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はじめに

 

 今年の1月、「強迫症の病態と原因」をホームペーズにUPしました。それに続くのが今回のチック(トゥレット症)の病態論です。


 強迫症とチック症の合併者は多いことから、強迫症と共通の神経基盤があることが予想され、「病態解明もわりと簡単なんだろう」と思ったことから始めたことです。

 ところがこの予想は見事に外れ、かなりの難問であることがすぐに気づきました。統合失調症のNMDA受容体や強迫症のCSTC回路のような、とっかかりが全くないのです。分かっているのは、「大脳基底核のドパミン機能に何らかの不具合が生じているのだろう」という漠然とした内容です。


 これは無理かなと思う日々が続きましたが、ある時、ある学者のこんな文章が目に入りました。「一生懸命物を考えている時、熊が急に部屋に入ってきてびっくりして、考えごとどころではなかった」 何を知りたくてその論文を検索したのかは思い出せません。コピーもしませんでした。

普通ならそれで忘れてしまうことなのですが、熊というフレーズと場面設定の以外性が頭にずっと残っていました。


 それから10日位たったある日、そろそろ寝ようかと思っていた時、「熊じゃなくてスズメバチだったらどうなのだろうか」と急に脈絡のないイメージが沸いてきました。そしてその瞬間にチック発症のメカニズムが閃いたのです。


 さて前口上はこのへんにします。私の唱えるのはチック発症の2段階仮説です。 とくにかく最後まで読んでみて、この仮説に整合性があるかどうか確認して下さい。その上で少しは可能性があると感じていただいたら、この上もない喜びです

                                                                       
                                      2024年3月