無言で向かい合って、はや数分。
俺の部屋の、俺のベッドの上で二人して正座。
睨み合ってるわけじゃねーんだけど…。
「翔ちゃん誕生日おめでとー!」
「相葉さん、まだ22日の日曜日なんですけど。」
本日22日は雑誌の撮影。相葉ちゃんと一緒の撮影。何にも起きないわけが無い!
そう思って楽屋に入った瞬間に、先に来ていた相葉ちゃんからそう叫ばれた。
「翔ちゃん24、25と福岡じゃ―ん。だから!だからね、先に祝っちゃおうと!」
「で?」
「で!?で…今日この後暇!?」
「暇といえば暇だけど?」
「翔ちゃんちに行くから!」
「はぁ?」
これが昼間の出来事。
今は二人でベッドの上でフリーズ。いやいや、服くらい着てるから。
帰り道の途中に相葉ちゃんの奢りで沢山ビール買って、カンパーイ!なんてやってて、部屋にはビールの缶がゴロゴロ。ほろ酔いなんてもんじゃない。
「翔ちゃん!誕生日プレゼント!」
なんて言って『ちゅう』って。『ちゅ』じゃなくて『ちゅう』。口に。
「うひゃひゃ!翔ちゃんの唇おもしろーい!」
面白いってなんなんだっつーの!
「お礼は翔ちゃんでいーから!」
ゴン!って。頭いてーなんて思ったら目の前に見えるのは天井。なんで俺天井見てるんだろうって思ったら、なんか上半身がスースー。しかもなんか重たいし。大胸筋が撫でられて…。
「翔ちゃんの筋肉すごいねー」
「はぁ!?相葉ちゃん!ちょっと待ってって!ヤダヤダヤダァ!!!」
これがさっきの出来事。
完全に酔いが醒めた。なんで俺が押し倒されてるんだっつーの!
「相葉ちゃん?」
「なに?」
「俺、突っ込む方」
「じゃあ俺ボケ!?」
「違うから!」
前にもあった。去年のツアーの時。酔ったこいつに不覚にも襲われた。俺、男。完全なる男。
「あぁーもうっ!俺男なわけ!前がそうだったからって簡単に組み敷かれるわけにはいかないの!」
「俺も男だもん。」
「そんなのわかってるよ!ってか俺は男とそんなことする趣味無いからっ!」
「でもあの時気持ち良さそうだったよね?」
「いや…それは…」
「気持ち良かったんでしょ?」
「だから…」
「自分に正直になっちゃいなよー!」
「ふざけんなっ!ぜってーならねぇ!」
「じゃあ気持ち良かったんだ」
「はぁっ?」
「気持ち良くなくてさ、自分に正直になったら翔ちゃん正直に言うよね?」
「…うん」
「気持ち良かったから正直になれないんでしょ?」
自爆。墓穴という名の穴を掘りました。穴があったら入りたい。あ、ちょうど良い所に穴が…だからこれ墓穴!!
「翔ちゃんもっと冷静になりなー?」
「お前にそんなこと言われたくねーよ!」
「しー!あんまり大声出すとみんな起きちゃうよ?」
わかってるって!そんくらい!これでも大、
「翔ちゃんホントに大学出たのー?」
大学…出たと…思、う…けど…。
「痛…」
腰が痛くて目が覚めた。外は朝焼け。俺、裸。全裸。横見たら相葉ちゃん。同じく全裸。
「はぁ…?」
あの後どうなたんだっけ?一緒にビール飲んで…押し倒されそうになって…それ止めて…あぁ、また押し倒されたんだっけ。…え?
「ちょっ…え?はぁ?」
「ん〜…翔ちゃん…?」
「あ…相葉さん?」
「翔ちゃんってやっぱり声大きいね。喘ぎ声。ぐふふ」
ぐふふって…。
「『もっと…』って。やっぱ自分に正直になりな?」
思い出しました。櫻井翔思い出しました。鮮明に思い出しました。
「体、平気?翔ちゃん自分から腰振ってねだるんだもん。まいっちゃったよー」
昨晩俺が掘った穴、そうそう、墓穴、まだあります?
「『あぁんっ…雅紀』って、ぐふっ」
ってか俺が掘られてますよ。ありえないところが掘られたせいで痛いですよ。
「仕舞いにはフェラしだしてさー翔ちゃんってイ・ン・ラ・ンっ」
「やめて、言わないで…」
「何で?ジジツじゃーん!」
有り得ない。有り得ないです。事実なのは認めたくないけど、認めます。認めるからタイムマシーンで過去に戻っても良いですか?
「翔ちゃん松潤に襲われないように気を付けなー?ドSだから酷い事されちゃうかもよー?」
男、櫻井翔。男じゃないかもしれません。Gの嵐にメールしても良いですか?誰か男に戻れるように応援してください。有り得ねぇ…。