第一段階〜肉眼で星を見る
肉眼で星を見る。ただ漫然と星を見るのも良いですが、できれば星座の形を覚えましょう。今後、やれ○×座流星群だとか、×○彗星が○○座に見えていますとニュースになっても、あなたが星を見るために双眼鏡や望遠鏡を持つことになっても、星座を知らなければ天体観望は楽しめません。市街地では暗い星座は見えにくいかもしれませんが、オリオン座のように比較的明るい星々で構成されている分かりやすい星座もあります。まずは季節を代表する星座を幾つか覚えるといいですね。星座を知るということは、星々の位置関係がある程度自分の頭で分かるということです。夜空の天文現象は星空の様々な位置で起こります。皆さんがよく耳にするしし座流星群も、しし座がどこだか分からなければ、空のどこを見ていれば沢山見えるのか判断できません。「今月は土星がふたご座のあたりに見えています」と言われても、ふたご座を知らなければ、「どこ?」となってしまいます。私も最初は星座をあまり覚えずに天体観測をしていました。でも覚えた方が目標を決めるのに楽ですし、なにより楽しめます。日本から見えない星座も含めると全天には88星座があります。なにも88星座をすべて覚える必要はありません。とりあえずは、各季節5星座ぐらいを覚えてみてはいかがですか?
必要な物〜その1 星座早見盤
日本全国対応月齢早見付星座早見盤
星座早見盤はとても便利です。外側の円盤に書かれた日付の目盛と、内側の星座盤の外周に書かれた時間を合わせるだけで、楕円形の小窓内にその時に見える星座が現れます。星空観察をする時には必需品と言えます。星座早見盤には、他にも使い方があります。星座が一番空の高い位置に来て見やすくなるのは、いつ頃の何時がいいかを調べられるのです。また高度な星座早見盤になれば、いつ頃日が昇り、いつ頃日が沈むかも調べられます。天体観測に便利な道具です。
Made by 星の手帖社
必要な物〜その2 時計
星座早見を現在の星空の状態にセットするためには、現在の日時を知らねばなりません。アナログ・デジタル・携帯電話の時計でも構いません。時間さえ合っていれば。
星座早見盤はここで買えます。300円から各種あります。
必要な物〜その3 方位磁石 必要な物〜その4 懐中電灯
星座早見盤が夜光塗料で印刷してあれば必要ないですが、星座早見盤を見る時や足もとを確認するために持っていた方が良いでしょう。ただ普通の懐中電灯そのままでは目が幻惑されてしまいますので、赤いセロファンを被せるなどして光量を調節しないと、せっかく暗闇に慣れて暗い星が見えるようになった目を、また元の状態に戻してしまいます。
必要な物〜その5 星座ガイドブック
星座を覚えるのに、星座のガイドブックが有ると便利です。星座早見だけでは、その星座にまつわる話やギリシア神話や星座の見つけ方は分かりませんが、ガイドブックはそのあたりの記述が大変充実しています。星座を見る楽しみが倍加すること間違いありません。幾つかご紹介しておきましょう。
ポケット図鑑シリーズ他星座図鑑、星座への招待など色々ございます。ここをクリックしてください。ポケット星座図鑑シリーズは、ここをクリック
?V?????? ?????A???o?? ?t???“・秋冬編(?°?‰?? ??)誠文堂新光社 定価各3,990円透明フィルムの星座線と実際の夜空の写真が別々になっています。透明フィルムの星座線を取り除けば、夜空の素の写真だけで確認できます。昔からの本で名著です。
星座観察のTIPS
市街地ならできるだけ街灯が直接目に入らないよう、街灯の近くを避けて建物の影など少しでも暗い場所を探しましょう。夜に不慣れな場所をうろうろすると、思わぬところで穴や溝にはまって怪我をすることもあるので、昼間の明るいうちに下見をしておくことをお勧めします。最近は不審者も多いので、防犯にもしっかり気を配る事が重要です。少し足を伸ばせるのであれば、少し郊外に出かけるのも手です。郊外に行けば4等星まで見える環境があるはずです。4等星まで見えれば、大体の星座はその形がはっきりしてきます。下の図は、左から2等星までしか見えない都会の空と、4等星まで見える郊外の空と、6等星まで見える田舎の空をシミュレートしたものです。街灯やネオンサインによって(光害といいます。)ここまで星空は見えなくなってしまうのです。クリックすると拡大しますので見比べてみて下さい。
各画像はクリックすると拡大します。
第二段階〜双眼鏡で星を見る
星を見るのに双眼鏡を使うと、肉眼では見えない暗い星々が色々見えて来ます。個々の星の色も肉眼で見るよりはっきりしてきます。月のクレーターも見えますし、木星の衛星も確認できます。性能の良いものであれば土星が他の星とは違ってちょっと楕円形をしているのも分かる程です。明るい星雲や星団も十分楽しめます。あの有名なすばる星団などは、望遠鏡でみるより双眼鏡の方が美しく見えます。光害の多い市街地でも双眼鏡があれば、肉眼では光りに埋もれて見えなかった星々が見えてきます。光害の影響のない田舎に行けば、双眼鏡の視野はものすごい数の星で埋め尽くされます。特に天の川を双眼鏡でお散歩すると、次から次へと散開星団や散光星雲が視野に飛び込んできてすばらしい光景に息を飲む程です。
必要な物〜その6 双眼鏡
双眼鏡を買う際のポイント

1.高倍率の物や、ズーム双眼鏡には手を出さない。倍率は6倍から10倍が適当です。

2.星を見るのには、少なくともレンズの口径が30mm以上のものを買うこと。

3.説明は後述しますが、射出瞳が綺麗な円形の物を選ぶこと。

4.予算が許せば、同じ倍率でも、より広角なものを選ぶとよい。

ミザール7X50双眼鏡 近日販売開始予定
双眼鏡で素晴らしい星の世界を満喫するには、ひとつ注意しなければならないことがあります。それは高倍率の双眼鏡やズーム双眼鏡には、決して手を出さないことです。あのような双眼鏡では星を見ることはおろか、昼間の景色をまともに見ることもできません。いわゆる高倍率をうたった望遠鏡と同じで、粗悪なインチキ商品です。お金をドブに捨てているのと同じです。まともな双眼鏡の倍率はせいぜい12倍までです。(ただし例外として、三脚に同架する超大型の製品では数十倍の倍率のものもあります。価格は十万から何十万円もします。)それと星を見る双眼鏡は、最低でも対物レンズの口径が3センチ以上の物を選びましょう。あまり小さな双眼鏡は、星の淡い光りを集められず。星を見ても迫力がありません。双眼鏡をよく見ると7X50とか6X30とか12X40とか表示がありますが、これはどういう意味かと言いますと、最初の数字が倍率で、後の数字が対物レンズの口径(mm)です。

星を見るのに最適なのは、7X50とか10X50のものが理想ですが、ちょっと重くなってしまうので腕が疲れます。7X42 7X35であればかなり軽量になりますので、私が常用しているのはそのクラスの物です。それと三脚に取付できるものが良いです。じっくり観察する際は三脚に載せて双眼鏡を覗くと視野がぶれなくなり、手持ちでは見えなかった暗い星や、細かい部分が見えてきます。

さらに最近は、大変高価ですが手ぶれ防止機能のついた双眼鏡もあります。ニコンキャノンフジノンから発売されています。これらの双眼鏡は手持ちでも手ぶれから開放されるため双眼鏡としては高倍率な10倍から18倍の設定になっています。

天体観測に最も適した双眼鏡は7x50の双眼鏡と言われています。なぜでしょうか?これは、人間の眼の瞳孔の直径に関係があります。人間の眼の瞳孔は、明るいところでは小さく、暗い所では大きく開き、眼の中に入ってくる光りの量を調整しています。丁度カメラのレンズの絞りのような役割をしています。暗い場所から明るい場所に急に出てくると瞳孔の絞りの調整が間に合わず眩しく感じるのは、暗い場所で開いている瞳孔が絞られる前に急に明るい場所で沢山の光が眼の網膜に届くためです。しばらくすると瞳孔が絞られまぶしさを感じなくなります。(これを明順応といいます)また星を見ても明るい部屋から外に出たばかりの時は、あまり暗い星は見えませんが、時間が経つにつれ徐々に瞳孔が開き暗い星が見えてきます。(これを暗順応といいます)人間の眼が暗順応し、瞳孔が最も開いた状態では、瞳孔の直径が約7mmになります。(50代になると5mm位までしか開かないようです。)双眼鏡の口径mmを倍率で割った数値が双眼鏡の接眼レンズを通して入ってくる瞳径(光束の直径単位mm)となります。例えば7X50の双眼鏡であれば、50÷7=約7mmとなります。瞳孔の直径が一番開いた時と同じ瞳径の双眼鏡が最も明るい像を見られるのです。天体観測や、夜間の監視業務用の双眼鏡は瞳径が7mmになる設定の物と成るのです。11X80や10X70や7X50の双眼鏡は計算して頂くと分かりますが、すべて瞳径が7mmとなります。これより大きな瞳径の双眼鏡は、特殊な用途以外では作られていません。

そう言う訳で、天体観測用に双眼鏡を選ばれる時は、瞳径が5mmから7mmの物を選ばれると良いでしょう。もちろんそれらの双眼鏡でも昼間の景色は全く問題なく綺麗に見えますのでご心配なく!

必要な物〜その7 星図
星図とは星空の地図帳です。見たい星や星雲星団が何処に有るのか分からなければ目的の星を見ることは出来ません。ガイドブック的な簡単なものから肉眼では見えない暗い星まで書き込まれた本格的なものまで色々な物があります。また最近は電子星図とも言えるパソコンの画面に表示出来るものもあります。代表的な物としてアストロアーツの「ステラナビゲーター」があります。小型の双眼鏡で星空を観測されるのであれば、弊社で販売している「ポケット双眼鏡星空図鑑」もオススメです。各月で双眼鏡で見易い星空のガイドブックとなっていて、簡易星図も付属しています。
ポケット双眼鏡星空図鑑 525円
誠文堂新光社の天体ガイドマップ
多彩な機能を搭載したアストロアーツのステラナビゲーター
第三段階〜フィールドスコープで星を見る
フィールドスコープは、バードウォッチングや野生動物の観察に良く使われます。天体望遠鏡と違い正立像なので(望遠鏡は逆さまに見えます。)初心者の方には扱い易くオススメです。双眼鏡より倍率が高く三脚に載せて使う事が前提となりますが、月面のクレーターや明るい星雲星団など楽しく観察出来ます。また望遠鏡の様に接眼レンズを交換して変倍できますので、少し高めの倍率の接眼レンズを選択すれば土星のリングや木星面の縞模様も楽しめる事でしょう。同口径の望遠鏡と比べると、小さくコンパクトなので持ち運びも苦にならず海外へ星を見に行く方にもオススメです。また天体望遠鏡を外に出すのが億劫な時、フィールドスコープは、手軽に使える天体望遠鏡として活躍してくれる筈です。
必要な物〜その8 フィールドスコープ
 フィールドスコープは、様々な種類の物が存在します。対物レンズの口径は50mmから大きな物で100mmのものも存在します。また日本ではあまり一般的では有りませんが、シュミットカセグレン式のものや、マクストフカセグレン式のものもあります。ボディーに使われる素材もまちまちで、単なるプラスチック製の物から、下の写真のビクセン製の物は、ガラス繊維強化プラスチックを使用し、強度を確保しながら軽量化をしたもの。またアルミ合金ボディのものや、マグネシウム合金のボディの物まで沢山の種類があります。また各社各モデル、最短合焦点距離(ピントが合う最も近い距離)にかなり違いが有りますので、近距離の花にとまるミツバチや蝶の姿を見るという方は、カタログを良くご覧になり最短合焦点距離の短い物をお買い上げに成ると良いと思います。また直視型と接眼部に少しアングルが付いた45度のタイプもありますが、望遠鏡の様にファインダーの無いフィールドスコープは、目標物を視野に導入するには、直視タイプの方が便利です。しかしながら天体のように高い位置を見る場合は、45度のタイプの方が首が疲れず見易い事も事実です。

 最近は、フィールドスコープにデジカメをつなぐ通称デジスコがはやっています。その場合ズームの接眼レンズの付いた物を買ってしまうと、デジカメアダプターが対応していない物が多いので選択の際は注意しましょう。またズームの接眼レンズは、性能も満足出来ない物が多い様なので注意が必要です。

 対物レンズも通常のアクロマートレンズを使用した物から、EDレンズやフローライトレンズを使った高級品も有ります。対物レンズの口径が80mm以上の口径の物を買うので有れば、EDレンズやフローライトレンズを使用した物を選ばれる事をオススメします。大口径なレンズほど、色収差が出やすくなり像を乱す要因となりますのでそうした高級な対物レンズが必要に成るわけです。

フィールドスコープ 近日発売予定
第四段階〜天体望遠鏡で星を見る
天体望遠鏡は、より大きな集光力で肉眼では捕らえることの出来ない暗い星や星雲・星団を観察したり、肉眼では見ることの出来ない月や惑星などの天体の表面の詳細を観察するための道具です。また観測対象や観測の目的、空の状態によって接眼レンズを取り替えることにより、適正な倍率で観測を行う事ができます。望遠鏡には様々な種類がありますが、その望遠鏡の種類により、向き不向きがあるのも事実です。こうした様々な種類の望遠鏡の特性を勉強し自分が目的とする望遠鏡を選ぶ事も非常に重要ですが、「星を見たい!」と望遠鏡を買う入門段階に置いて自分が何を見たいか、何を観測したいか、という目的がしっかり定まっていない場合が多いのが実態ですし、私も最初の一台を買った時を思い出してみると、選択基準は曖昧でした。一番大切な事は、「粗悪品を買わないこと」「あまり高価なものに手を出さないこと」です。最初から超高級品を買ってもその価値を理解する事はできないですし、将来天体写真を写すかどうか分からないのに、写真鏡を買っても仕方が無い訳です。そこそこの予算で、将来機材をグレードアップした際もサブ機として手許に置いておける望遠鏡を買うか、安めの予算で
必要な物〜その9 天体望遠鏡