今思えばこれが初の実在人物の伝記漫画だった。もちろん描くからにはそのままでは面白くないので七実三虚の史実を踏まえたフィクションであるが、歴史資料の空白を想像で埋め直した現実味のある歴史伝記である。個人的に尊敬する人物であり、現在の時代でも充分活用されている「兵法」を確立した孫子の伝記物語である。史記を自分なりに解釈し、少年時代の孫子を描いた。この作品から大人向けの作風に移っていく。31P
★ストーリー解説★
中国は春秋の時代、呉と楚は争いを続けていた。呉のゴシショはある日、天才的兵法で難関を切りぬけ自分の村を守った孫武という少年を発掘する。農民出身の孫武は同じ呉の将軍で王の親族であるショウキの嫌がらせを受けながらも王のもとで兵法の講義をする。その理論は迷信や既存の価値観を否定する「計算の上の勝利」つまり兵法であった。理解をしめさない周囲の重臣に反対されながらも、孫武は味方の勝利のために兵法を実行にうつす。ライバルのショウキは戦のさなか呉を裏切り王は絶体絶命となる。しかし孫武の機転でこれをきりぬけ、逆転勝利をしたのであった。 |