love1 双子
人を好きになるって、結構つらい事ばっかりだ。
たとえば、授業中。
それも、好きな奴が隣の席だったらまさに致命的。
夜も眠れないくらいそいつの事考えてたせいで、ただでさえ起きているのも辛い状況だのに、だ。
それに加えて、噂のそいつが隣にいるって、一体どうやって授業に集中しろっていうわけ?
どっかのお偉い学者さんよ。
普通の県立高校の下レベルの俺でも分かるように、説明してくれ。
まあ、これ程好きな相手ってのが、クラスのごく普通の女子だったらまだいい。
…まだ、よかったはずだ。
しかしそれが俺の場合、どこをどう間違えたのか、ちょっと大変な相手を好きになってしまったのだ。
「ねーえ。・・・稜(りょう)、聞いてんの?」
俺の部屋のベッドの上で、俺にそう睨みをきかせているのが、双子の兄の花螢劉(かけい・りゅう)。
男のくせに女みたいに髪が長くて、男のくせに女みたいに目が大きくて、・・・男のくせに、女以上に可愛い。
しかも、性格だって(たまに黒いけど)悪くない。
頭も良くて、スポーツも出来る。
明るいから、老若男女かまわずモテる。
こんなスーパーマンみたいな奴が、俺の双子の兄。
そして俺は、ただいま高校2年生の思春期真っ盛り。
・・・・・・・・それで、そう。
間違いが起こったわけだ。
俺が、夜も眠れないほど好きな奴。
俺が、隣にいるだけで授業中集中できない奴。
海外出張中のパピー、マミー。ごめんなさい。
俺の好きな奴って、兄なんです!
「・・・・・・ンだよ、・・兄者(あにじゃ)。」
絶対に、兄を名前で呼んだりなんかしない。
俺の性格上、十分の九の確立でそれだけで舞い上がっちゃうから。
だから、「兄者」なんて某掲示板のキャラクターの呼び名を借りていたりする訳だ。
だって、この気持ちはバレちゃいけないから。
好きって言いたいけど、許されない。
俺のこんな気持ちは、許されない。
そんな事は、わかってた。
…けど、やっぱりこの状況は、俺的にはかなりきつい。
好きな奴に、好きと言えないことが、こんなにもつらい事だとは。
ああ、改めて思い知らされたものだ。
しかも俺達は、同性な上、双子なんだ。
なんか、兄弟よりさらに上のレベルをいってる気がする。
でも俺達二人は、外見内面似ても似つかなかった。
兄者は、綺麗で頭が良くて優しい。(何回もいう様だけど、たまに黒い。)
俺は、まあ自分でいうのもなんだけど、よく渋谷なんか行くとスカウトされてだな。
所謂所の、ジャ○ーズ系な訳だ。(言っちゃったv)
で、おつむの方はというと、正直よくはない。
つか、むしろ悪い。
この前の定期テストの時の順位は、後ろから数えた方が早かったという前科持ちでもある。
綺麗で頭が良くて優しい兄。
美形(なにしろジャ○ーズ系だから!)でバカなおちょーしものの弟。
「何って、稜がずーっとアホ面してるから、なんか悩みでもあるのかなァと。」
・・・前言撤回。
俺の場合、どこをどう間違えたのか、ダイブ大変な相手を好きになってしまったのだ。