高倍率双眼鏡には決して手を出してはいけません。ここをお読み下さい
今回販売を開始しました。ミザールの7X50の双眼鏡は、天体観測に最適な双眼鏡です。

天体観測には、なぜ7x50の双眼鏡が向いているのか。

射出瞳径が関係します。双眼鏡を明るい白い壁や白い紙に向けて、接眼レンズ側からすこし離れてみると白い円がみえます。 射出瞳といいます。この直径を射出瞳と言います。実際に定規をあてて計ることも出来ますが、簡単な計算で求めることも出来ます。対物レンズ有効径÷倍率を計算すればよいのです。7X50(7倍50mmと読みます。対物レンズの口径が50mmで倍率7倍の双眼鏡という意味です。)の双眼鏡ですと50÷7=約7.1となり射出瞳径は、7.1mmで有ることがわかります。10X30の双眼鏡ですと30÷10=3 射出瞳径は3ミリです。人間の瞳孔は明るい場所になると小さくなり、暗い夜間では大きく開きます。眼に入ってくる光の量を調節しているのですが、最大に瞳孔が開いた状態で7mm程になります。
 明るい場所では射出ひとみ径が3mmの双眼鏡でも十分に明るく見えますが、暗い場所や天体を見るには、7ミリに開いた瞳孔に7ミリの射出瞳径の双眼鏡が一番効率が良いのです。逆に7ミリより射出瞳径が大きい双眼鏡が無い理由は、例えば5X50の双眼鏡は作れば射出瞳径が10mmの双眼鏡になりますが、人間の瞳孔は7ミリまでしか開かないので、眼にすべての光が導かれなくなり無駄です。口径(センチ単位)X1.4倍が有効最低倍率と呼ばれ、射出瞳径が約7mmになる倍率が算出できます。射出ひとみ径が7mmの双眼鏡は、暗いところを見るのに性能を発揮するので天体観測では「7X50」「8X56」「 10X70」「 11X80」などの双眼鏡が好まれます。どの双眼鏡も、対物レンズ有効径÷倍率で計算をして頂くと、射出瞳径が7mmになるのがお分かりになるかと思います。

BK-7050全景 販売価格は1万円以下の双眼鏡とは思えないほど作りはしっかりしています。鏡胴部分や蝶番部分、両方の接眼レンズを繋ぐアーム部もすべてアルミ合金製です。しかしながら重量は840グラムと7X50の双眼鏡としては軽めに仕上がっています。仕上げは、ラバーコーティングとなっており滑りにくく細めの鏡胴とあいまってホールディングは安定しています。またセンターファーカスのピントリングは大きめで冬に手
袋をしていてもピント調整が楽に行えます。この値段帯の双眼鏡はプラスチック部品を多用し「いかにも安物」といった商品が多いのですが、このミザール製の7X50双眼鏡は、作りもしっかりしており、安っぽさはありません。

左の写真は双眼鏡の表側の写真です。

右の写真は、双眼鏡の裏側からの写真です。

この双眼鏡は、光学系や外装部分も含め、非常にきちんと作られています。実際、色々な条件下で使用しましたが、コントラストが高く抜けの良い視界が広がります。また。見掛け視界がやや狭く感じますが、7X50の双眼鏡としては、標準的なものです。星を見た際も、(双眼鏡にとっては最も厳しい点光源テスト)視野直径の70%は良像で視野最周辺でも大きな崩れは有りません。また、湾曲収差も少なめです。夜の水銀灯などを視野にいれるとフレアーが出ますが、気になるレベルでは無く手持ちのオリンパスの8倍40mmの双眼鏡に比べてもずっとコントラストが高く優秀です。

双眼鏡の接眼部の右側の目盛は、左右の眼に視力差がある方の為の視度調整リングです。ピントを合わせる時は、まず右側にキャップをし、ピントリングを回して、左眼のピントを合わせます。左側のピントが合ったら、左側にキャップをして、先程左眼でピントを合わせた対象物で今度は右目でピントを合わせますが、その時はピントリングでピントを合わせるのではなく、右側の接眼部の+-の記号が印刷されている視度調整リングで行います。(もちろんピントがずれていなければこの調整を行う必要はありません。基本的に一度この操作を行えば(左右の視力差は矯正されるので)ずれないかぎり以後は、ピント調整の度にこのような調整を行う必要はありません。
光学系は、対物一面のみマルチコーティング、残りはシングルコーティングが施されています。理想を言えばレンズやプリズム面すべて、全面マルチコーティングされていれば良いのですが、そうすると価格が上がってしまいます。内面の艶消しは、十分とはいえませんが、及第点といえるレベルです。
対物レンズを白い壁に向け、撮影した本双眼鏡の射出瞳の写真です。ポロプリズムもオリンパスの双眼鏡の様にBK7といった安物プリズムではなく、高屈折光学ガラスのBak4プリズムを使用しているので、射出瞳も四角くけられる事無く真円です。値段を考えるとあり得ない様な高スペックの部材を使い、ボディもプラスチック製ではなく、アルミダイキャスト製その上にラバーコーティング仕上げで非常に好感のもてる作りです。四角く蹴られる事も無く真円で綺麗です。良質な双眼鏡を選ぶ際には店頭でも是非試して見て下さい。
左の写真は、BK7プリズムを使用した悪い双眼鏡の見本です。(フォトショップにて作成)薄青い影が周辺部に出て射出瞳が四角くなっています。対物レンズからの光が全量接眼部まで導かれていない証拠です。店頭で確認する際は、白い壁や白い紙に双眼鏡を向けて接眼部を30センチから50センチ離れたところから見て頂くと、白い○がみえますが、そこをよーく見て頂くと射出瞳が円いものと、下の写真の様になっているものが分かります。
今回販売しているミザールの7X50より値段が高い双眼鏡でも、この様な双眼鏡は存在します。一流メーカーでも安心はできません。(例オリンパス)もし双眼鏡を店頭で買う場合は、先入観を持たずこの様な点をきちんとチェックし、実際に覗いてみるとともに、売値を勘案し十分納得の機種の選択をしてください。