幕末の借金地獄の薩摩藩に突如現れ、200年間たまっていた500万両の借金を、たった一代で収拾つけてしまった奇跡の返済家老・調所笑左衛門広郷を描く伝記。奇抜な発想と型破りで、ときに邪道ともとれるイカサマ作戦で藩の財政改革を推し進め、維新の雄藩たる薩摩を作り上げた経済家老の活躍を描いた。この作品は珍しく悲劇ではなく喜劇調の作品。調所の最後はまさに悲劇的なもので、そこを描きたいという欲は充分にあったが、悲劇でない作品も作ることが必要だと思い、珍しくその人物の死を描かない作品となった。調所が時代に捨てられていく後半生を描いたらとてつもなく重い作品になったであろう。経済的側面から歴史を描いた異色漫画。 30P
★ストーリー解説★
薩摩の国は徳川幕府の政策により、借金を増やすしくみにされていた。借金に苦しむ薩摩の武士団の声を聞き、登場したのが調所広郷であった。調所は刀をそろばんに持ち替えて、金の力で関ヶ原の仇を討つという。調所は保守的で矛盾だらけの藩構造を真っ向から批判して、その構造改革に挑む。ニセ金鋳造や密貿易など、幕府をくったような奇抜な財政改革をおしすすめ、薩摩の借金を返済させることに成功したのであった。借金返済が国を救う唯一の道と信じて疑わない調所の活躍は、後に維新で活躍する雄藩薩摩を作り上げたのであった。 |