『越前の誕生日を兼ねて、クリスマスパーティーをしよう!』
誰からとも無く出た言葉に、いつものメンツはすぐ集まった。
……あの人は除いて……
クリスマスイブ。
こんな日に好き好んで寿司を食べる人は少ないのか
“かわむらすし”の貸切はなんなく了承を得られた。
「ほらほら越前!お前の席はここだよ!主役なんだから、真ん中にどーんと座ってろよ!」
皆に祝って貰えるのは嬉しいけど、正直照れ臭い。
「越前。これ、誕生日プレゼント。喜んでもらえると嬉しいんだけど…」
皆でお金を出し合って、わざわざ俺に買ってきてくれたらしい。
「そんな、気を使わなくてもいいのに……嬉しいッス。」
河村先輩の親父さんがこの日の為に作ってくれた“特製ちらし”もめちゃくちゃ旨かったし、
“乾汁”の罰ゲーム付きのゲームもすごく盛り上がったんだけど…
「…越前、クリスマスイブなのにいつもと変わらないものしか出せなくてごめんなι」
「…え?そんな事全然ないッスよ!めちゃくちゃ旨かったッスよ?
河村先輩の方こそ、わざわざ貸切にして貰っちゃってスンマセンでした。」
「よかったぁ。なんだか越前、元気無かったから‥折角の誕生日なのに、うちなんかで
つまらなかったんじゃないのかなって思ってさ。」
「 ………。 」
自分では、結構ポーカーフェイスな方だと思ってた。
なのに河村先輩に心配かけるほど、顔に出てたのかな…?
「……俺もまだまだだね…。」
そんな事を思いながら家路に着いた。
「おぅ!リョ―マ!パーティーは楽しかったかよ?」
「 ……ん。」
「我が家でもケーキ用意しといたんだゼ?食っとけよ!?」
「明日食べる。」
「なんだぁ?あいつ。不機嫌面しやがって。」
こんなに女々しい気分になるなんて思ってもみなかった。
“もしこの場にあの人がいたらどんな言葉を発していただろう…“
“きっとあの人も美味しそうに食べるんだろうか…”
“…あの人も笑ってくれるかな…
”
あの人を想う気持ちで、自分が支配される……。
馬鹿馬鹿しい。
そんな自分に嫌気がさす。
でも… やっぱり…
「……一番、あんたに祝って欲しいよ…。」
その瞬間……
窓の外に目を奪われた…。自分の目を疑った。
心臓が張り裂けそうなほど、ドクンと高鳴った…
バン!
すぐさま家を飛び出し、気が付けば俺は、息を切らしてる、あの人の目の前に立っていた。
「……越……前……」
「部長…!?なんでこんな所にいるんスか!?」
「これを…渡しに……。」
ここまで息を切らしてる部長はあまり見た事がない…。
そっと出された手には、プレゼントがしっかり握られていた。
本当は、プレゼントなんかより部長に会えた事が…何よりうれしくて…。
「…部長、もう少しかっこよく渡してくれない?そんなに……息切らしちゃってさ…」
「 ……… 」
「…え?…」
不意に腕を摑まれたと思ったら、俺は部長の腕の中に包まれてた…
「なんとか十二時に間に合って良かった……越前、誕生日おめでとう……」
「………ありがとう……」
リハビリ中とは思えない位、強く抱きしめられる。
部長の鼓動が聞こえる…。
今、俺がどんな顔をしてるのか…想像しただけで恥ずかしい。
「……しばらく…こうしてていいッスか…?」
「…ああ……。」
部長に、こんな顔見られたくないから…部長の胸に顔を押し当ててしばらく抱き合った。
ここが自分の家の前だという事も忘れて…。
「…越前、少し見ない間に、身長伸びたんじゃないか?」
「……最近計ってないから…解んないッス…」
「…よく、顔を見せてくれないか?」
「……ヤだ。…まだこうしてたい。」
「……そうか…」
後日、部長から聞いた話によると、
医師から自宅へ帰る許可が下りたので、二十四日に合わせて戻って来たらしい。
…部長も結構やるじゃん。
次の日、青学のメンバーは部長の姿に、大騒ぎして“部長の帰還パーティー”をしたのは、
言うまでも無い。
完
> 昨年作って身内に配った本の中身です。
昨年「早く帰って来いよ~国光~;」という思いで作ったのですが、
今年は原作で本当に帰ってきたので、ちゃんと成立してよかったです!
~Happy MerryX'mas~