12AX7
同等管:12AX7A、12AX7WA、ECC83、ECC803S、7025、6681(プレート電圧とプレート損失が10%大きいスペシャル管)、5751(12AX7類似特性だがμが少し低い)
1948年にRCAから発表された高増幅率の双三極管です。ヒーターが特殊な構造になっており、交流点火時のヒーターハムの低減が図られています。さらに12AX7A、12AX7(T)、7025では、フリッカー雑音やマイクロフォニック雑音を軽減させて低雑音化するための改良も施されています。両ユニットはヒーターが共通である以外はそれぞれ独立しているので、左右のチャンネルの増幅回路を1本の真空管で構成することも可能です。1〜10mVのオーディオ信号を30倍程度増幅するのに適した真空管なので、プリアンプのイコライザ部やトーンコントロール部などによく用いられます。
12.6Vで直流点火する場合は4ピンを+側、5ピンをGND側に接続し、9ピンは開放とします。また、6.3Vで直流点火する場合は4ピンと5ピンを接続して+側、9ピンをGND側に接続します。ヒーターバイアスとして50V程度の正電位の電圧をヒーターに印加すると、さらなるヒーターハムの低減に効果があります。ギターアンプやオーディオアンプ用として、現在でも中国、ロシア、スロバキア等で生産されており、容易に入手することができます。外形はT21-2タイプの9ピンミニチュア(MT)管です。
東芝製12AX7A (Hi-Fi) 外形寸法 [mm] 記号
ピン |
電 極 |
1 |
第2ユニットのプレート |
2 |
第2ユニットのグリッド |
3 |
第2ユニットのカソード |
4 |
ヒーター |
5 |
ヒーター |
6 |
第1ユニットのプレート |
7 |
第1ユニットのグリッド |
8 |
第1ユニットのカソード |
9 |
ヒーターのセンタータップ |
ヒーター電圧 |
6.3 [V] |
12.6 [V] |
ヒーター電流 |
0.3 [A] |
0.15 [A] |
入力容量 |
1.6 [pF] |
|
出力容量 |
0.33[ pF] |
|
グリッド−プレート間容量 |
1.6 [pF] |
|
グリッド−ヒーター間容量 |
0.15 [pF] |
最大定格
プレート電圧 |
300 [V] |
プレート損失 |
1.0 [W] |
カソード電流 |
8.0 [mA] |
ヒーターカソード間電圧 |
±180 [V] |
A1級増幅動作例
プレート電圧 |
100 [V] |
250 [V] |
グリッド電圧 |
-1 [V] |
-2 [V] |
プレート電流 |
0.5 [mA] |
1.2 [mA] |
相互コンダクタンス |
1.25 [mS] |
1.6 [mS] |
増幅率 |
100 |
100 |
内部抵抗 |
80 [kΩ] |
62.5 [kΩ] |
プレート特性
真空管マニュアルのプレート特性図からグリッド電圧ごとのプレート電圧とプレート電流を読み取り、データ化して使っています。Excelなどで出力電圧や歪などが簡単に計算できるので、部品の定数を事前に追い込んでから製作することができます。下記の表はプレート電圧とプレート電流のデータをExcelの作図機能でグラフ化したものです。
12AU7
同等管:12AU7A、12AU7WA、ECC82、ECC802S、6189、7730、5814(プレート電圧が10%大きいスペシャル管)、6680(プレート電圧とプレート損失が10%大きいスペシャル管)、7318(12AU7類似特性だがgmが少し高い)
1948年にRCAから発表された中増幅率の双三極管です。さらに12AU7Aでは、フリッカー雑音やマイクロフォニック雑音を軽減させて低雑音化するための改良が施されています。両ユニットはヒーターが共通である以外はそれぞれ独立しているので、左右のチャンネルの増幅回路を1本の真空管で構成することも可能です。0.1〜10Vのオーディオ信号を10倍程度増幅するのに適した真空管なので、パワーアンプの出力管のドライブや位相反転などによく用いられます。少し変わった製作例では、単1乾電池3本と9Vの積層乾電池1個を電源にした単球レフレックスラジオというものもありました。(真空管ラジオ製作ガイド 誠文堂新光社 ISBN978-4-416-10709-6)
12.6Vで直流点火する場合は4ピンを+に、5ピンをGNDに接続し、9ピンは開放とします。また、6.3Vで直流点火する場合は、4ピンと5ピンを接続して+に、9ピンをGNDに接続します。オーディオ用として、現在でも中国、ロシア、スロバキア等で生産されており、容易に入手することができます。外形はT21-2タイプの9ピンミニチュア(MT)管です。
東芝製12AU7 (Hi-S) 外形寸法 [mm] 記号
ピン |
電 極 |
1 |
第2ユニットのプレート |
2 |
第2ユニットのグリッド |
3 |
第2ユニットのカソード |
4 |
ヒーター |
5 |
ヒーター |
6 |
第1ユニットのプレート |
7 |
第1ユニットのグリッド |
8 |
第1ユニットのカソード |
9 |
ヒーターのセンタータップ |
ヒーター電圧 |
6.3 [V] |
12.6 [V] |
ヒーター電流 |
0.3 [A] |
0.15 [A] |
入力容量 |
1.6 [pF] |
|
出力容量 |
0.33[pF](第1ユニット) 0.23[ pF](第2ユニット) |
|
グリッド−プレート間容量 |
1.6 [pF] |
|
グリッド−ヒーター間容量 |
0.15 [pF] |
最大定格
プレート電圧 |
300 [V] |
プレート損失 |
2.75 [W] |
カソード電流 |
20.0 [mA] |
ヒーターカソード間電圧 |
±180 [V] |
A1級増幅動作例
プレート電圧 |
100 [V] |
250 [V] |
グリッド電圧 |
0 [V] |
-8.5 [V] |
プレート電流 |
11.8 [mA] |
10.5 [mA] |
相互コンダクタンス |
3.1 [mS] |
2.2 [mS] |
増幅率 |
19.5 |
17 |
内部抵抗 |
6.25 [kΩ] |
7.7 [kΩ] |
プレート特性
真空管マニュアルのプレート特性図からグリッド電圧ごとのプレート電圧とプレート電流を読み取り、データ化して使っています。下記の表はプレート電圧とプレート電流のデータをExcelの作図機能でグラフ化したものです。
12AX7と12AU7は1948年に発表されてから現在に至るまで、複数のメーカーから供給され続けられています。異なるメーカーで生産された真空管であっても、過去に生産されたものを含めて同じ型番であれば電気的特性が同じなので、差し替えて使用することができます。ただし、オーディオ用として使用した場合は電極の構造や材質で音色が微妙に異なると言われています。音色の違いについてはMJ無線と実験2012年5月号(誠文堂新光社)の別冊付録「電圧増幅管12AX7、12AT7、12AU7系チューブアンプのための真空管ガイドブック」に聴き比べの結果が記載されています。