展示室(2) 

ザールの鉄道

「ザール」という国をご存知でしょうか?もしご存知なら多分古稀を越えた方、もしくは地歴に詳しい方ではないでしょうか? 独仏国境に位置するザール地方は炭鉱地帯でこれを巡って争いの絶えない所でした。 そのごくあらましは次の通りです。

現在のドイツ西南部に位置するザール地方は鉱物資源が豊富のためフランスの統治と放棄が繰り返されてきました。

第1次大戦後ベルサイユ条約に基づき,1919年から15年間ザール地方の鉱山についてフランスの独占使用が認められました。 期限切れ後1935年1月13日実施の住民投票の結果は90.6%の賛成で、ザールはドイツに帰属しました。 この時代に有名な「最後の授業」という物語が出来たのでした。

 第2次大戦後フランス占領地区となりましたが、ザールを分離国家としたいフランスの意図に反して、1957年1月1日ザール地方は西ドイツの一州として編入されました。

 1947年4月1日ザールの鉄道はドイツ連邦鉄道から独立した鉄道として発足しました。 ではザールの鉄道についてそのあらましをみてみましょう。

 ザール鉄道(EISENBAHNEN  DER  SAARLANDES

1954年現在 営業キロ  標準軌間 552q

 SL  317両、DL 9両(入換用)PC 808両、FC 9,281両、DC 1両, 事業用356

路線は首都Saarbrücken を中心として放射状に伸びています。

また私鉄が1社ありました。 この鉄道はSaarbrücken から北西ルクセンブルグ方面へ行く路線の途中39kmMerzig から分岐して東方へ向かう Merzig-Büschfelder Eisenbahn という私鉄でした。 1999年夏版の時刻表によれば、路線を短縮し MerzigDellborner Mühle16.6kmを結ぶ Museumbahn として SL 列車が走っています。

1997年にはSaarbrücken 市内にライトレールが開業しました。特筆すべきはこのライトレールはフランスのSarreguemines とを結び、珍しい国際線です。

 次にザールの切手と乗車券を掲げました。 乗車券はドイツ連邦鉄道と殆ど同じ様式です。  横型の券は入場券、カードサイズの券は定期券です。  

1957年西ドイツに統合後はドイツ連邦鉄道の1管理局となり、普通乗車券左上に管理局略号Sa が表示されました。