僕は大野君に飼われている猫です。名前は翔。
「翔ちゃ〜ん(スリスリ)」
「やめてっ!」
ガリッ!
「痛!翔ちゃんがひっかいたー!」
「何時もヤダって言ってんのに!」
「翔ちゃん毛逆立てちゃって〜」
「ふざけんな!」
「あー…」
大野君好きだけどすぐスリスリするから嫌い!毛が滅茶苦茶になっちゃった…そろそろ潤君来るのに…
潤君は野良猫。僕と違って自由に生きてる。羨ましいなぁ…初めてあったのは半年前。僕が窓際で毛づくろいしてるときに通りかかったの…
『…(ジー)』
『ん!?なっ何ですか?』
『何でもない…』
『?』
それから毎日僕の所に来るようになって…
『…(ジー)』
『こっこんにちは!』
『…』
『う゛…』
『…ずっと家の中で楽しい?』
『それなりに…』
『ふーん。俺潤。』
『僕は翔です!』
『あっそ。』
てくてく…
『あっ!また明日も…来てくれますか?』
『考えとくよ』
そう言うと尻尾を振って行ってしまって…
初めて野良猫とちゃんと言葉を交わした相手…それが潤君。今までは
『翔ちゃんご飯ちょうだい!』
『フーッ!』
『怒ることないじゃん!俺雅紀!』
『フンッ!』
初めっからフレンドリーだったり
『スミマセン』
『ハイ?』
『…(ニヤッ)』
『??』
怪しかったり…(汗)
あっ!こんな時間!潤君来ちゃう!やばっ!さっきのスリスリのせいで静電気がっ!ノッペリしてる〜(泣)
カタッ…
「潤君?」
「あぁ…」
「どうしたの!?その怪我!」
「大したこと無いよ。和也と喧嘩しただけ…」
「血が出てるよ!」
「…お前に関係ないだろ」
「でも痛そうだもん!」
「こんなん治るまで待てばいいんだよ…そこから出れないお前には何も出来ないだろ」
僕は勝手に涙が出てたようで…
「何泣いてんだよ」
「僕…潤君のこと…好き…」
「はぁ?」
「馬鹿だ僕…」
潤君に泣き顔なんか見られたくない…部屋の中に戻ろうとしたとき…
「待って!」
「やだ…」
「俺も翔のこと好きだ!」
「僕の好きとは意味が違う…」
「違くない!愛してる!」
「潤君…」
「出て来いよ!外に」
「出れないよ…」
「網戸くらいひっかいて体当たりすれば破れる!」
「僕には出来ない…」
「やってみろよ!こっち来いよ!」
潤君…
「でも大野君が…」
「お前あいつ嫌いなんだろ?さっきひっかいてたじゃん」
ゴメン…大野君…
バリバリ…ドンッ!
「うわっ!?」
潤君は怪我してるのに受けとめてくれた。「っつ…」
「ごめんっ!大丈夫?」
「このくらい大丈夫だよ」
ペロッ…
「痛っ!お前舌ザラザラしてんだから傷舐めるなよ!」
「ご、ごめ…」
「ほら行くぞ」
そう言うと潤君はスタスタと先に行ってしまい…
「待って!」
「あんまりチンタラ歩いてると置いてくからな」
「うんっ!」
「翔ちゃ〜ん!どこ行ったのー!帰って来て〜」
大野君ごめんなさい。