なぁ、ずっと一緒にいるって約束は嘘やったんか?
みんな帰って二人っきりになった楽屋。
「亮ちゃん、別れよ?」
「は?なに言っとるん?」
「だから別れよ?」
めっちゃ悲しそうな顔をして言ってくる。見たことが無いような顔。
「なんでや…なんで…」
「このままじゃ駄目でしょ…」
「そんなことあらへん!」
「何も変わらない日々だし…進まないなら意味無いでしょ」
無理に微笑んで俺を宥めかすようで。
それが辛くて、泣き顔を見せたなくて俯いた。
ちゃんと前を向いて、見ていたかった。
それが出来へんかった。
「亮ちゃん…人は平坦な道を歩むだけじゃ何も変わらないんだよ」
「そんなやないやん…」
「そうなんだよ」
この感情に見合う言葉が見つからなくて、気持ちを上手く伝えられへん。
こんなムードのまま終わりたない。
でも優しい言葉なんか見つからん。
「それじゃ…」
カバンを持って楽屋を出ていった。
ガランとした部屋に一人残された。
もうすぐ日が変わる。
二人別々の明日が始まる。
暫くして楽屋を出た。
零時を回り新しい朝。
俺から消えてったんは山下智久という名の恋人、胸に残ったんはヒリヒリする火傷。
「なんでや…」
ガラにもなく涙を流しながら歩きさまよった街は朝焼け。
俺の胸みたいな赤い空。
それは恋焼け。
「どないしたん!?帰って来ぃへん思ったらそんな泣き腫らして…」
東京滞在の時によく泊まっているホテルへ戻ると先に帰っていた内が起きとった。
「キスしたんに…抱き合ったのに…終わってもうたんや…愛してたんに…もう…ずっと無いんや…」
俺よりか年下の内の胸を借りてまた泣いた。
内は何も聞かずに俺が泣き止むまでただただ強く抱き締めてくれてた。
「亮ちゃん…辛い事も乗り越えて行かなあかんで?」
「わかっとるわ…ボケぇ」
新しい明日が来る、新しい朝が来る。
それでも胸に残っとるヒリヒリする焦げ跡。
昨日は過去、終わってもうたこと。
「今日は仕事あらへんで良かったな」
「ん…」
「そんな顔で会えへんやろ?」
「そ…やな…」
また溢れてきそうになる涙を堪えて手紙を書く。
この思い、終わったことやけど、恋焼けした心を書き綴った。
最後に書く
“P.S. ありがとう”
また次の日がやってきた。