四海困窮の続編で陽明学3部作の第2弾。今回の主役は桜田門外の変において、ただ一人他藩から参加した薩摩藩士 有村次左衛門である。「桜田門外の変」はどうしても水戸藩中心の事件であり、その流れから関 鉄之介を主役に据えた作品が多く、薩摩藩の視点から描いたドラマは以外に少ない。取り分け個人的に興味をそそっていたゲスト剣士である有村兄弟に脚光を浴びせ、前回の大塩平八郎から継続される「行動的美学論」というテーマを描いた。主観カメラを試みる為に主役の顔が登場しない実験的な作品に挑戦したのだが、その結果「作品を描いていて面白く無い」という根本的な問題にぶち当たってしまったため、制作意欲が弱くなり、結果1年の完成延期という問題を発生してしまった作品。その他もバトルシーンの表現等、実験的な部分が多い。31P
★ストーリー解説★
黒船来航から安政の大獄を経て、井伊直弼の独裁は日に日に強くなっていた。正式な手続きを得ずに開国した井伊に対して水戸藩の怒りは爆発する。そんな中、水戸と同盟関係にあった薩摩藩は藩の事情で同時決起案が修正されてしまう。江戸において水戸藩との交渉で薩摩の代表的立場にあった有村雄助と次左衛門の兄弟は、これをどう切り抜けるかを悩んでいた。井伊打倒の目標は同じながらも、それぞれの思惑が交錯する…。 |