関わりたいとは思わないからです。表紙のイラスト(右側)のように、レバーを切り換えるのではなく橋の上に立っている人を突き落とすことによって5人を救う場合、その思いはより顕著になります。5人を救うためとはいえ、橋から人を突き落とすことには抵抗があると思います。結局、どちらを選ぶにしても何らかの判断基準が必要になりますが、全員が納得できる基準はあるのでしょうか。
さて、現実はもっと複雑です。当作業所においては「あの人がいるから作業所に行けない」という問題が何度かありました。話し合いで解決できる場合は良いのですが、双方の言い分が噛み合わず、話し合いでは解決できないこともあり、その場合、結局どちらか一方又は双方が作業所を離れていくことになりました。なかには一人のために複数の人が困っている事例もありました。「数が多いほうを救済する」というのでは数の暴力です。やはりそこには別の判断基準が必要になります。当作業所には『みんなで創る地域と作業所』『個人の主体性の尊重と相互支援(連帯)』『地域交流と貢献』という理念があります。何か問題が起きたときはそこに立ち返るようにしています。それでも作業所の役割や地域性などを考えると、色々と限界を感じずにはいられない今日この頃です。
利用者の伝言板
A.W
8月25日にスクーリングでのせんべい販売に行きました。自分としては今回の販売は2回目で前回は販売の時間内にすぐに完売したのですが、今回はなかなか売れず時間がすぐにすぎてしまい、完売できるか心配でしたが、勇気を出して精一杯の呼び込みをして時間内に完売できました。ちなみに日福のスタッフの人に呼び込みが上手だと褒められ嬉しかったです。
C.N
8月25日に高田馬場にある日福へおせんべいの営業販売へ行きました。通信の学生さんのスクーリングのお昼休みを利用しての販売です。2枚1組のせんべいを126セット用意しました。前年度も営業へ行ったので、今回も完売すると良いなと思いながら売りました。学生さんたちにおすすめのおせんべいや、人気のおせんべいを説明したら、快く買ってもらえたので嬉しかったです。それに、前に草加物産企画で実習に来ていた学生さんに何人か再会できて、会話できて良かったのと、資格を頑張って取ってほしいと思いました。せんべいの売れ行きはあまり良くなく、全部売れないかもしれないと不安でしたが、なんとか完売することができてホッと安心しました。
C.N
水上卓也
日本に来てからテレビが面白くなりましてよくテレビを見るようになりました。特にプロ野球が好きでした。巨人ファンになりまして巨人戦はほとんど欠かさず見てました。巨人ファンになってから巨人ファンでなくなって、巨人が優勝するのでつまらなかったです。
巨人ファンの次にオリックスブレーブスのファンになりました。石嶺と門田が特にファンの選手でした。でもオリックスブレーブスのファンの時は優勝は一度もできませんでしたので残念でした。オリックスブルーウェイブに名前が変わった時にはファンにならなかったですけど2度もオリックスが優勝をして一度巨人戦は日本一になりましたけどぜんぜんうれしくなかったです。
中屋和枝
今日(11月16日)は福祉まつりの日です。朝目覚ましをかけておいたのに起きれなかった。厚子さんにおにぎりを作ってもらって自転車に乗りイトーヨーカ堂の前マデ行くと、すずなりの皆さんが元気良く売り子をやっていました。私も野菜売りに、沢田さん、家族会の皆さんとがんばって売りました。小雨の降る中、重たい大根を買ってくれたり、お米を買ってくれたり嬉しかったです。長島さんにも会えて良かったです。昨年の福祉まつりはすずなりから、今年は草加物産からと、来年もがんばって売ります。
M・N
9月30日初めて作業所の仕事に着きました。すごく「どんなところだろう」という意識が強かったです。何もかもが初めてで難しい事もあるけれど頑張っていけたらと感じています。
仁科安彦
初めて、せんべいを買いました。とうがらしとえび入りです。とても美味しそうで楽しみです。
若松和秀
10月21日
今週からは火曜日が作業所の通所に当たるからがんばります。ポスティングにはもってこいの週です
山田和枝
中屋和枝から山田和枝になって、三年半中屋を名乗って急に山田となるのにずいぶん悩んだり、中屋が良いと思っていたのですが山田に成り、子供と別になり悩んでいます。もう中屋には戻ることはなく、一生山田となる訳ですから、気持ちを引きしめて行動したいと思います。今まで中屋を応援してくれた人達も山田に成ってもよろしくお願いします。
T.M
僕は草加物産企画に登録に来てから2年と3ヶ月になりましたのですけど、だんだん年をとってきましたので内職ですとかセット作りですとかおせんべいの仕入れと販売ですとか作業時間集計表作成ですとか事務ですとか買い物などとか一年ぐらい前に新しくはいってきたポスティングは年をとってきてもわりと簡単にできる仕事ですので良かったです。
山田和枝
お正月
平成21年元旦、実家に行き、墓参りに行き、草加に帰ってきて、いつも寄るお店に寄り、良いスタートを切った今年、良い年である事を祈ります。皆さんも良い年であります様に。
実習生から一言
実習生 児森進吾
初めての実習で、すごく緊張していましたが、メンバーの皆さんや染谷所長が本当に本当にあたたかく迎えてくださり、とても居心地が良く感じました。あっという間の5日間、皆さんと一緒に「生活」を共有することができて、とても楽しかったです。精神障がいのこと、福祉のこと、地域のこと、施設のこと。まだまだ勉強しなければならないことはたくさんありますが、皆さんに教えていただいたことを糧にして、これからも頑張っていきたいと思います。ありがとうございました!
喜納千瑛
今まで5日間実習を通して1番感じた事は、無知だということです。福祉の専門へ通い、精神の病気の勉強をしているのにも関わらず知らない事ばかりでした。
確実に甘えがあるからだと思いました。その他にも接してみなければ知ることが出来なかったこともありました。知らない事ばっかりの慣れない環境だったので不安でしたが、優しい方ばかりだったので時間が経つのが凄く早く感じました。5日間という短い期間でしたが、とても貴重な経験をさせて頂きました。どうもありがとうございました。
実習生 前田
フロンティア、さかの医院、草加物産企画と3ヶ所で実習をさせて頂きました。3ヶ所それぞれは短い期間だったのですが、ほとんど毎日新しいことがあり、その度に職員の方やメンバーの皆さんに色々と教えて頂き、お世話になりました。短い期間とはいえ、3つの現場で経験したこと、学んだこと、感じたことは非常に貴重なものであり、自分の糧になると思っています。本当にありがとうございました。
日本福祉教育専門学校 川村英樹
1週間来てみて、いろんな経験をさせていただきました。利用者の皆さんからの立場の意見を聞かせてもらったり、行動したことで、感じることがたくさんありました。施設長でありPSWの染谷さんには、常に丁寧にいろんなことを教えていただき、自分が質問したことに対して親切に対応していただきました。一人で施設を動かし、いろんな所に目を配っていたのでとてもスゴイと思いました。自分は、人間的に素晴らしい人だと思いました。初めは少し緊張していて、最後の日まで少し緊張するぐらいだったのですが、そのぐらい尊敬できる人だと思いました。何か熱い気持ちが伝わりました。ホントにありがとうございました。
「草加物産企画」「フロンティア」の実習観想 日本福祉教育専門学校 短期通信過程 鈴木美佐子
短い実習期間でしたが、メンバー・スタッフの方々のほうが、実習生慣れしていたこともあり、先に声をかけていただいたりして、話し易い雰囲気でした。そのため、精神保健福祉の実習というよりも、内職や喫茶の実習に来ているような気分になってしまいました。丁寧に内職のやり方を教えていただいたり、作業を他の方に伝えるという大切なこともしっかり実施されていたりで、日常生活で忘れがちなことも振返ることができました。
どちらの施設も本来の目的である「通過する処」として、安定した運営の継続の手伝いの一つとして何かできることがあればということを、今一番、感じています。10月26日のBBQ交流会は、模擬試験の手伝いの予定があって参加できませんが、今後、ボランティア等として何か参加できることがあれば、声かけをしていただければと思います。
メンバー・スタッフの皆さま、どうもありがとうございました。
実習を終えて 北川 洋子
6日間の実習期間、お世話になりました。
すぐに、名前でよびかけてもらったことや、病気のことをはじめ、いろいろ経験されたことを話して下さったことを、うれしく思いました。
チラシの折込みやポスティング、菓子箱の組み立て内職などの作業も、初めてでしたので興味深く楽しませていただきました。京成線始発駅から通ったことも、雨の中歩いたことも、きっと後から懐かしくなると思っています。
実習期間中、私事で悲しいことがありました。一緒に勉強した友人が子どもを残し、がんで亡くなりました。ちょうどそんな時だったので、この病気のつらさを他の病気と比べて伝えようとしてくれた人に、「どの病気だって当人にとってはつらく悲しいはず。」と答えてしまいました。きっと病気でない人にはわからないだろうと思われたことでしょう。いろいろ話してくださったことは、資格を取ることだけでなく、これからの人との関わりの中で活かしていきたいと思っています。短い期間の実習でしたが、いろいろ学ぶことが多くありました。ありがとうございました。
編集後記
今回も発行がだいぶ滞ってしまいました。今年の目標は『早寝早起き』です。(染谷)