NO. 2
辰沼剣友会
平成10年12月発行
礼法(れいほう)について
「剣道(けんどう)は礼に始(はじ)まり礼に終(お)わる」といわれ、道場(どうじょう)に出入(でい)りするときの礼、稽古の始まりと終わりの礼、稽古(けいこ)・試合(しあい)の前後(ぜんご)の礼などさまざま場合(ばあい)での礼法があります。なぜ、これほどまでに礼法が必要(ひつよう)かといいますと、剣道は人間(にんげん)の闘争本能(とうそうほんのう)から発達(はったつ)したものであり、まかりまちがえば、たんなるたたき合(あ)いになってしまいます。剣道は剣(けん)の道(みち)であり、剣を通(つう)じての自分自身(じぶんじしん)をみがき、りっぱな人間となるよう努力(どりょく)することなのです。そのため、先生(せんせい)やお父(とう)さんお母(かあ)さんを尊敬(そんけい)し感謝(かんしゃ)する気持(きも)ちや、道場や防具(ぼうぐ)などの道具(どうぐ)にも感謝する気持ち、稽古をしてくれる先輩(せんぱい)や友(とも)だちにありがとうという気持ちをもち、相手(あいて)をいたわる気持ちをもつことが礼なのです。そして、これを形(かたち)としてあらわすことが礼法なのです。ですから、形だけで心(こころ)がこもっていない礼法は何(なん)の意味(いみ)もないのです。
(礼法)
1.立礼(たちれい)
立(た)った姿勢(しせい)でおじぎをすることを「立礼(たちれい)」といいます。
@自然体(しぜんたい)の姿勢から、相手(あいて)に注目(ちゅうもく)し、首(くび)を曲(ま)げるのではなく、背筋(せすじ)をのばしたまま腰(こし)から折(お)れるように上半身(じょうはんしん)をおよそ15度(ど)まえに倒(たお)す。相手より目(め)を離(はな)さないこと。
A頭(あたま)を下(さ)げた反動(はんどう)で上(あ)げるのではなく、一呼吸程度(いっこきゅうていど)の間(ま)をおいて、静(しず)かに戻(もど)す。
2.座礼(ざれい)
相手に対して尊敬(そんけい)の念(ねん)を込(こ)め、座(すわ)った姿勢(しせい)から礼をすることです。
@正(ただ)しい正座(せいざ)の姿勢から相手を注目(ちゅうもく)し、上半身(じょうはんしん)をゆっくり前(まえ)に傾(かたむ)け、両手(りょうて)を同時(どうじ)にひざからすべらせるようにして、両膝(りょうひざ)の前につく。その際(さい)、両手は親指(おやゆび)をかるく開(ひら)き、他(た)の指(ゆび)は自然(しぜん)にとじて、指先(ゆびさき)が三角形(さんかくけい)になるように両手を床(ゆか)につく。
A背中(せなか)から首(くび)・頭(あたま)とつづく線(せん)が床(ゆか)に平行(へいこう)になるところまで上体(じょうたい)を折(お)り、三角形に保(たも)った両手の真上(まうえ)に顔(かお)がいくようにする。
(注意)襟足(えりあし)が相手に見えるまで頭を下(さ)げない。また、背中を丸(まる)めたり、両肘(りょうひじ)を大(おお)きく張(は)ったりしないように注意(ちゅうい)する。
B一呼吸程度(いっこきゅうていど)、その姿勢を保(たも)つ。
C静(しず)かに上体を起(お)こし、両手を自然な形でひざにもどしながら、ゆっくり元(もと)の姿勢にもどしていく。
D正しい姿勢になったら、再度(さいど)、相手を注目する。