第五惑星〜木星

木星のデータ

直径約142800キロ(地球12756キロ)地球の11.2倍位の直径ですね。太陽系最大の惑星です。

重さ 地球の317.9倍

体積 地球の1320倍 重さと体積を比べるとガス惑星の木星は、水星、金星、地球や火星などの地球型(岩石)惑星と比較するとかなり比重が軽いのが分かりますね。

衛星の数 63個

自転周期9時間50分(地球の一日は23時間56分)

公転周期11.9年(太陽の周りを一周するのにかかる時間)

太陽からの平均距離7.78億キロ(地球〜太陽間は1.5億キロ)

地球からの距離 最も遠い時 9.66億キロ 最も近い時5.91億キロ(地球から太陽までの距離は1.5億キロ)

見かけの大きさ 最大49.8.秒/最小28.5秒

もっとも近づいた時の明るさ マイナス2.5等

木星の特徴

 木星は、太陽系の惑星の中で最も大きさを誇る巨大惑星です。平均密度は水の1.33倍で、地球型の惑星(水星・金星・地球・火星)の平均密度(火星3.9、地球5.5)に比べるとかなり軽いのが分かります。

 望遠鏡でよく見てみると分かりますが、木星は南北がつぶれた楕円形をしています。地球の11倍の直径の巨大な惑星が、自転周期が9時間50分余りと高速に回転しているため目で見て用意に分かるほどつぶれてしまっているのです。表層は濃い大気に覆われ、縞模様や巨大な渦模様や斑点が見受けられます。

 また木星を周回する衛星の数も非常に多く、その数は見つかっているだけで大小合わせて63個にもなります。そのうち4つが飛びぬけて大きく、かの有名なイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが発見した事からガリレオ衛星と呼ばれています。双眼鏡や望遠鏡でも木星の周りをくるくると周回するかわいらしい姿を見る事ができます。かわいいと言ってもそれは木星本体と比べての話で、その4つの衛星の大きさはと言うと、一番内側のイオの直径は3630キロ、エウロパが3138キロ、ガニメデが5262キロ、カリストが4800キロと衛星としてはかなり大きな部類です(地球の衛星である月の直径は3476キロ、惑星である水星が直径4878キロ、冥王星が直径約5000キロ、火星が直径6794キロ)。また、木星には地球上からは観測できませんが、薄い輪も存在します。

木星型惑星の代表である木星の内部は、地球型惑星の内部とはかなり異なります。

 下図をご参照いただきながら、簡単に説明します。我々の望遠鏡で見ることのできる表層は、凍ったアンモニアの粒子でできた雲に覆われています。中心部は地球より大きい岩石でできた核があるようで、その周りを金属水素と呼ばれる、超高圧の状態でしか存在しえない電気を通す状態にある水素が取り巻いています。更にその周りを液体水素が取り巻いているような状態になっています。全体的には液体水素の塊のような惑星です。中心部はギュウギュウに圧縮された状態で、中心部の温度は3万5千度、圧力は数千万気圧にも達しているそうです。探査機での調査により、木星の内部からは木星が太陽から受ける熱の2倍くらい熱が出ており、表面に見られる巨大な渦や激しく変化する縞模様は、木星内部から供給される熱エネルギーが原因ではないかと言われています。
小型望遠鏡による木星観測のポイント

木星は、入門者用の口径6センチくらいの望遠鏡でも、縞模様や大赤斑と呼ばれる大まかな模様が見えるだけでなく、4つの衛星が木星の周りを回っている様子が観察できます。2時間も時間をおいて見れば衛星が動いているのも分かりますし、さらに木星の手前を通過する際、木星面上にほくろのような黒い影を落とす様子が観察できます。「このような現象がいつ起こるか」や「木星を見る際に衛星がどこにあるか」を調べるには誠文堂新光社の天文年鑑などで確認しましょう。さらに注目して頂きたいのは、木星がつぶれて見えることです。ちょっと注意して頂くと、木星の高速な自転のために赤道付近が遠心力でふくらみ、楕円形なのが分かると思います。また口径10センチ以上の高品質な望遠鏡と観察眼(視力のことではありません)があれば、表面の縞模様の変化をかなり詳細にとらえることができます。

左の写真は、コスモサインの設計者:上原秀夫氏が口径21センチの反射式望遠鏡で撮影した木星面の縞模様です。白黒画像ですが、かなり詳細の模様までとらえられているのが分かります。口径10センチ程度の望遠鏡でも、高性能な望遠鏡と最良の条件に恵まれ、かつ観測者の眼がある程度鍛えられていれば、左の写真のようなレベルまで見えることでしょう。惑星の模様は思いのほか淡く、その表面模様の詳細を見るためには、かなりの鍛錬が必要とされます。同じ望遠鏡を覗いていても、観測経験の浅い初心者と、わたしのような中級者、さらには仙台市天文台の
小石川先生のような惑星観測の鉄人では見えているものがかなり違うのです。これは視力の問題ではありません。望遠鏡は近視や遠視は補正してしまいます。また乱視もよほどひどくない限り高倍率観測ではほとんど問題になりません。漫然と観望するのではなく、いつも注意深く観察を続けることにより観測眼は鍛えられます。
探査機による直接探査

探査機による木星の探査は、1973年と1974年に米国が前年に打ち上げた小型探査機パイオニア10号とパイオニア11号によって行われました。ガリレオ以来400年近く行われてきた地上の望遠鏡観測では分からなかった事実が、次々と明らかになりました。さらに1979年には、米国によりボイジャー1号とボイジャー2号による探査が行われました。高解像度カメラを駆使し、木星の表面に見られる大気の流れに沿った鮮やかな帯や渦模様の詳細を撮影しました。地上からの観測では分からなかった輪を発見したり、木星のガリレオ衛星(ガリレオ・ガリレイが発見したことから名付けられた)の一つ、イオで地球以外で初めて活火山を発見しました。この火山は噴煙の高さが300キロ以上に達し、科学者をはじめ我々を驚かせました(地球の火山の噴煙はせいぜい高さ20キロ程度)。さらに米国は、探査機が木星の近くを通りすぎるわずかな時間を利用して探査をしていましたが、1989年10月にはガリレオ探査機を打ち上げました。この探査機は1995年に木星の軌道に投入され、周囲を回って継続的に探査するものでした。以後7年以上にわたる長期的な探査で、ボイジャーでは分からなかった木星やその衛星の詳細を観測し、めざましい成果をあげました。この探査の詳細は今度詳しく説明したいと思います。下の写真は土星の探査に向かう途中のNASAのカッシーニ探査機が撮影した木星の表面の写真です。地上の望遠鏡からは見えない極めて詳細な模様がとらえられています。木星本体の右側にある大きな渦が大赤斑と呼ばれる大きな高気圧の渦です。左の黒い点は木星の衛星の影が木星表面に投影したものです。大赤斑も衛星の影も小望遠鏡で見ることが出来ます。

ガリレオ・ガリレイが発見した、双眼鏡でも見える木星の4つの衛星