第三回 俺が呂布だ! 徐州争奪戦〜呂布の死

 今回登場する英雄達-------


呂布(リョフ) 三国志最強の武将。馬術と武術の達人。
頭が悪いというのがもっぱらの評判だが、
ただ単に他人に騙されやすい純粋な人だったのかも。その個性ゆえに人気は高い。

陳宮(チンキュウ) 初期曹操軍団の参謀だったが、
曹操のやり方に意見対立し、
呂布を操って中国大陸の台風の目となる。

孫策(ソンサク) 父・孫堅の非業の死を乗り越えて、
南の江東に一大勢力を作る若将軍。
孫権は彼の弟。




 さあ〜て、さてさて、徐州陥落・劉備軍滅亡かと思われたその時!曹操の背後を襲ったものがあった!ベベン!その男とはい〜か〜な〜る〜者か〜?何を隠そう呂布であります!呂布は武勇一辺倒の筋肉馬鹿。「ああいうやつはほっときゃ自滅するだろう」曹操は野放しにしていて放置プレー、ノーマークだったのだ〜

 しかしこの”霊長類ヒト科最強の男”を操るビーストマスター(飼い主)が登場した。その男の名は陳宮。かつて曹操の親友であり、参謀だった男である。この男は曹操のやり方にアンチテーゼをだし、反曹操に生きることを誓った男である。巨人に対する阪神・・・ 曹操に対する陳宮・・・ 呂布の馬鹿力に陳宮の頭脳が加われば鬼に金棒、最強タッグの結成である。

 「見ろ!曹操が退いていく・・・」曹操はこの最強タッグの登場によって徐州の劉備どころではなくなり引き上げたのであります。結果的に劉備は呂布に命を救われたことになった・・・ さてさて、呂布は中国大陸の台風の目となり好き放題に〜暴れまくる。曹操も時には呂布に負けることさえあり、袁術や劉備も呂布にビビリまくっていた・・・ その結果。みんなであの大量破壊兵器を倒そうじゃないかというユニオンがもちあがるのである。オヤジ殺し、無節操、ノリで動く、だけど最強・・・ 最強の武人・呂布は戦場に立つ度に兵士達から伝説となる一方で、野心あるものたちからは煙たがられていったのであ〜る。悲劇といえば悲劇の人よ!さすらい将軍どこへ行く〜! 

 ここでザッと中国大陸をみてみよう(今が一番複雑な時代であるので・・・)曹操は董卓死後の都から逃げてきた皇帝をかくまい、それを利用して自分の都合のいいようにことを運ぶ。袁術は皇帝になりたかったから自称皇帝になる(世間から大ひんしゅく)。対抗する兄貴・袁紹は北で戦争に明け暮れる。南のほうで孫堅の後を継いだ孫策は友達の天才エリート二枚目軍師・周瑜と組んで怒涛の領土拡大をして呉の国に一大勢力を持つようになっています。あ、そうそう、我らが劉備はあの後どうなったかといえば、徐州を呂布に乗っ取られて今は曹操の配下になっております・・・(げんなり・・・)

 「あんな危なくて個性的な奴がいたら三国志の物語が落着いて読めん・・・っていうか俺たちがキャラ食われて活躍できん・・・」劉備と曹操は呂布打倒という点では共通していたので、手を取り合って呂布を包囲します。(ちなみにニセの皇帝・袁術はこの時点で世間から干されています。記憶から消してください。自滅していくだけとなりました・・・)曹操の知略の前にさしもの呂布の伝説も陰りが見えてきます。戦いでかなわないことを知っている曹操は、呂布の城を水攻めにして、長い間包囲したのでありました。

 包囲された呂布はしだいにその精神的弱さを露見させます。「酒に女に親殺し・・・ 笑いたけりゃあ笑うがいいさ・・・ 我が生涯一片の悔いなし!」あわれ最期は陳宮とも仲間割れしてしまい、部下に裏切られてその人生に幕を降ろしました・・・ 裏切り男の最期は部下に裏切られて終わったのです・・・ 因果よの〜 陳宮は曹操に殺されましたが、曹操は陳宮の家族を一生面倒みてあげたというから、二人は敵味方で争っていましたが、奇妙な友情で結ばれていたのでしょうね。泣ける話じゃ〜ね〜かい、え? ところで例の貂蝉はこの後どうなったのか・・・ 彼女の行方はわからぬまま・・・

 ちなみに呂布が最期に残した言葉「曹操!そこにいる劉備が一番信用できねえ人間だ!気をつけろ!」・・・う〜ん・・・ 呂布が言うだけに重みがありますね〜。(しかも劉備、反論できず・・・)

 呂布の死は三国志前半の終わりを物語っています。時代は今や個人武力の時代から、組織戦争の時代へ!董卓・呂布・袁術がいなくなった今、天下は曹操と袁紹の二大勢力とあいなりました!劉備はどうした?次回は出番が少ないゾ!おまえはあと八年はこらえるんだ!

 ベベン!さあさあ、曹操と袁紹、いよいよ天下取りレースは絞られてまいりました。果たして天下はど〜ちらのものに?決戦7万対70万!十分の一勢力のベンチャー軍団・曹操が大企業・袁紹軍団に果たしてどう挑むのか?そして劉備に出番はあるのか?それは次回のお楽しみ!