NO. 10
辰沼剣友会
平成11年8月発行
技(わざ)(しかけ技 その1)
技にはしかけ技と応じ技とがあります。しかけ技とは相手(あいて)が技をしかけてくる前(まえ)に、自分(じぶん)から技をしかけて、相手に隙(すき)を生(しょう)じさせ、または相手に隙が生じたところを打突(だとつ)する技です。しかけ技をしかけるための相手の隙は、相手の構(かま)え、または癖(くせ)にあります。これを早(はや)く見(み)つけて、それに対応(たいおう)した攻撃(こうげき)をすることが重要(じゅうよう)です。ある個所(かしょ)を攻(せ)めたり、相手の切っ先(きっさき)を押(お)さえたり払(はら)ったりして、相手(あいて)の構(かま)えをくずし、その方向(ほうこう)に相手の切っ先または心(こころ)を向(む)けさせて隙(すき)をつくり、そこを攻(せ)めるのです。むやみやたらに飛(と)び込(こ)んでいくことではありませんが、相手をよく見て攻める気持(きも)ちを忘(わす)れないことです。
しかけ技(わざ)は、以下(いか)の種類(しゅるい)に分(わ)けられます。
1.払(はら)い技(わざ)・・・・・・・・ 払い小手(こて)、払い面(めん)、払い胴(どう)、払い小手面(こてめん)
2.出(で)ばな技(わざ)・・・・・・ 出(で)ばな面(めん)、出ばな小手
3.引(ひ)き技(わざ)・・・・・・・・ 引(ひ)き面、引き小手、引き胴
4.二(に)・三段(さんだん)打(う)ちの技(わざ)・・・・ 小手から面、小手から胴、面から胴、面から面、
小手から面にいってまた面、小手から面を打って胴
くわしい説明(せつめい)は次回(じかい)から行(おこな)っていきます。
<雑感(ざっかん)>
ところで、先日(せんじつ)の錬心剣道会(れんしんけんどうかい)の創立(そうりつ)20周年記念(しゅうねんきねん)剣道大会(けんどうたいかい)に参加(さんか)しました。そのとき特別演武(とくべつえんぶ)として直心陰流(じきしんかげりゅう)のなぎなたの形(かた)を拝見(はいけん)いたしました。その演武(えんぶ)を演(えん)じられたのはお二人(ふたり)の老婦人(ろうふじん)でしたが、さすが範士(はんし)をとられたかただけあって、流(なが)れるような優雅(ゆうが)さの中(なか)に、お互(たが)いの気迫(きはく)が感(かん)じられました。なかでも、礼法(れいほう)にもとづいた流(なが)れるような動(うご)きは、すがすがしさにあふれており、とても老齢(ろうれい)なご婦人(ふじん)の動(うご)きとはみえないものでした。
それにひきかえ、電車(でんしゃ)の中(なか)でも他(た)の人(ひと)の迷惑(めいわく)も考(かんが)えずに大(おお)きな声(こえ)で携帯電話(けいたいでんわ)を利用(りよう)したり、混(こ)んだ車内(しゃない)で足(あし)を組(く)んだり、投(な)げ出(だ)したりしている人(ひと)を見(み)かけますが、なんとも見苦(みぐる)しくだらしなく見(み)えるのは私(わたし)だけでしょうか。
ちょっとした相手(あいて)に対(たい)する思(おも)いやりをもつ礼儀(れいぎ)正(ただ)しい態度(たいど)が、まわりの人(ひと)たちにさわやかな感(かん)じをいだかせ、その人(ひと)自身(じしん)も美(うつく)しく見(み)せるということを感(かん)じました。