武田信玄とその息子・武田義信の対立事件をモデルに、ギリシャ悲劇「オイディプス王」やシェイクスピアの歴史悲劇「マクベス」のコンセプトをとり込んで制作した歴史悲劇。父と息子は何故に対立するのか?血はくり返してしまうものなのか?親の短所は子が受け継いでいかねばならないのか?そしてその運命から人は逃れることはできるのだろうか?様々な人類のテーマに挑んだ意欲作。50P
★ストーリー解説★
戦国時代。武田信玄は父から国を乗っ取り領主の座についた。後ろめたい気持ちの信玄に予言者は「血はくり返すから、お前もやがて子に国を乗っ取られるだろう」と、警告される。信玄は子を叛くことのないように愛情をもって育てるが、複雑に絡み合う周囲の人間の欲望と時勢が、不本意ながら子・義信との溝を深めていってしまう。理想主義を主張する若い義信と、現実主義の信玄はおたがい理解しようとしながらも、しだいに対立していってしまう。悲劇がくり返されることを恐れた忠臣・飯富虎昌は、自分が死ぬことでこの因縁を断ちきろうとし、反乱軍を率いて、その責任をとって自害した。知らず知らずのうちに、自分が嫌悪する父に似ていくことを恐れる義信。義信は事件のいきさつを知り、自分が死ぬことで因縁を断ちきり、予言から逃れる道を選ぶ。義信の自己犠牲によって、武田の因縁は断ち斬られたのであった。 |