★共通仕様(スペシャル・エディション及びスペシャル・エディション・デラックスセット)

★対物レンズ:アクロマート 有効径:70mm 焦点距離:700mm 

★付属品/高品質接眼レンズ:K20mm(35倍)・Or6mm(117倍)・6X30ファイン          ダー・高品質天頂プリズム・ワンタッチアルミ三脚・星座早見盤・アクセサリートレー・取扱説明書・メーカー保証書(お買上げから1年間)。赤文字は通常モデルから入れ替えを行ったり、付加したパーツ類です。

★重量4.2キロ

★スペシャル・エディション・デラックスセットは上記にプラスして、天体観測図鑑(河出書房新社刊)、精密月面図(ポスター)がセットになったギフト性の高いモデルとして設定しました。

★対象年齢は、10歳から12歳以上を想定しています。もちろん大人の補助があれば、小学校低学年でも操作はできます。極めてきちんと作られていますので、大人の入門機や上級者のサブ機としても最適です。

 この望遠鏡は、星を気軽に見たいという人や、これから星を望遠鏡で見てみたいという人にとって最適な一台となるようにメーカーで詳細を検討され、初心者や小学生にとって使いやすい機種とは何かという点を考えて注意深く作られた望遠鏡です。さらに、私が付属のパーツ類を見直し、吟味した高品質なパーツへの入れ替えをミザールさんや星の手帖社阿部昭氏の協力のもと行い、初心者用として安心して使える望遠鏡を目指しました。今回ついにこのような形で私の考えが(一部ですが)具現化しましたのも、関係各社のご尽力及び本当に多くの方からの応援のおかげです。謹んで御礼申し上げます。また高倍率だけを謳った望遠鏡があふれる昨今、「本当は良い製品を提供したい」というメーカー側の切なる願いがこれほどまでに強いとは思いもしなかった。ということを申し上げておきます。

同価格帯の入門機に比べ、下記の点で圧倒的に優れております。

望遠鏡を支え、また望遠鏡の向きを制御する経緯台が上下・水平方向とも全周微動となっているK型経緯台を採用しています。この経緯台はガタや遊びも少なく、優秀な設計で丁寧に作られ、日本で手に入る小型望遠鏡向けの経緯台としては間違いなくNo.1と言える経緯台であると断言します。他の入門機がか細い三脚に貧弱なフォーク式部分微動経緯台を使用し、目標とする星にまともに向けることも困難で使用に耐えない貧弱な経緯台を使用する中、K型経緯台は、メカ部分が堅牢且つ精密に作られており、星を見ている際に視野のブレや振動がよく抑えられて快適かつ安定した観測ができます。

また、接眼部は31.7mmサイズの豊富なオプションの取付ができるドロチューブ直径が太いアメリカンサイズとなっています。

また、スペシャル・エディションでは、望遠鏡の光学系で半分のウェイトを占めると言われる、接眼側の光学系を見直し、通常モデルに付属しているハイゲンス式のコーティングなしのアイピースを高倍率側をOr(オルソスコピック)6mmとし、低倍率側をK(ケルナー式)20mmという入門機としては極めて贅沢な高級アイピースにリプレースいたしました。また、天頂プリズムも従来品はプラスチック製の天頂ミラーですが、高倍率での観察時にも安心な高精度の天頂プリズムにリプレースしております。この接眼部の光学系を高品質なものに替えたことで、従来品では全く見えなかった土星のカッシーニの空隙が見えるようになったことを書き加えておきます。

  上の写真はクリックすると拡大して見やすくなります。

鏡筒部

口径70mmのアクロマート対物レンズが使用されています。この鏡筒は中国製ですが、レンズは日本製のレンズ研磨機で研磨され、日本製のコーティングマシンでレンズ表面に良質な単層コートが施されています。また鏡筒内部も丁寧な艶消し塗装が施されています。こうした見えない部分も手を抜かない作りは非常に好感が持てます。通常の入門機は口径60mmですが、それらに比べるとレンズの口径が10mm大きくなります。これにより口径60mmの望遠鏡より36%も大きな集光力が得られ、解像力も向上しました。土星や木星などの惑星を見る際もより明るく、ワンランク上の見え味を実現しました。

接眼部

通常、入門機の接眼レンズの差込径は24.5mmですが、MT-70Rは31.7mmの差込径となっていて、現在主流となっている31.7mm差込に適合する様々なオプション品(別売り)を利用できます。内径の増大により、対物レンズで集められた光線の光束からの懐が深くなり、天体像のコントラストの向上にも寄与しています。接眼ドロチューブ自体はプラスチック製のため質感でやや不満が残りますが、動きはスムースで、最大に伸ばした状態でもほとんどガタはなく良くできています。先程言及しましたが、ドロチューブ内面の艶消しが不十分で、鏡筒内面が丁寧に艶消しされ迷光を抑えているだけにその部分は残念な気がします。

架台部

当望遠鏡の最大の美点と言えるのがこの架台部分です。とても優秀な架台で、特筆すべきはガタの少なさとスムースな上下水平全周微動です。なめらかに作動し、ライバルメーカーでもこの値段でこの内容の架台はないと言っても過言ではないでしょう。この良くできた経緯台は、高倍率での観測時、視野のブレも抑制されて快適な観測が行えます。
K型経緯台は、上下水平全周微動。堅牢でガタも少なく、ギアの噛み合わせ調整もきちんとしていてバックラッシュ(遊び)も少ないものです。高倍率での観測でも、スムースに星を追えます。ガクブル経緯台が多い中、このK型経緯台は良い意味で異例です。
ビクセンの鏡筒用アタッチメントプレートがそのまま付きます。アリ溝の固定ネジが、ビクセンのGP赤道儀ヘッドについている物より細めなので、重たい鏡筒や高価な鏡筒を載せるのはやめた方が良いでしょう。鏡筒重量3キロ程度で、短めの物なら問題ないとは思います。ですが、メーカーではそのような使い方は推奨していませんので、他社鏡筒を載せる方は自己責任でお願いします。

鏡筒部実視テスト

アクロマートレンズの望遠鏡としてはぎりぎりといえる短い口径比F10なので、実際覗いて見るまでは不安が残りましたが、実視テストの結果は思ったより良好でした(不快ではない程度の残存色収差があります)。

また、この手の低価格の望遠鏡には少し酷ではありますが、LV4mmを使用し200倍(過剰倍率)で天頂付近のふたご座ポルックスで星像チェックをしてみました。焦点像はややいびつで色収差が偏って出ている状態でした。また焦点内外像も非対称です。国産のビクセンの80M鏡筒と比べると劣る感じはしますが、鏡筒のみで小売価格4万円もする製品と比べるのは野暮でしょう。

さてこの星像テストを踏まえた上で、次は50度超の高度まで上ってきた土星を実視してみることにしました。付属のOR.6mm116倍です。先程の星像チェックの結果から、少し心配をしていましたが、なんと輪のふちにカッシーニの空隙を確認できました!これは優秀です。ちなみにテストした2004年11月23日は、シーイングは4/5(5段階評価で4)程度ですので冬季としてはかなり良いと言えます。月を見てみたところ、鏡筒内面の艶消しは丁寧に塗られておりますが、接眼部のドロチューブのプラスチック部品が光っており、月や昼間の風景など明るい対象を観測する際は、その影響かコントラストの低下を招く原因となっていると感じました。

ドロチューブ内の艶消しにやや不満が残りますが、総合的には入門機として十分及第点にあると判断しています。

下の写真は、2004年12月3日午前2時頃、MT-70R Special Editionにコンパクトデジタルカメラを接続し月面を撮影したものです。

庭師のおじさんに夕方東の空から昇ってきた月面のクレーターを見せました。生まれて初めてクレーターを見たとの事で感激してくれました。右側に立っている方は、今まで双眼鏡を4つも買ったが、どれも良く見えないとのこと、聞いてみるとすべて高倍率のズーム双眼鏡でした。高倍率ズーム双眼鏡(最高倍率が20倍を超えるもの)は全て粗悪ですので、高倍率な望遠鏡とともに皆さんご注意を。
今回出品するMT-70R Special Edition(右)と、ミザールの初期型入門機と思われるフリーストップ型6センチ屈折経緯台「名称不明」調査中です。何年前のものでしょうか?ご存知の方がいらっしゃいましたらお教えください。2004年2月5日現在、1971年頃のカペラ型(当時8,500円)か74年以降のメシエ型では?という情報頂きました。情報をお寄せ頂いたのは、「昔欲しかった望遠鏡」というサイトのおしゃべりBBSのハンドルネーム「15センチ反経様」です。ありがとうございます。もっと前のカタログゼンゲルDX型(当時8400円)という情報も頂きましたが、ゼンゲルDXにはファインダーが有りません。この鏡筒は、ファインダー付です。だんだん近づいてきました。
こちらのお店に、MT-70R(メーカー従来品)を置いてあります。20790円(税込み)で販売中ですが、付属品はすべてノーマルのままです。架台や鏡筒は同じものですので、全体の感じをご覧になりたい方は、どうぞ。展示機1台・在庫1台です。

営業時間は、12時から20時です。