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天体望遠鏡の種類 | |||||||||
屈折式望遠鏡 | |||||||||
光を集めるのに凸レンズを使う望遠鏡の総称です。望遠鏡といって一般の方が思い浮かべるのはこの形式の望遠鏡です。対物レンズの種類が色々ありその種類によって性能と価格が大幅に違います。 長所 コントラストの高いクリアーな視界が特徴です。光軸が狂いにくく、光軸調整の必要な場面は少ないでしょう。また光軸のズレの許容度も他の形式に比べかなり寛容といえます。メンテナンスも簡単です。また望遠鏡を温度差のある部屋の外に出した際、反射望遠鏡などは、筒内に対流が発生しますが、これが一種の陽炎となり望遠鏡の像を大きく乱します。屈折望遠鏡はこの筒内気流が殆ど発生しません。像が安定していて扱い安く初心者が最初に購入する望遠鏡として適しています。 短所 口径あたりの価格が一般的に最も高価です。色収差があります。(適性で無理の無い設計がされていれば、アクロマートと呼ばれるものでも不快な程色収差が発生することはありません。) 屈折望遠鏡の対物レンズには、代表的な物として、下記の種類があります。 アクロマートレンズ ネオ・アクロマートレンズ(ビクセンの特許) アポクロマートレンズ EDアポクロマート 蛍石(フローライト)アポクロマート TOA |
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弊社オリジナルモデル屈折望遠鏡口径7センチ(アクロマートレンズ) | |||||||||
反射式望遠鏡 | |||||||||
反射式望遠鏡 反射式望遠鏡は、光を集めるのに凹面鏡を用います。 長所 軸上色収差がありません。光軸がきちんと合った反射望遠鏡の中心像はほとんど無収差で非常にシャープです。口径あたりの価格が最も安く、気軽に大口径が所有できます。 短所 光軸が狂いやすく頻繁に調整を必要とします。光軸の狂いの許容度が低く、わずかに狂っただけで猛烈に像が悪化します。 特に口径比の小さいものになるほど(筒が短いほど)光軸の狂いに敏感です。 視野の周辺でコマ収差が発生します。 また対物鏡が筒の底にあるため、筒先に対物レンズがある屈折式に比べ掃除がしにくいです。 対物鏡の表面にアルミメッキがされており、5から10年ごとにその反射膜の再メッキが必要です。(再メッキの料金は、10センチの反射鏡で5000-10000円程度) 室内の保管場所から星を見ようと屋外に出すと、筒内部と外気の温度差や対物鏡のガラスにたまった熱の影響で筒内部に対流が発生し(筒内気流といいます)それが収まるまで高倍率での観測ができません。筒内気流は長いと2時間近く収まりません。 ややコントラストが低いです。といいますのも屈折望遠鏡と違い反射鏡で、筒先から入ってきた光が折り返されて鏡筒内を往復するため、屈折望遠用の様に迷光をほぼ完璧にカットする絞環を筒内部に設置出来ないためです。 |
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アストロ光学製口径10センチ口径比F10ニュートン式反射(架台部は他社製) | |||||||||
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ニュートン式反射望遠鏡は、鏡筒側面に接眼部が付いています。 | |||||||||
シュミット・カセグレン式望遠鏡/マクストフ・カセグレン式望遠鏡 | |||||||||
シュミット・カセグレン/マクストフ・カセグレン 長所 大口径の望遠鏡がきわめてコンパクトで軽量に出来ます。そのため口径の割に、赤道儀などの望遠鏡を支える架台が小型の物で済み安く済むため、反射望遠鏡に比べると鏡筒自体は、やや割高ですが、架台を含めたトータルの金額はそう変わりません。(むしろ安いと言えます。) 鏡筒自体がコンパクトなため、扱いやすい。 短所 筒先が閉じた形式の大口径の鏡筒は、外気と筒内部の空気がほとんど入れ替わらないため筒内気流が収まるまで相当の時間がかかります。小型の物(口径9センチから12.5センチ)のものは、30分程で温度順応します。 光軸が狂いに極めて敏感で、少しの狂いで大幅に像が悪化し、良く見えなくなります。光軸修正も慣れが必要です。一部の小型のマクストフ・カセグレン式鏡筒は、メーカーでないと光軸修正が出来ない構造の物がありますが、そういった物は強い衝撃を与えない限り光軸はそうそうずれません。 |
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米国セレストロン製23.5センチ シュミット・カセグレン式望遠鏡 | |||||||||
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シュミット・カセグレン 筒先にただのガラス板にみえる補正板とよばれるレンズが装着されています。この補正板はただの平面のガラス板に見えますが、中央部分が凸レンズ、周辺部分が凹レンズとなった複雑な形状をしていて、この望遠鏡の反射鏡、光を集める主鏡と主鏡像を拡大し、光軸を折り返す副鏡で発生する球面収差を補正する役割を果たします。 |
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ビクセン製9センチ マクストフ・カセグレン式望遠鏡 | |||||||||
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マクストフ・カセグレン マクストフ・カセグレンは、一見シュミット・カセグレンに似ています。よくみるとシュミット・カセグレンの補正板と違いマクストフカセグレンの補正板は、中央が大きく凹んだメニスカスレンズ(両面が同じ方向に湾曲したレンズ)となっています。 |
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球面収差を打ち消す働きをするメニスカス形状の補正レンズ | |||||||||